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前回、2022/4/20付けにて、
「チェリまほ」から見た
「おっさんずラブ」の功罪
──と題して僕なりに思う事を書かせて貰いました。
その記事に対して頂いたコメントに返信を書いているうち、何やらまたぞろ感情が昂り、僕の悪癖である長文返信が立て続いてしまったのです。

で、気付いてしまいました。
僕はこの件に対して、
まだまだ言い足りなかったのではないか?──と。

そこで今回、
前回の付け足しとして、もう一度だけ「おっさんずラブ」から「チェリまほ」への流れについて書こうと思いました。
前回と重複する内容も有るかも知れませんが、ご容赦下さい。


以下、既に返信済みの文章をまとめ直したものです↓


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僕が「チェリまほ」の感想を投稿し始めた頃によく言っていたのが、「ゲイのBL嫌い」と言うことです。
僕の知っている限り、「BL」を嫌っているゲイはとても多いです。
理由はやはり「そこにリアルが感じられないから」と言うことですね。

僕らはみんな、多少なりとも
「辛い片想い」や「不可能な恋」に泣かされてきています。
「ノンケの受けキャラが積極的な攻めキャラの誘惑に押されて、あらら、すんなりとデキちゃった?」なんて安直なストーリーを許せるはずがありません。

でも例外はあります→僕は昔から「BL」が好きでした。
普通の女の子が「実際には有り得ないようなストーリーの少女漫画」を読むように、僕も非現実的なのは承知の上で「BL」を楽しんできました。

そんな僕を驚かせたのが、最初のパイロット版「おっさんずラブ」でした。

近親感のある、
普通のリーマン同士の恋愛?
え?
こんなドラマが許されるの?

当時これを観たときの僕の心境でした。
そしてそれは「シーズン1」へと続き、やがて「きのう何食べた」から「チェリまほ」へと続く突破口ともなりました。

実は僕の中では、「映画」と「シーズン2」は無きものとしたいのです。
途中で離脱した「シーズン2」ですが、ネットの感想欄で「最後は田中圭と吉田鋼太郎が結ばれで抱き合った」と非難囂々となっているのを読んで、「なに考えてるテレ朝?!」と驚愕しました。
嫌な予感からの「途中離脱」は正解だったと──。

吉田鋼太郎のキャラ設定には当初から疑問がありました。それを本文で書くのを忘れていた。
一般視聴者が吉田鋼太郎の「怪演」に笑ったのは分かります。
世間の多くの人があれを面白いと感じ、躊躇無く受け入れた。
それが主流である事を制作側は十分に分かっていたからこそ、ああ言うキャラクターを取り入れたのだと思います。

実はゲイを面白おかしく取り扱った作品は、洋の東西にかかわらず随分昔から存在しました。
それを笑えるのは、ひと言で表すなら「物珍しい」と思えるからだと僕は考えます。つまり宇宙人やネッシーと同類なのです。

みなさんは「チェリまほ」で感動し、ファンとなる以前に、同性愛者を身近に感じて意識した事はありますか?
父親や夫、あるいは兄弟や息子が
「もしかしたらゲイなのではないか?」と疑った事はありますか?
──恐らく一般視聴者の多くの方が「そんな経験はない」とお答えになると思います。
誤解しないでください。
僕はそんな方々をを責めているのでは決してありません。

僕自身、私小説にも書いた通り明確なカミング・アウトはしていません。いや、隠してきたと言う方が正直です。
だから一般社会の中においてはネッシーと同じなのです。

だから、
例えば職場であの「怪演」が面白い!と話題になっていたとすればそれに同調し、一緒になって「面白い」と口に出した同性愛者も非常に多かったと推測します。だからますますネッシーなのです。

テレビの中でゲイ・キャラが持て囃されて久しいです。視聴率が取れるからです。
オネェだろうが、ドラッグクイーンだろうが、あれはあれで正直な生き方だと、僕は全面的に肯定します。

しかし、「ゲイとはああ言う人の事を言うんだ」と決め付けられることが、僕には不本意なのです。
ゲイも色々=百人百様だと知ってもらいたいのです。
ノンケの男にも女にも色々な人がいるように──。

「おっさんずラブ」の「功」は、
落合モトキと林遣都により、一般社会人として普通に生きるゲイが演じられたこと。
そして「罪」は、あの吉田鋼太郎の怪演から当事者に抱かせた不愉快。

「シーズン1」では田中圭と林遣都が納得の演技で感動したのですが、僕としてはどうしても吉田鋼太郎演じる「部長」のキャラクターが違和感でした。
ここで詳しく話させて貰いたいと思います。
ちなみに吉田鋼太郎の役名を「黒沢」と書きたくないので、以降「部長」と表記します。

まず誤解して欲しくないのは
僕があの「部長」の怪演を嫌うのは、決してあれが「オネェ」だからではありません!

僕らの中には多かれ少なかれ
「オネェ」の要素は確実に有ると言い切れます。
「男を好きになる」と言う事は、そう言う感性があるからだと僕は思っているし、だから僕はオネェを全く否定しません。

(さあ、ここまで言い切るとゲイの方から異論が出そうです。僕はむしろお話し合いしたいですよ?)

僕が不愉快に思うのは、あのキャラクター設定が不自然極まりない事へ対してなのです。

若かろうが、初老だろうが、
ゲイなら男に恋して当然だし、
たとえオネェと言われようが、それは当人にとっては当たり前に生きている証しであると僕は理解しています。
感性だけでなく、言葉遣いにしても所作にしても女性的になるのは自然なことであり、持って生まれた性質を無理矢理に矯正する必要などまるで無いと思っています。
僕は自分を含めて肯定します。
(僕も子供の頃、もっと男らしくしろ!などと余計な事を他人から言われた事がありますが、親から言われなかったのは幸いでした)

では何が不自然か?
はい、
「部長」は「男が好きになったのはこの歳で初めてだ」との事です。
そりゃ、遅咲きの人もいるのでしょうが、でも、あの歳になるまで全く自分の性的指向を意識すらしなかった、と言うのはとてもレアなケースであり、まずは不自然な設定です。
例えそれがバイ・セクシャルだとしても!です。

さらに「部長」は、普段は全く不自然なイントネーションも感じさせす、非常に口跡も良い男言葉なのに、いざハルたんの前になると身体をクネクネとさせて、まるで二丁目の常連のごとくスラスラと、いわゆる「オネェ言葉」を自在に操ります。
全く不自然です。
あれではまるで二重人格です。
本当に「この歳」まで自覚も無かったのでしょうか?

そして最大の不自然は、若くして女性と恋愛結婚して「この歳」までつつが無く夫婦生活を営み、もちろん妻が疑うこともなく性的にも「男」だった人が、いきなりハルたんの前でだけ豹変し、お尻をフリフリしながら手作り弁当を持ってくるか?!
との不自然エピが立て続きます。

そして挙げ句に離婚を切出し、
長年夫婦だった相手を躊躇無く切り捨て、なんなく離婚成立って、リアルのかけらもない設定です──!
もっと言えば、これは大塚寧々の話ですが、「妻の立場保全」のため?
別れた妻を息子ほど若い男とくっ付けて、これで妻も幸せでしょ?って筋書きとか、もう目も当てられない不自然さ。

はい、
たとえオネェ言葉で身体クネクネでお尻フリフリでも、普段からそんな様子の独身のキャラが
「ハルたん、僕は実はゲイだからはるたんの事が好きなの」と言えば、むしろその方が遥かに自然だし現実にも有り得るだろうと感じます──が、それではむしろリアルが過ぎて、まじで当事者の感情を逆なでする事にもなりましょうね……。

うん、やはりここは
「この歳にして初めて目覚めた遅咲きのバイ・セクシャル」との設定を貫き、あのような取って付けたような「オネェ的オーバー・アクション」は控え、長年連れ添った妻を捨てるような短絡的かつ非人道的な筋書きも止めて、とことん「この歳」で男を好きになってしまった戸惑いと「ときめき」を描くべきだったのではないか?と僕は思いますが……。
真面目すぎますかね?
やはり一般的には、あの豹変がツボだったのでしょうね。不自然過ぎる二重人格であっても。
とにかく僕には、田中圭と林遣都が演じる切ない演技に水を指す「不自然キャラ」にしか見えませんでした。

パイロット版では田中圭、落合モトキ、吉田鋼太郎の三角関係のバランスが良く、色々はしょって一言にすると、吉田の猛アタックによって同性愛と言うものを意識した田中が、落合の切実な思いに気付き、結果として落合と結ばれた、と言うお話です。→はしょり過ぎか?
「シーズン1」は落合と林が交替したけれど、コンセプトは単発ドラマの踏襲だったのではないか?──と。

ただ、結果あれで視聴率を取り、経済を動かし、その流れで「チェリまほ」も存在すると思えてなりません。
その反面、ゲイを貶められた気がする事は否めません。
だから「功罪」なのです。

前回の記事はその「功罪」を語っており、その一番の「功」は「チェリまほ」と言う素晴らしい作品に繋がった事と思っています。
でもそれは、結果として「チェリまほ」が存在する今だから言えることで、例えば「おっさんずの映画」で期待を裏切られた当時や、「シーズン2」の数回でがっかりした当時は「罪」しか感じられませんでした。

確かに、時代の変化を察知して色々な企画にチャレンジするテレ東の制作陣なら、黙っていても「チェリまほ」にたどり着いた可能性はあります。
でも「地方局の30分深夜ドラマ」にこれほど集まった視聴者を開拓したのは、やはり「おっさんずラブ」の功績なのではないでしょうか?

それほどに高い視聴率でしたし、あの社会現象は「BL」をマニアのオタク文化から数字の取れるメジャーに押し上げました。

「おっさんずラブ」で「BL」を知った相当数の視聴者が、そのまま「チェリまほ」のファンになっなだろうことは想像に難くありません。

とにもかくにも結果は上々!
チェリまほ最高!!!

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次の感想⑤はこちら↓


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《  これより先に載せた感想  》


2022/4/20付 感想③
「チェリまほ」から見た
「おっさんずラブ」の功罪↓


2022/4/16付 感想②
「チェリまほ THE MOVIE」
ネタバレ感想=ご用心!↓


2022/4/9付 感想①
「チェリまほ THE MOVIE」
を観た!(舞台挨拶生中継付)↓

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