“Love” make a detour19~Xmas in Fukuoka | かおり流 もうひとつの「宮」

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こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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きらきらコチラはサイドストーリー「“Love” make a detour」 ギョンとガンヒョンのお語です

ひらめき電球本編の更新お待たせしています 本編と同じ頃のギョン/ガンヒョン

↑のギョンと別れたあとのガンヒョン目線です
注意初めての方は本編はじめましてから順に読み進めて読みください
お探しのページがあれば目次をお使いください→全体の目次

 


まだ何か言いたげなギョンを振り返らずに そっけなく手を降った後搭乗した福岡国際空港へ向かう飛行機は JGグループの航空機
「っち あんたに守られてるイタイ妄想なら…しょっちゅうしてるっつのっ!
ばいばい… またね」
小さな窓の外 仁川空港が遠ざかって行く 仁川空港と一緒に ギョンも 遠ざかっていくようで…


ホント馬鹿よね あの事を気にしてるのは私より寧ろあんたの方でしょギョン

私にとってソヒョンはただ チェギョンの代わりだったんだと 自分でも解ったから ギョンにも気付かれた筈

それっきり夏中連絡が無くて 初めはドン引きされたのかとショックだったけど…実は自分の携帯が未払いで止められてただけだと 後で知った

 

「知らなかった 偶然だったんだと 泣きそうな声であたしに電話してきたのよ?許してやんなよ」
同じ大学のスニョンに電話してきて 会って謝罪させてくれと言われた

偶然でもなかったと思うわよ?

ソヒョンは 私が高校時代JGグループの御曹司に付きまとわれてたって過去を 知っていたもの

あの子はバイだったし…おそらく何らかの意図が有ったのよ

そんなダークな面を持ってるとも知らず チェギョンの代わりにしてたなんて 私が馬鹿だったのよ

あんたが 私の恋人と知っててソヒョンを誑かすなんて そんな器用じゃないって事くらい 解ってるわよ

 

それよりも ギョンにとっては親友である皇太子へ 嫁いだのに失踪したチェギョンへの友情以上の気持ちを知られたのに どんな顔して会える?

あたしには そんな勇気無かった

 

そしてギョンからはホントに連絡が無くなった

意地を張って処女を捨ててみても 何も変わらなかった

自分の心も…ギョンの気持ちも踏みにじったんだわ

だけど ギョンが入隊前に交通事故に遭って… 失うかと思って改めて 自分の中でのギョンの存在の大きさに 気付いた

久しぶりに再会して ギョンは離れて行ったんじゃなく あたしの想いを理解し尊重して そっとしておいてくれたんだと解ってどれだけホッとしたか 解る?

でももう手遅れだった

その体から漂う赤い箱の煙草の甘美な香りに ジェヒョンに抱かれてるのか ギョンに抱かれてるのか解らなくなって 脳が痺れて幸福と不幸を行き来してた

自分で自分を騙して… 私はすっかり 穢れてしまった

ジェヒョンにも申し訳なくて これ以上付き合えないと別れを告げた

 

チェギョンからは相変わらず連絡が無くて…ワイドショーで中傷されたりもした

皇太子は再婚を検討中だとか騒がれ始めて ギョンはひどく私を心配したけど そんな風に心配して貰う資格なんて無いのに 優しさに凭れ掛かりたくなかった

 

前を向こう 自分の二本の足でしっかり立とうと留学を決めた

いっそしばらく離れて見ればいいんだわ アイツの目の届かないところで自分がやりたい事だけに集中してれば きっとそのうちチェギョンも見つかる
誰にも言わず自分でそう決めたのに…空港でギョンに見送られて早速弱気になるなんて 甘えてんじゃないよっ!

初めての日本 緊張していたけど 福岡国際空港は仁川空港とは違って 福岡の中でも市街地にほど近かった
それでも地下鉄は終点駅なので 乗り間違える事も無い しかも韓国語のアナウンスも流れて ホッとした
まだ11月の半ばだけど 福岡の街はクリスマス色に染まってた
赤 緑 金 銀 見慣れない煌めく街 不安は拭えないけれど チェギョンも知らない街で新しい事を学んでるに違いないと信じて 私は顔を上げた
 

留学先の九州国立文化大学の寮に入寮した翌週 スニョンからメールが入った
皇太子殿下とキム・ミニョンが 明日本当に婚約式をするらしいと…

婚約式が23日に決まったというニュースを観ても あがいてるというあの電話を最後まで信じていたのに…

茫然自失で 返信することが出来なかった

やっと前を向こうと立ち上がったのに…

見慣れぬキャンパスと日本人の中で 新しい事を学ぶのに どうにもならない事で狼狽えてる場合じゃ無い

私に出来る事は 今は 殿下とチェギョンにとってこれが最善の着地点なのだと 信じるだけ

でも いくら考えないようにしてみてもチェギョンが心配で 穏やかでは居られなかった

婚約式を終えたはずのあの人から 再び連絡が来るまでは…



「メーリークリスマース!ガンヒョ~~~ン!!」
ぎょっ!やれやれ…
クリスマスに遊びに来たいなんて言ってたけど 絶対来ないでって言ったのに アイツは私が福岡の街に馴染むよりも早く 12月になった途端に会いに来た
「何がメリークリスマスよ!まだ3週間も先でしょっ!」
「いいじゃ~ん カタイ事言わないのっ!淋しかったっしょ?」
まあ 淋しかったのは事実だけどさ…

 

迎えに来てくんなきゃキャンパスに探しに行くなんて言うから 仕方なく迎えに行った空港

「シンの事恨んでるんじゃないかと思って…」

カフェモカを啜ろうと私の唇がカップに触れたところで 唐突にギョンが言った

ギョンの顔は…真顔
「あ…えと…そんな事…無い…って言ったら… 嘘になるかもね …はは」
私は 誤魔化そうとしたけど無理よね…と観念して とってつけたような乾いた声で笑って見せた
「ビックリしただろう?チェギョンの事どん位探したんかしんね~けどさ
自分を殺そうとして チェギョンを追い出した女と再婚するとか ありえね~よっ!って俺もキレそうだったんだけど 誤解なんだ」
「あ あの! 私も聞いたの

婚約式のニュース…日本でも流れたわ…確かに私ももう…チェギョンは戻れないんだと ショックだったんだけど…

実は数日前…」

 

韓国の皇太子の再婚 二度目の婚約式は日本ではそう大きく報じられなかった

身内だけで行われ 報道陣の前に姿を見せなかったため たった一枚のその写真は おそらく皇室広報部から発表されたものだろう 気にしていた私でさえ うっかり聞き流してしまいそうな ささやかなニュースだったけど それでも私には胸の潰れるようなニュースだった

 

その二日後 寮を出て 地下鉄の駅へ降りる階段の入り口の前で 滅多に鳴らない着メロが鳴った

え?コレ…殿下…

「ヨ…ヨボセヨ?」

「…」

返事が無い え?なんで?掛けて来て無言?

「ヨボセヨ?殿下…ですよね?」

「…っく…」

え?何?泣いてる?うそ…殿下がなんで私に電話してきて…泣いたりなんか…

「あ~もしもし 悪いな

自分で話すって言ったくせに 君の声を聴くなり涙が込み上げたようだ」

え?どういうこと?

「ほら…しっかり話せよ 彼女状況が飲み込めなくて困ってるだろう?」

「ガ…ヒョン…ごめ…」

この声…

「チェギョン…?チェギョンなの?え?どういうこと?殿下と一緒に居るの?」

「うん…うん…ごめ…ね」

え?

「もしもし 今 マカオに居るんだ

これから韓国に連れて帰るよ」

ああ… 確かに 中国語みたいなアナウンスと空港の雑踏っぽい音が聞こえる

「まだ 全て元通りに戻せるとは言い切れない段階だが…

チェギョンが帰ると言ってくれた以上 必ずそうするつもりだ

君には早く知らせて置きたくて…驚かせて悪かったな」

「そうなんだ…ありがとうございます

チェギョン…元気ですか?」

「ああ 来月 俺の子を産む予定だ」

「っ!?それは…おめでとうゴザイマス」

「ああ ありがとう 落ち着いたらまた連絡するよ」

「ええ 全く状況が飲み込めないけれど とにかく良い知らせが聞けたと理解して置きます」

 

ったく…なんなのよ…皇太子の馬鹿野郎!のろけたくて電話して来たのね?!

あはは… あはははは…

地下鉄の入り口で携帯電話を握りしめて泣きながら笑ってる韓国人は さぞ変な女に見えたんだろうな…

振り返る日本人の視線に気付いても 涙も笑いも 暫くは止まらなかった

 

 

「え~ 何だよぉ~っ!

ガンヒョンには空港から電話しておいて 俺にはなかなか電話してこないなんてヒドイやっ!あの後どうなったんだかヤキモキしてたのにっ!」

ギョンによれば 皇太子には双子の弟が居て その人と入れ替わってマカオにチェギョンを迎えに言ったんだとか その為にギョンに助けてくれと電話が有って 嬉しかったのに マカオから戻った知らせが来なくてハラハラしたんだとか大興奮で話すギョンを見てるとそれだけでホッとする

「きっと色々大変なのよ

偽物とはいえ 婚約式はやっちゃったんだから 取り消すにはそれなりの手順が有るだろうし…

落ち着いたら連絡くれるわよ」

「うん まあ そりゃあ信じてるどさ

俺はてっきりガンヒョンが何も知らずに傷付いてると思って…」

うん ありがと

「ちぇ…まあいいけどさ 赤ん坊に…早く会いたいな」

「出産予定日は18日だと聞いたけれど いつ会えるかな~

私は旧正月に帰りたいけど 日本は旧正月に連休が無いからね…
って残念そうな顔してるとこ悪いけど 日本は正月前後に冬休みが有るから一旦帰国しようかと…」

「じゃあ俺と一緒に帰国して会いに行く?」

「まだ冬休みには早いっつーの 一旦先に帰りな
ま せっかく来たんだもん 少し観光でもして行きなよ」

急にギョンの顔がパァッっと華やぐ

「え?!ホントに?!いいの?!」

あ まずい

「私は勿論学校が有るんだから一人でよ!」
「え~!一緒に観光デートしよーよー」
「無理!」
結局ギョンは大学に付いてきて一緒に講義を受けては 自分の事を私の恋人だとアピールして男子達を牽制してた
「だれも私に言い寄ったりしないってば」
「嘘つき! もしくは鈍感なの?
ガッカリしてるやついっぱい居たよ?」
も~(^_^;)
「そういうの あばたもえくぼっていうのよ あんたが私を過大評価してるだけだってば」

 


「へ~!そうなんだ~ だから発音良いのね 韓国語にも方言は有るのよ」
「あ~ じゃあガンヒョンさんも多分博多弁で日本語覚えるっちゃろうね くすくす
俺の元カノも博多弁バリバリやったもん」

大学のカフェテリアで ギョンがトイレに立った間に声を掛けられた男の子と話していた
彼は ソウルからの留学生が来ていると聞き付けて 探していたんだと言った
元カノがソウルの子だったんだと言う

「あっ!」
トイレから戻ったギョンが慌てたような声を上げるから 意地悪してやりたくなった
自分は数多の女とあんなことやこんなことしてるくせに 私は男の子と喋るのも駄目なの?!
するっと腕を組んで席を立つ
「韓国語が話せる人が居て心強いわ?
良かったら連絡先交換しない?」
私達は携帯電話の赤外線ポートを付き合わせて連絡先を交換した
「小林晴樹 よろしくね」

 

駆け寄ってきて間に割り込むギョン

「じゃあまた」

「またなんてないから期待すんなよ!」

韓国語が解る彼にも韓国語で悪態を吐く

「もうやめなってば~」

「油断も隙も有ったもんじゃない!モテ期に留学なんて…ブツブツ」

仁川空港に見送りに来たギョンは 私に彼氏が出来た事を知ってるみたいな口ぶりだったけど…

別れた事は知らないみたいだし 敢えて言ってない

でももう 以前の私とは違うって事も…知ってるの?

そのくらい気付いてるよね…プレイボーイだもん ね…

 

Xmasには少し早いけど キラキラした福岡の街を ギョンと歩いてみるのもいいかも…

「ギョン 行くよ」

「うん?」

「いいから カジャ!」

ギョンの腕に腕を絡めて歩き出す

I just want you for my own
More than you could ever know
Make my wish come true
All I want for Christmas is you

マライヤキャリーのクリスマスソングを口遊んだら 驚いたように私を見つめる

「か 勘違いしないでよっ?ただの歌でしょ!」

でも嬉しそうに笑った ギョンはこんなに素直なのに… 私 素直じゃないな…

 

 

l今日もお読み頂き ありがとうございますキラキラ

次回の更新は未定ですが

今年の更新がこれで最後にならないようにもうちょっと頑張ってみますね

 


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