ご加護 | 「ゆるりと仏教」いも掘り坊主の与太話

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「念死念仏 常途用心」
仏さまの御教えを、拙僧のエッセイとともに紹介しています。
ほとんど与太話(^_^;)ですが、法話らしきものも書いています。
つたない文章ですが、笑ってもらえたり、うなずいてもらえたりしたら嬉しいです。
毎週水曜日に更新しています。

その女性は、毎月お墓参りにいらっしゃる。

 

平日に1人でいらっしゃる。

 

ところが、このあいだは日曜日に3人でいらした。

 

境内を掃除していた私は、「今日はご家族でいらしたんですね」とご挨拶をした。

 

すると、「主人に報告に来たんです。孫が産れたんです」と、満面の笑みで話して下さった。

 

正確には4人でのお参りですね。

 

お花を綺麗に設えた後、しばしご主人を交えて皆さんでお話をされていたようだった。

 

お孫さんの顔を何度もご主人にみていただいているようでもあった。

 

お墓参りを終えると、次は山門前の観音さまにしっかりと手を合わせお祈りされていた。

 

ご主人さまはすごく嬉しかったにちがいない。

 

観音さまとともに必ずやお孫さんの成長を見護っておられるであろう。

 

お墓参りと言えば、いつも墓前でお経をお唱えしている方が思い浮かぶ。

 

多くの方は、お墓参りに来ると掃除をしてお花とお線香を供えて、手を合わせている。

 

立派なお参りであり、十分なご供養だ。

 

その男性はそれに加えて読経をされている。

 

以前、「すごいですね」と声をかけたところ、「毎朝仏壇で読んでますから」と教えてくれた。

 

だいぶ前に、先代の御住職から「浄土宗日常勤行式」の経本をいただいたそうだ。

 

いわゆる「浄土宗の基本のお経」である。

 

以来、毎日唱えていたのでいつのまにか覚えてしまったそうなのだ。

 

大変素晴らしいご供養である。

 

御先祖さまは有り難く感じているに違いない。

 

必ずや仏菩薩さまと一緒に守護してくだっているであろう。

 

そういえば、私の母のお父さん、つまりおじいちゃんも毎朝仏壇で読経をしていた。

 

同じく、日常勤行式を唱えていた。

 

おじいちゃんは、眼鏡屋さんだったので僧侶ではない。

 

たまたま菩提寺が浄土宗だっただけである。

 

その上「観音経」も読んでいた。

 

「ねんぴーかんのんりき(念彼観音力)」ときこえてくると、「へんなことばだなぁ」と感じていたのをはっきりと覚えている。

 

子供でしたから、大目にみて下さい。

 

おじいちゃんは、毎朝欠かさずに仏さまと御先祖さまへご飯とお水をお供えしていた。

 

さらには、猫の「白ママ」と「チャチャ」には牛乳をお供えしていた。

 

おじいちゃんは、いつも笑顔で楽しそうだった。

 

人生の最期まで大好きな蕎麦とうなぎも美味しそうに食べていた。

 

きっと仏さまと、観音さまと、御先祖さまと、白ママと、チャチャに護られていたんだろうな。

 

 

法然上人の御教えに、以下のお言葉がございます。
 

『深心とは、往生に対して疑いのない心です。利他真実とは、浄土に往生して後、この世に残した人々を教え導こうとする姿です』
 

【法然上人の御法語3 浄土宗総合研究所編訳p348】
 

 

ありがとうございました。