烏 | 「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

朝、ゴミ袋を裏玄関に出した。

 

(我慢できなさそうだな)

 

3袋目をだしたところである。

 

トイレに行きたくなった。

 

まずは庫裏の中から裏玄関に出す。

 

そこから、ゴミ置き場まで一気に持っていく。

 

いつもその手順でゴミ出しをしている。

 

3分後、再び裏玄関に戻る。

 

(やられた)

 

ゴミが散乱していた。

 

油断してしまった。

 

これが初めてではない。

 

何度も同じ失敗をしている。

 

情けない。

 

カラスに狙われたのだ。

 

(も~、面倒かけないでよ)

 

愚痴をこぼしても何も変らない。

 

そんなことはわかっている。

 

しかし、言わずにはいられない。

 

新しい袋を持ってくる。

 

散乱したゴミをかたづける。

 

後始末をしていると、昔の記憶がよみがえってきた。

 

いまから、45年前である。

 

5才のときだ。

 

母と2人で恵比寿に行った。

 

母の友人が住んでいたのだ。

 

細かい経緯は忘れた。

 

だが、とにかく3人で友人の家の近くの公園に向かった。

 

そこには、高さ50センチ、幅30センチ、長さ10メートルくらいの遊具があった。

 

低い壁のような形状だ。

 

私は、その上を歩いて遊んでいた。

 

母と友人は少し離れたベンチに座っていた。

 

「危ない!」

 

「逃げなさい!」

 

まもなく、不意に母と友人が大声を出した。

 

カラスが急降下してきたのだ。

 

狙われてしまったようだ。

 

攻撃してくる意思が感じられた。

 

必死で走った。

 

こちらが何かをしたわけではない。

 

おそらく子育てをしていたのであろう。

 

知らぬ間に巣に近づいていたのだと考えられる。

 

今、振り返ってみればそういうことになる。

 

幸いにも逃げ切れることができた。

 

つつかれずに済んだ。

 

それにしても怖かった。

 

つい昨春も同じように追いかけられた。

 

羽田空港の近くの公園を散歩していたときだった。

 

生い茂っている木々のなかから急降下してきた。

 

(子育ての時期だ)

 

毛の無い頭である。

 

つつかれたら傷だらけになってしまう。

 

(もう、やめて~)

 

再び全力で走った。

 

環境省は自然共生をうたっている。

 

にもかかわらず、こちらはカラスだけでもてんてこ舞いだ。

 

都会は管理制御されている。

 

私は、その生活に慣れすぎてしまっている。

 

修行がたりていないようである。

 

 

お釈迦さまのお言葉です。

 

『正しい行為と明知と教え、戒しめと最上の生活、―人々はこれによって浄められる。氏姓や財産によって浄められるのではない。それ故に賢明なる人は、自分のためになることを観て、真理を正しく弁別思考せよ。このようにしてこそ、人は浄められる』

 

【岩波文庫 ブッダ神々との対話 中村元先生訳P75】

 

ありがとうございました。