VE3AWA横
VE3AWAの80 mtr. P-P TPTG
黎明期のハムのことを調べていく内に、プリミティブでシンプルなパーツに取り組む様子が浮かんできた。そして遂に究極のCW無線機にハマってしまいました。
 
何とか黎明期の無線機にチャレンジしてみたいと思い始めた次第です。そんな時にQRZ.comでVE3AWA Lou OM のページを拝見する機会がありました。
 
どうせ作るなら当時のスタイルを守りながら、単球式でブレッドボードを使うことを前提にした。もちろん自励式発振を使う以上は、周囲温度や周辺回路からの影響もさることながら、最大の不安定要素は電源でしょう。
 
前回までの「オートダインへの篤い想い」、「盆栽趣味の単球送信機」で考えたように、整流管を使うのも良いが、まず受信機と送信機に集中することにした。
 
このシリーズ「黎明期の探索」の{連載リスト」はこちらをクリック
 

 
現代の技術で安定した電源を供給できれば、周波数の変動(QRH)を最小限に抑えることができるだろう…との考え方で、まず電源から挑戦することにした。必要な電源仕様はおもに日本でも入手可能な真空管を、以下の通りを想定した。
 
TC03/5
TC03/5(Philips)
Vf=4.0V If=0.275A
Vp=300Vmax
Po=5W
受信機用電源は三極管(UX-201A、UX-12A、UY-27Bなど)と四極管(UX-222、UY-224、UY-24B、UY-35Bなど)で異なるが、フィラメント(F)の2.5V(1.75A)/3.3V(0.14A)/5V(1A)、プレート(P)の135V(4mA)/180V(4mA)/250V(5mA)あたりになる。
 
送信機用としては出力により大きく異なるが、UX-210(15W)はフィラメント(F)7.5V(1.25A)でプレート(P)425V(18mA)、TC04/10(10W)ではF=4V(1.1A)P=400V(43mA)、TC03/5(6W)でF=4(0.275A)P=300V(20mA)、UX-202A(5W)はF=7.5V(1.25A)P=435V(39mA)、UY-807(15W)で、ヒータ(H)6.3V(0.9A)P=600V(42mA)を満足する規格必要なようだ。
 

 
まとめると受信用フィラメントとしては、2.5V/3.3V/5Vで最大2A程度、プレートに印加するB電源は135V/180V/250Vでスクリーングリッドを考慮しても10mA以下となる。送信用フィラメントは4V/6.3V/7.5Vで最大1.25Aで、B電源としては250V/400V/500Vで50mA程度で良いだろう。
 
こうして考えると受信機用には、フィラメント回路(A電源)をハム雑音の防止から直流点灯で中点出力を設け、安定化で2.5V~5Vの可変式とする。プレート回路(B電源)は135V/180V/250Vステップアップとして出力安定化とする。
 
送信機用は、フィラメント回路(A電源)を受信同様の直流点灯中点出力として4V~7.5Vの可変式とする。プレート回路(B電源)は250V/400V/500Vで安定化可変出力とする。
 
シリーズ電源
真空管用シリーズ電源回路のブロック・ダイアグラム
 
早速ブロック図を起こしてみると上図のようになった。最大の課題はこんな都合の良いトランスがあるはずもないだろう。近い仕様の電源トランスが見つかると良いが、特注すると最低2万円前後になる。
 

 
思い切ってスイッチング電源で組むのも一つの方法かもしれない。スイッチング・レギュレータで一から組み立てるのは、それなりに大仕事になりそうだ。下図は既製品のスイッチング電源で構成してみた。正負両電源のスイッチングユニットはメーカー各社から出ていて価格も手ごろだ。
 
一方高電圧のスイッチング電源は、「松定プレシジョン」があるが、個人取引は行っていないのでアマチュア的には入手困難なようだ。
 
スイッチング電源
真空管用スイッチング電源回路のブロック・ダイアグラム
 
いずれにしても既製品のままでは、出力電圧の可変範囲が狭いので、少なからず改造、調整など手を加える必要がありそうだ。またスイッチング電源は比較的、高周波雑音の要因になり易いので、コモンモード・フィルタやノイズ防止キャパシティーなどのEMS対策が必須でしょう。
 

 
今回は単球送信機と受信機に使う電源回路の構想してみました。コスト・パフォーマンスを最優先に考えると、適当なトランスが見つかれば自作が良いのかも知れない。
 
rabbit
とりあえず(先送りの常套句)トランスを探すことに専念して、それから方針を決定したいと思います。
 
内容や表現の不備、間違い、誤用、ご質問などはコメント欄からお願いします。閲覧するタイミングによっては、返信に時間がかかる場合がありますのでご承知おきください。
 
 
 
 
フォロー4649
 



 
 
ハム黎明期の探索 連載リスト
 
  戦前の素人無線局    技術革新とハムの黎明期
  オートダインへの篤い想い    虎の子をはたいたお宝送信管
  盆栽趣味の単球送信機   盆栽趣味は安定電源から
  使えそうなトランスがあった    安定化電源の回路設計