母たんの施設の帰り、
お天気があまりにも良かったから、
初めてのバスに乗ろうと思ったのです。
バスは15分待ち。
野原の中のバス停。
娘ちゃんから貰ったソニーのピンクのウォークマン。
ミスチル、サザン、バンプ、アジカン、
ゴーイングアンダーグラウンド、椎名さん。
初音ミク。
それに大好きなケンプとポロヴィッツ。
娘ちゃんの趣味も混じったおもちゃ箱みたいなウオークマン。
一番最初に入れたのに、ずっと聞いていなかったZARD。
ボタンを押すと懐かしい声。
もう13年経ったのか、記憶が心に落ちてきます。
父が亡くなって、皆で意気消沈して、
一日、一人ぽっちで、
家に閉じこもってるジーラさんを心配して、
娘ちゃんが入学手続きをして、
入学式は旦那ちゃんに引率され、
あっという間に、
娘ちゃんの学校の端にある、
放送大学に通う毎日。
たった一人、
母たんの傍若無人な振る舞いが
結束していたはずの集団を
如何して壊せたかが知りたくて、選考は心理学。
ちなみに
後3科目で卒業と言うところで只今挫折中。
「好きなものから食べるからだよ、ジラちゃん。」と娘ちゃんに言われ。
「金、いくらかかった?根性なしだなジラ。」と旦那ちゃんの罵りを受け。
口答えできず悔しいのに挫折の殻を破れない
情け無いジーラさん。
あの時娘ちゃんが揃えてくれた通学セット。
鞄の中には、CDウォークマン。
ボタンを押すとZARD。
木立の中を20分歩くと
一緒に帰る娘ちゃんとの約束の場所。
そのうち、通学のお仲間にチワワさんが加わって、
娘ちゃんが待つ場所まで、
夕暮れの構内を冒険しながらお散歩。
時々興味に駆られて鞄から顔を出す
まだ赤ちゃんのチワワさん。
ZARDにあわせた歩調が乱れて、
小さな頭をチョンチョンしていると、
はみ出してしまった集団を捨てても
十分幸せになれるような気がしてきて、
だんだん心がウキウキしてくるのです。
それに心強い新メンバーが二人ついてます。
チワワさんと
霊になって存在感を増した父。
ジーラさんの幸せの新しい出発点には、
構内の木立とチワワさん、
耳の中で何時も流れてたZARD。
バスが終点について
何時もの我が町の慌しい夕暮れ。
ビルが作る木立の中を
ZARDの歩調で歩き出したら、
チワワさんの重みが腕によみがえり、
心がウキウキしてきて、笑いが湧き出て、
永らく硬直していた頬に止まったのです。
チワワさんが亡くなって始めて笑えたような気がします。
見上げるとビルの間に夕暮れ過ぎの紺碧の空。

