映画『じんじん』三田図書館 バリアフリー上映会レポート | 映画『じんじん』公式ブログ

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「絵本の里」北海道剣淵町を舞台に人の優しさと親子の絆を描く、
映画『じんじん』2013年春〜全国で上映。現在はオンデマンドサービス等で観ることができます。撮影記録や映画の最新情報をお届けしている公式ブログです。

「絵本」をキーワードに、家族や地域の絆をあたたかく描く映画『じんじん』。

 

2013年夏、全国の劇場で公開され、その後は全国各地で地域の方々による上映が行われてきました。

 

現在は各動画配信サービスで観ていただけるようになりましたが、初公開から10年目を迎えた今年12月、『じんじん』はバリアフリー上映会を開始しました。

 

 

今回は、12月24日に東京都港区立三田図書館で開催されたバリアフリー上映会のレポートをお届けします。

 

クリスマスイブの上映会

港区立三田図書館は、JR田町駅からすぐ、第一京浜道路と三田通りの交差点にある複合施設「札の辻(ふだのつじ)スクエア」の4階から7階にあります。外観も内装も、図書館というよりオフィス……!

 

入り口にママチャリがたくさん停められているのは、2階に「オーケーストア」が入っているから。札の辻スクエアの振り幅すごいです

 

 

上映会に先立ち、三田図書館館長の門(かど)さんから、港区立図書館で毎月第4日曜日に開催している映画上映会についてのご案内がありました。

 

続いて、バリアフリー上映会ご担当の川口さんのご挨拶。映画に音声ガイドと日本語の字幕が入ること、上映後の大地さんの講演会では、手話に加えて、AIによる音声認識により話した言葉が即座にスクリーンに映し出される「UDトーク」が使用されることの説明がありました。

 

「UDトーク」で正面のスクリーンに、話した言葉が文字になって映し出されます

 

 

『じんじん』のバリアフリー上映は、2015年に東京都足立区で、視覚障がい者の方向けに、映像にあわせてナレーターが舞台袖で音声ガイドを行う形態で一度だけ実施されたことがありますが、今月から上映しているバリアフリー版は、すでに映像に字幕と音声が入っているもの。

 

会場には字幕や音声ガイドを必要としていない方も多く参加されていましたが、「日本語であっても、字幕が入っていると、映画って観やすくなるな」とあらためて気づきました。

 

そういえば、この数年間で、スマホなどで日常的に動画を観る機会が本当に増えました。そうしたほとんどの動画に字幕が入っていて、映像とともに目に入ることが当たり前になっていることを再認識。

 

また、音声ガイドには意外な発見がありました。映画の序盤は宮城県松島町が舞台ですが、ガイド音声は、スクリーンに映し出される風景や建造物を、名称とともに説明してくださるので、まるで観光案内のように楽しめます。目で実際の画面を追いながらも不思議に違和感はなく、よりストーリーを理解しやすく感じました。

 

会場には、物語の鍵となる絵本『クロコダイルとイルカ』の絵を描かれたあべ弘士さんの絵本、また、毎年剣淵町で開催されている「けんぶち絵本の里大賞」の過去受賞作も展示されていました

 

 

上映後に“銀ちゃん” 登場!

上映後、主演の銀三郎こと大地康雄さんが登壇。映画の舞台となる北海道剣淵町への訪問のきっかけとなった出会い、「絵本の館」で絵本の読み聞かせに熱中する子ども達の輝く瞳に心を奪われ、ぜひこの光景を映画にしたいと思われたこと、また、ロケでのさまざまなエピソードをお話してくださいました。

 

 

また、大地さんは「いじめに遭って不登校になり、剣淵に転居したことがきっかけで再び登校できるようになった」という小学生の作文を紹介。

 

「“ 剣淵の皆さんは優しくてあたたかい人ばかりです ” と作文には書かれていました。きっとそれは、子どもの頃から絵本に親しみ、他人を思いやる気持ちが育っているからではないかと思うのです」と大地さん。

 

また『じんじん』は全国各地の刑務所でも上映会が行われました。銀三郎が生き別れた娘を思う気持ち、娘のために起こした行動を自分事としてとらえた、受刑者の熱い感想文が多く届けられたそうです。

 

「どうか、お子さんお孫さんがいらっしゃる方は、絵本をたくさん読んであげてください。大人が感動する絵本は、物語が多少難しくても、小さな子どもにも思いは通じるそうです。大人に絵本を読んでもらった、愛されたという記憶こそが、生きる力になるのだと思います」とお話を締めくくられ、会場からは大きな拍手が起こりました。

 

大地康雄さんからのメッセージ

上映会終了後、あらためて大地康雄さんにお話を伺いました。

 

 

ー 今回あらためてバリアフリー上映会を行うことになったきっかけは。

 

大地さん(以下同じ):私は新宿区立戸山図書館で、視覚障がいの方たちのための新刊図書の音声案内をボランティアで行っています。ちょうどその録音で図書館を訪れたとき、『武士の家計簿』のバリアフリー上映会を行なっていたんです。「そういえば『じんじん』ではバリアフリーにほとんど取り組んでいなかったな」とピンときまして。

 

さきほど講演会でもお話しましたが、今まで『じんじん』は、刑務所だったり、あと、海外でも上映されました。色々な立場の方が感動してくださるこの映画を、障がいを持つ方にも観ていただきたい、という思いがふつふつと湧いてきたんです。

 

さっそく戸山図書館でバリアフリー上映会を実施したところ、大変好評で、多くの感想の声をいただきました(編注:後日当ブログでご紹介します!)。そこで、お世話になっている館長とともに、この上映会を全国の図書館に広げよう、と盛り上がってしまいました。

 

『じんじん』は全国のたくさんの方たちに手作りの上映会を行なっていただき、私もいくつかの会場に駆けつけさせていただきました。今度はバリアフリー上映会という形で、どんなところへ行けるのか、どこまで輪が広がるか、楽しみにしています。

 

 

ー 映画の音声クレジットで、バリアフリー監修として大地さんご本人のお名前がありましたが。

 

私が主に監修させていただいたのは、音声ガイドのほうです。平塚さんというナレーターの方をはじめとした数名の方と一緒に、「この説明を入れたほうがいい」「ここは削ったほうがいい」と、ああだこうだ相談しながら、7時間くらいかけてガイドの言葉を決めていきました。平塚さんの感性と、優しいお声のおかげで、作品にあった音声ガイドになっていると思います。

 

 

ー 『じんじん』は公開から10年目を迎えます。

 

今年の2月、剣淵町で、公開10周年の記念上映会がありました。寒いなか行ってきましたよ。剣淵の皆さん、とっても喜んでくださって。懐かしい再会もたくさんありました。

 

公開から10年経ちますが、これからもひとりでも多くの方に、障がいを持っている方にも同じように楽しんでもらえたらと願っています。

 

同じ志を持った方と一緒に、この映画をまだまだ広げていきたいので、バリアフリー上映会に関心を持っていただける自治体・図書館・個人・団体の方がいらっしゃいましたらよろしくお願いします。

 

 

ご来場いただいた皆さま、三田図書館の皆さま、ありがとうございました!

 

次回予定 

※2024.1.10情報追加  すでに事前申込で【満員御礼】となっています。当日受付はありません。

2024.1.13(日)13:30~

うめとぴあ(世田谷区立保健医療福祉総合プラザ)

大地康雄ミニ講演あり(無料)

 

詳しくは、下記の「うめとぴあ」Webサイトをぜひお読みください。

【令和6年1月13日】「じんじん うめとぴあ上映会」を実施します

 

バリアフリー上映会について

 

映画『じんじん』は2023年12月よりバリアフリー版の上映会がスタートしました。

 

バリアフリー映画とは、視覚聴覚に障がいがある方もお楽しみいただけるよう、「音声ガイド」と「日本語字幕」がついた映画です。

 

バリアフリー版の上映に際しましては、営利を目的とせず無料で上映会を開催し、一切の金銭的な収益を得ないことを条件とします。

 

バリアフリー上映会を主催し上映していただける個人・団体を募っています。

お問合せはこちらのフォームからどうぞ

 

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