著者 原田マハ
京都を舞台にした小説です
京都の風土や文化、お祭り、京都に住まう人々の気質に、良くも悪くも引き付けられました
小説の味付けは、いわゆる、はんなりとしていますw
想像力頼みになりますが、京都のガイドブックの様相もあります
京都の暮らしが、目に浮かぶようです
親が所有している美術館(東京)で、副館長をしている菜穂は、妊娠を機に、東京の放射能汚染を気にして、京都に避難生活をしています
京都の画廊で、名も知れぬ画家の描いた絵に惹きつけられて、その画家を後援をしようとします
家族や夫に反対されても、身重ながら、頑として突き進みます
彼女の、美しいもの、価値のあるものを見抜く力は、誰もが一目置くところです
実は、その画家は、創作活動や生活全般が、監視されています
いろんなことを自由にできる状態にはないのです
大きな秘密があって、謎めいています
また、菜穂の側でも、家族や家系のことで、とんでもない事情が徐々に明らかになっていきます
不倫、密通、婚外子、、、
ただ事ではない事実が、続々と判明していくのです
ドロドロした事情にも関わらず、どこか、美しさにつながっているのが不思議です
京都で、菜穂を助ける人々の品の良さや、たおやかな物言いに、俗っぽさが薄まってしまうのでしょうか
私の精一杯の想像力を駆使し、京都の風景や風土、町家の意匠、ご婦人方の和装などを思い浮かべながら読みました
その作業は、私にとって、かなり楽しいものでした（笑）