10年前から続く慢性頭痛(偏頭痛?)の整体治療
…それとも軽度の頭蓋内圧亢進性の頭痛 ?!
患者Jさん=56才-女性・自営業/主婦の症例
● 頭痛、集中力低下、頭内爆発症候群、頭関連疾患の【総合案内】はこちら
① Jさんの病歴・・・
患者Jさんは、別件(20年前から続く心室頻拍)の整体治療で来院されていましたが、10年前から慢性的な頭痛があり、数か月前からそれが酷くなってきて、最近では週に何度も頭痛が生じるようになっているので、本件も併せて整体治療する事になりました。
② Jさんの診察
【頭痛に関する所見】
・10年ほど前から偏頭痛(☚Jさんの言)があるそうです。今までは一か月に数回程度生じていたそうですが、それが数か月前からいつもより多く生じるようになり、今では週に2~3度は頭痛が生じるようになっていて、生活や仕事にもかなり支障が出ているそうです。
・痛む部位は両方の内眼角の間の奥の方だそうです。痛みは拍動性でなく、重だるい鈍痛が持続性に続くそうです。担当医からトリプタンとロキソニンを処方されているそうです。ただトリプタンが頭痛に効く事は少ないそうです。
・頭痛が起こる時に吐き気やめまいは無いそうですが、閃輝暗点(せんきあんてん)がたまに生じる事があるそうです。脳神経内科でMR検査をしたそうですが、担当医は「小さなデキモノがありますが、これは心配ありません。経過観察だけで結構です」と言われたそうです。視診上、両眼とも正中にあり、瞳孔に左右差は無く、眼の動きに異常はありませんでした。
・Jさんの身長は161cmで、体重は55kgだそうです。視診上、顔はやや浮腫んで見えました。気管および甲状腺は正中にあり、甲状腺の腫脹・萎縮はありませんでした。頸静脈や手背静脈の怒張はありませんでした。頸部の縦径は普通でしたが横径はやや太く見えました。体幹については、腹部の縦径はかなり長く見えましたが(☚いわゆる胴長)、胸部の縦径は短めに、そして横径は狭めに見えました。
・両眼とも近眼と乱視があるそうです。眼科医の検査では、特段の異常は無いとの事だそうです。若い頃から飛蚊症があるそうです。
・かなり以前から後鼻漏が酷く、耳鼻咽喉科で慢性上咽頭炎との診断を受けたそうです。Bスポット療法を4年以上もしているそうですが少し改善しただけで、未だに後鼻漏は続いているそうです。
・耳鳴り、難聴、あるいは中耳炎、そして虫歯、歯周病は無いそうです。
・Jさんとしては、歯ぎしりはしていないと思うとの事ですが、かかりつけの歯科医からは、歯を食いしばっているとの指摘を受けていて、マウスピースの処方を勧められたことがあるそうです。
・頚胸部聴診上、血管雑音は聴取されませんでした。心音に特段の異常は確認できませんでした。ただ左上葉で呼吸音が右の同部よりも強く聴取されました。副雑音は聴取されませんでした。
・頸部触診上、頸部周囲の筋肉群に著明な緊張と圧痛がありました。また顔面の触診では、頬骨弓の下方(側頭下窩)にも著明な緊張と圧痛がありました。
・腹部聴診上、血管雑音は聴取されませんでした。グル音は弱く聴取されました。飲水による噴門部の排泄音検査では(3回施術)、治療前は1回目、2回目ともチョロチョロとした微弱な排泄音が剣状突起付近で聴取されましたが、3回目は聴取されませんでした。治療後では、1~3回目ともチョロチョロとした排泄音が剣状突起より3cmほど下方で聴取されました。
・腹部触診上、心窩部全般に極めて著明な緊張と圧痛がありました。また回盲部から臍にかけても著明な緊張と圧痛がありました。
【心室頻拍に関する所見】
・かかりつけの病院では、ホルター心電図と心臓エコー検査、並びに血液検査を定期的にしているそうですが、特段の異常は無いそうです。血圧は正常範囲だそうです。胸部X線検査でも、特段の異常は無かったそうです。
・心室頻拍は20年ほど前に発症しましたが、高校生の頃から期外収縮の様な不整脈は時折あったそうです。この件については病院を受診していなかったそうです。現在では、頻拍発作だけでなく期外収縮的な不整脈も出る事があるそうです。
・頻拍発作は大体1分前後続くそうですが、その際吐き気やめまい、失神or前失神、胸痛、呼吸困難などは生じないそうです。
・頻拍発作の発生頻度は、頻拍が出ない日が2~3日続くかと思うと、出る時は一日に40回以上生じ、それが数日間も続いたりするそうです。
・心室頻拍の誘因は特に思い当たらないそうですが、ただ「洗濯物を干す時に生じる事が多いかもしれません。あと食後も多いですね。」と仰っていました。
・若い頃から胃腸は弱い方で、十代の時に「胃下垂です」と言われた事があるそうです(誰に言われたかは不明)。
・食欲は普通で、便秘は無いそうですが、ガス(放屁)は多いそうです。
・心窩部痛は無いそうですが、胸焼けと呑酸がたまにあるそうです。胃カメラ検査では「慢性胃炎と軽度の逆流性食道炎」との指摘を受けていて、制酸剤の処方を受けているそうです。胃カメラ検査は2年に一度しているそうです。
・若い頃から慢性的に両肩、背中(特にT10付近)、首のコリが酷く、よく整体院で施術してもらうそうです。酷い時は体調を崩すこともあるそうです。
・お子さまは一人で(普通分娩/比較的安産)、現在26才だそうです。数年前に閉経したそうですが、生理痛は強かったそうです。婦人科的な疾患を言われたことは無いそうです。
・子供の頃から運動は苦手で、特に持久的な運動は特に苦手だったそうです。
➂ 治療目標と整体治療
⑴ 海綿静脈洞のうっ血を(?)解放する
⑵ 頸部交感神経幹および迷走神経の失調を回復する
・静脈還流促進テクニック
・翼突筋静脈叢解放テクニック
・顎静脈解放テクニック
・頸部交感神経幹解放テクニック
・迷走神経解放テクニック
④ 経過と結果・・・
Jさんは遠方にお住いの方のため頻繁に通院する事が困難なので、一度の来院で2回分の整体治療を施術する集中治療方式を採用しました
・初診治療後、
「胃のあたりがメッチャ軽くなっています。肩と背中の痛みも軽くなったみたいです。息もしやすくなりました」と仰っていました。(来院時に頻脈、不整脈は生じていなかったので、頻脈、不整脈については不明)
・2診目来院時、
「この一週間は一度も頻脈は出ませんでした。たたせ時おり期外収縮みたいなものがチョコッとあったくらいです。それと背中と肩のコリをあまり感じなかった事と、胸がよく開くようになった気がします」と仰っていました。また両内眼角奥の頭痛も無かったそうです。
・3診目来院時、
「今週も小さな期外収縮みたいなのが2~3度あったくらいで、頻脈は一度もありませんでした。眼の奥の頭痛もありませんでした。」と仰っていました。
本来であれば、まだもう少し安定するまで整体治療を続ける方が良いと思いましたが、2診目、3診目と予想外の好結果を得ることが出来た事、そしてJさんは遠方から来られている方なので、そのご負担も考え、この段階で様子を見て頂く事にして、今回の集中治療を終わる事にしました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
本当に偏頭痛なのか、、、
・今回の頭痛症例でJさんは「偏頭痛」と仰っていましたが、ただその様なケースは少ないのでは、と考えました。なぜなら、確かに時おり閃輝暗点もあるので偏頭痛のケースもあったのでしょうが、頭痛原因のメインは頭蓋内圧の亢進、特に海綿静脈洞のうっ血が主因では、と考えました。
Jさんの頭痛原因は、頭蓋内圧亢進性の頭痛では、、、
その根拠・・・①
・その根拠は、主な頭痛の部位が両内眼角間の奥にある事です。同部には海綿静脈洞が位置しているので、その可能性の方が高いのでは、と思われました。そして偏頭痛の原因と言われる拡張した血管を収縮させる作用のあるトリプタンの効果があまり見られない事も、偏頭痛の可能性が低い事の根拠と思われます。さらに頭痛の性質が拍動性でなく持続的な鈍痛である事も、偏頭痛を否定する材料になるのでは、と思われます。
・またMR検査上、Jさんの脳内には小さなデキモノ(その部位は不明)があるので、頭蓋内圧が上昇しやすい状況にあるのも、上記仮説の一助になるかもしれません。
さらにJさんは近視と乱視もあるので、外眼筋の疲労も頭痛原因の一つになっているかもしれません。
Jさんの頭痛原因は、頭蓋内圧亢進性の頭痛では、、、
その根拠・・・②
・以上の事から、Jさんの頭痛は”何らかの理由”によって軽度に頭蓋内圧(特に海綿静脈洞)が上昇する事によって生じるのでは、との仮説を立てたわけです。そしてその”何らかの理由”についてですが、それは次の触診所見から推測できました。
1. Jさんの頸部の横径がやや太く、そして顔が浮腫んで見える
2. 頸部の触診上、頸部周囲の筋肉群に著明な緊張と圧痛があり、顔面の触診でも、頬骨弓の下方(側頭下窩の内側・外側翼突筋)で著明な緊張と圧痛があった
・つまり2の頸部筋肉群が緊張(肥大)する事で、1の頸部横径が太く見えるのでは、そしてその緊張(肥大)した筋肉群が海綿静脈洞から下行する導出静脈を側頭下窩部(翼突筋静脈叢)で圧迫し、さらにその下流の下顎後静脈~内頚静脈付近でも圧迫を受けて静脈還流が阻害され、その結果海綿静脈洞がうっ血して頭蓋内圧が軽度上昇し、それが頭痛の原因になっているのでは、と考えました(☚顔の浮腫みの原因にもなる)。
頭蓋内圧亢進性の頭痛に偏頭痛が併存している ?!
・ただ、閃輝暗点を前駆症状(or随伴症状)とする頭痛も時折あるので、その対策として頸部交感神経幹及び迷走神経の失調を想定し、それを治療目標に加える事にしました。
Jさんの治療目標、およびその結果・・・
・以上の事から、上記「➂ 治療目標と整体治療」に掲げる治療目標、
⑴ 海綿静脈洞のうっ血を(?)解放する
⑵ 頸部交感神経幹および迷走神経の失調を回復する
を設定し、それに対応する整体テクニック
・静脈還流促進テクニック
・翼突筋静脈叢解放テクニック
・顎静脈解放テクニック
・頸部交感神経幹解放テクニック
・迷走神経解放テクニック
を施術したわけです。
・結果的に、それまで毎週2~3度あった頭痛が2診目、3診目と一度も頭痛の発症は無かったので、上記仮説で概ね妥当であったのでは、と思います、、、。
とは言え、正直申しますと本当はもう少し経過観察をしながら、もう少し症状の安定を確認できるまで治療を続けたかったと思います。しかし遠方から通院するJさんのご負担を考えるとそれを強く勧める事も出来ないので、今回の様な短めの症例研究となりました。その点についてはすこし残念な気がした症例でした。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
上記解説文で不明な点やご質問は当院お問い合わせHPか、お電話 (06-6180-6880) にてご相談ください。
それではお大事にしてください。
● 頭痛、集中力低下、頭内爆発症候群、頭関連疾患の【総合案内】はこちら
● 治療のお問い合わせは下記まで
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
付属治療室
●診療時間 【予約制】
・午前診…10時~13時
・午後診…15時~18時
●診療日
・月曜日~金曜日
(水曜日=午前診のみ)
・第2土曜日、第4土曜日=午前診のみ
●休診日
・第1土曜日、第3土曜日、日曜日、祝日
●治療費
・初 診 7,500円
・2回目以降 5,000円
●住所 大阪市都島区善源寺町1-5-43 アイムワンビル2F
地下鉄谷町線都島駅 4番出口徒歩2分
●電話 06-6180-6880
● 本学院-入学のお問い合わせは下記まで
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
2年制整体学校
次の二つのコースからどちらかを選んで入学して頂けます。
1 本科2年課程 (一般の方が入学するコース)
2 プロコース (鍼灸師、理学療法士などのプロの方が入学かるコース)
●住所 大阪市都島区善源寺町1-5-43 アイムワンビル2F
地下鉄谷町線都島駅 4番出口徒歩2分
●電話 06-6180-6880
●メールでのご相談、資料請求、体験入学…受付中
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
患者さんが通院される主な地域
大阪市、淀川区、東淀川区、西淀川区、大淀区、福島区、中央区、北区、旭区、都島区、此花区、大正区、東成区、城東区、住吉区、住之江区、平野区、守口市、門真市、寝屋川市、交野市、枚方市、東大阪市、大東市、八尾市、四条畷市、藤井寺市、柏原市、吹田市、豊中市、摂津市、茨木市、高槻市、箕面市、池田市、川西市、尼崎市、西宮市、芦屋市、神戸市、堺市、岸和田市、和泉市、泉佐野市、奈良市、生駒市、京都市、亀岡市,向日市、長岡京市、松山市、岐阜市、広島市、横浜市、東京都、和歌山市、名古屋市、北海道-札幌市、鹿児島市、島根県、大分市、福島市、津市、さいたま市、藤沢市、加古川市、豊田市