暑い夏の日の午後、
芝生と小さな森を抜けた風が、北の窓から入って来て、
「お昼にお酒飲むのも良いんじゃないかと思うの」と言って、
プチ飲み会の会場を用意して、ワインの栓を抜く娘ちゃんと、
「ええーっ!!!」
と言いながらそれに付き合ってるジーラさんの間を抜け、
アタゴールの森のごとき菜園のある
南の窓から出て行きます。
時々律儀な風が窓の風鈴をチリーンと鳴らして、
二人の酔っ払いに涼しさを置いて行ってくれるのです。
「風鈴がリーンと鳴るのは良いヤネ。」
もうお酒に飲まれたか、娘ちゃんがウットリ言うのです。
「そりゃア、なんてったって、日本の風物詩だからね。
粋なんだよ。」
「違うよ、そうじゃない。」
「風鈴がリーンて鳴ると、なくなった人達の顔がここら辺に浮かんでくるの。」
娘ちゃんは頭の上で指をチラチラさせて
手を左右に振りました.。
「娘ちゃん、それって、マッチ売りの少女って事。」
「そうじゃなくて、なんて言うかなぁ・・・ 」
ちょっと考えて、
相変わらずぼんやり顔の娘ちゃんが言いました。
「亡くなった人達がいた夏休みの感じになれるんだよ。
振り返ったら会えるような気がして来るんだ。」
「分かるよ娘ちゃん、
初恋の味がする切なくって、もどかしい懐かしさだね。」
風鈴がリーンと鳴って、
異次元にトリップしちゃったのか
娘ちゃんたら返事もしてくれません。
しかたがないのでジーラさん、
暫く、グリーンカーテンの木漏れ日とホロヴィッツのピアノと
午後のお部屋に吹く風とのんびり寝そべってるチワワさんと
気持ちの良い午後の時間の中でお留守番です。
只。
暑い日のお酒は回ります。
ビンに残ったワインは三分の二。
なのに一ビン飲み干した飲みごたえ。
「危なかった。これ以上飲んだら、
熱中症で救急車だった。」と娘ちゃん
もう暑い日にお酒を飲むのはやめようと肝に銘じたけど、
のんべいの娘ちゃんは大丈夫かなぁ?
