プラス61便 | 「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

如月のある日の夕方、芝公園から東京タワーをみあげた。

 

ちょうどライトアップされ始めたのだ。

 

紫、緑、赤などの電飾が綺麗だった。

 

「あれっ」
 

その日は、普段見かけない光景もあった。
 

旅客機がやや低空で横切っていったのだ。

 

機体がはっきりとみえる程の距離で真横を飛んでいる。
 

緊急事態だとは感なかった。

 

しかし、気にはなった。
 

調べてみると、羽田空港に着陸しようとしていた飛行機だった。

 

新ルートの確認飛行だったようだ。
 

東京オリンピックに備えて増便するのかもしれない。
 

それにしても驚いたのは、その数だ。
 

新ルートだけで一時間に六十一便も航行するようだ。
 

銀座線や山手線の通勤時間帯の列車数よりも多い。
 

ときどき、潮風にあたりたくなると空港近くの公園に行くことがある。

 

上空を通過していく機体がなんとなく目に入る。

 

房総半島上空から羽田空港へ下降してくる飛行機である。

 

「沢山飛んでいるのだな」

 

毎回そう感じていた。

 

それなのに、さらに六十便も多くなるとは凄いことだ。
 

現代人の往来がいかに頻繁なのかがよくわかる。

 

「ちょっとやりすぎではないか」

 

私は、経済や政治に疎い。

 

だから無責任かもしれない。

 

しかし、どうもそう感じられてきてしまう。

 

ときに、他の生き物であればこの様子をどのように思うであろうか。

 

「人は、ずいぶん移動するね。俺たちも人里まで行くことはある。でも、山に沢山食べ物があったら、わざわざ人里まで行かないよ」

 

熊ならこんなことを言うかも知れない。
 

「そんなにあちこち行くんだね。僕たちは「今年はどこの海に観光に行こうかな」なんて考えないよ」

 

マグロのことを想像してみた。
 

空で事故が起きてしまうと確実に大惨事になる。

 

飛行士、管制官、整備士など空港関係者の方々は、毎日最大に緊張されていることであろう。
 

頭が下がる。
 

どうか、全ての航行が無事であることを願う。


「方丈記」に以下の記があります。
 

『いったい、住まいを造るときの世間一般のしきたりでは、必ずしも危難から身を守るという大事を目的としてはいない。妻子や親族・従者に尊敬されるためだったり、知人・友人に誇示するためだったり、あるいは、主君・師匠を招待するためだったりする』

【角川文庫 ビギナーズクラシック方丈記 鴨長明さま著・武田友宏先生編p130】

ありがとうございました。