心窩部から右季肋部痛(機能性胃腸症/FD)と上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)の整体治療
4診目で解消した症例の解説です。
患者Mさん=31才-女性/会社員の症例
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① Mさんの病歴・・・
患者Mさんは、数か月前から心窩部(みぞおち)から右季肋部(右肋骨弓の下縁)-右わき腹にかけて持続的で重苦しい違和感があり、特に右季肋部は鈍痛があるそうです。X線やその他の検査でも特段の異常は無く、機能性ディスペプシアとして治療を受けていました。別の病院では「上腸間膜動脈症候群」との指摘も受けていたそうです。漢方治療もされていたそうですが効果が無く、今回の来院となりました。
② Mさんの診察
・血液検査は特に異常は無く、血圧は正常範囲だそうです。
・身長は159cmで体重は49kgだそうです。
・ゲップや呑酸、胸やけは無いそうです。
・出血傾向や眼瞼の黄染はなく、手掌の紅斑もありませんでした。
・排便は2~3日に一度あるそうです。
・月経周期は30日で月経期間は7日、生理痛は少しあるそうです。3cm大の子宮筋腫が一つあるそうです。
・気道は正中にあり、甲状腺の腫脹や萎縮はありませんでした。
・腹部聴診上、通常のグル音が聴取でき、グル音の亢進部位はありませんでした。胃の振水音は聴取できませんでした。左季肋部(十二指腸空腸曲部)に著明な拍動がありましたが、Yさん自身も左季肋部の「ドクドク」とした拍動は以前から感じていて、気にしていたそうです。血管雑音はありませんでした。
・腹部触診上、全般的にやや膨満傾向で、特に右季肋部が著明に緊張し、軽度の圧痛があり、結腸と肋骨弓との間隙に手指は挿入できませんでした。また、右下腹部(回盲部~臍)の深部に著明な緊張と圧痛がありました。腫瘤感や抵抗感はありませんでした。肝辺縁は右季肋部の緊張のため触診できませんでした。肝叩打痛や脾叩打痛・腎叩打痛はありませんでした。
➂ 治療目標と整体治療
⑴ 腸間膜根の緊張を解放し、回結腸静脈~右結腸静脈の静脈還流を回復させ、上行結腸の浮腫(?)を解消する
⑵ 右結腸曲と肋骨弓の癒着(?)を解放する
・腸間膜根解放テクニック
・右結腸曲解放テクニック
④ 経過と結果・・・
・初診治療後、
「(右季肋部の)ツッパリ感が半分くらいに減り、痛みがましになっています」と仰っていました。また触診上、右季肋部の緊張は解消し、かなり軟らかくなっていました。結腸と肋骨弓との間隙に少しだけ手指が挿入できるようになっていました。左季肋部(十二指腸空腸曲部)の拍動は消失していました。
・4診目治療後、
結腸と肋骨弓との間隙もかなり手指が挿入できるようになり、Yさんも「ほとんど痛みは感じないです」と仰っていましたので、治療を終了することにしました。
⑤ 今回の症例の概説、、、
◆ 腸間膜根の緊張が原因 ?!
・Mさんの右季肋部痛の仮説は、右結腸の浮腫の可能性が考えられます。その浮腫の結果、右結腸曲の前後、つまり右肋骨弓の裏面を結腸が通過する部位で肋骨との接触圧が増強-密着し、癒着に近い状態になったのでは、そしてそれら(浮腫と癒着)が右季肋部及び心窩部にかけての鈍痛の原因になったのでは、と推測します。
・ではなぜ「右結腸だけが浮腫しているのか?」ですが、それは腸間膜根の緊張が考えられます。
Mさんは腸間膜根の下方(右下腹部)に著明な緊張部がありました。腸間膜根は上腸間膜動静脈を内在している腹膜のヒダですが、特にその下方は「盲腸および回結腸動静脈~右結腸動静脈」が分岐する部位で、これらは盲腸から上行結腸・右結腸曲(一部横行結腸の右側)に分岐しています。
◆ 上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)も、腸間膜根の緊張が原因か…
・従って腸間膜根の下部の緊張は盲腸および回結腸動静脈~右結腸動静脈(特に静脈)の血流阻害要因となって静脈圧が増強し、その結果右結腸-右結腸曲(一部横行結腸右側)に浮腫が生じ、それが肋骨弓との強い密着(癒着)となって右季肋部痛を生じさせていたのでは、と考えられます。
・また、腸間膜根の下部の緊張による盲腸および回結腸動静脈~右結腸動静脈のうっ血は、その根元である上腸間膜動静脈の起始部である十二指腸空腸曲付近の動脈圧を増大させるので、それが十二指腸空腸曲付近の拍動の原因になっていたのでは、と推測されます。
この事は、腸間膜根下部の緊張を解放する施術で十二指腸空腸曲付近の拍動が消失していた事からも、妥当な考え方ではないか、と思われます。
・またMさんは以前に某病院で上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)の診断を受けていたそうですが、本症の主な原因は「極度のるい痩」にあるとされます。
しかしMさんの身長は159cmで体重は49kgの標準的な体型ですので、この可能性は低いと思われ、Mさんに限ってSMA症候群の原因は、むしろ腸間膜根の緊張の可能性の方が高いのでは、と考えます。
この事も、腸間膜根下部の緊張を解放する施術で十二指腸空腸曲付近の拍動が消失していた事から、妥当な考え方ではないか、と思われます。
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