オリヴァー・ストーンのドキュメント映画は

アメリカではBDも解説書も発売されており、

日本版DVDかBDもほどなく発売されるだろう。

 映画館やCSで観た人もかなりいると思う。

 で、今回の話は前回の続きで狙撃時に倉庫ビ

ル四階にいたヴィクトリア・アダムスという女

性がすぐ階段を下りたが、公式見解では六階か

ら二階に移動していたというオズワルドを認識

できなかったので、彼は下りておらず、六階には

いなかったので、狙撃者ではあり得ないという。

 彼女曰く、自分は一階まで一分以内に到達

したが、ウォーレン委員会は狙撃直後に下り始

めた言い分を捻じ曲げて報告書に掲載したとい

う。

 彼女の言い分を分析すると延々長くなるので

ようやく終わりが見えてきた拙著に譲るが、

ケネディ暗殺に多少なりとも興味のある人なら

良く知るトリビアに「狙撃後オズワルドが六階

から二階まで90秒で下りた公式見解はあり得

ない。彼は光の速さで移動したのか?」という

半世紀を超える疑問がある。

 ストーンの映画原案のギャリソンの本でさえ

この疑問を呈していた。

 だがストーンは「狙撃後アダムスは四階

から一階まで60秒以内に下りた」という

本人の言い分を何の疑問も無く受け入れて

いる。

 単純計算すると、彼女はオズワルドの

1.125倍の速さで下りたことになる。し

かも、かかとが7.5センチあるハイヒールを

履いた状態でだという。

 前者(オズワルドの下降)を絶対不可能

と60年近く嘲ってきた研究家たちが後者

(アダムスの下降)を絶対本当と称賛する

様は陰謀先にありきの極限のダブルスタン

ダードで、陰謀派研究家からさえ罵倒され

たぐらいだった。

 研究家バリー・アーネストがこの件を

クローズアップした時、批判の急先鋒に

立ったのが、ストーンの映画の脚本を

書いたジェームズ・デゥゲニオだった。

 陰謀派の彼はこの件では是々非々に徹した

が、ストーンがアーネストの言い分を

無批判で映画に入れることを了承し、

例の映画はああなったのだ。

 暗殺研究業界は腐りきっていて、オリ

ヴァー・ストーンは嘘吐きの人間のクズ

だが、日本でそれを知るのは奥菜秀次

ただ一人(独り)なのだ。

 

 何度も何度も何度も説明したが、アメリカでは

ケネディ暗殺陰謀説の人気は下降しており、直近

の世論調査では公式説支持は38%だという。

 オリヴァー・ストーンの新作ドキュメント映画

の四つの大ネタの一つにオズワルドのアリバイ

が成立した話があった。

 映画曰く、狙撃時に倉庫ビル四階にいたヴィク

トリア・アダムスは直後に階下に向かったが、

公式説で六階から二階に降りたというオズワルド

に追い抜かれることはなく、降りて来る彼を

認識もできなかったという。

 映画では両者の動きをアニメで解説していた。

   以下が画面のキャプチャーだ。

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 このシミュレートで見ると、オズワルドは三階

の少し下で彼女を追い抜くことになっている。

 だがこれでは彼女が一階分降りる間に彼は三階

分を移動したことになる。

 海兵隊上がりのオズワルドは階段を韋駄天走り

したのだろうか?

 こんな馬鹿な映像を作るストーンは現実感覚を

喪失しており、ほぼ狂人と化したとしか言いよう

が無い。

 この話には、ストーンと目撃者、研究家の三位

一体と化したより大きな嘘と隠蔽があるが、それ

は次回以降に譲る。

 

 日本におけるケネディ暗殺研究はここ数十

年ゴミ以下の最低レベルで、著作もホーム

ページもツイッターも狂人の妄想に満ちて

いる。

 著書名を出すのも嫌なうえ、けっこう多く

の人が同じ誤りを冒しているので具体的な名

は出さない。

 例の「魔法の銃弾・弾道図」はウォーレン

委員会版の公式弾道を示していると長い事

言われてきた。

 だが、弾が空中で軌道を変える例の図は

報告書にも資料集にも出てこない。

 では、なぜ多くの人が根拠のない嘘を

信じたのだろうか?

 下記がアメリカでかつて出回った図の

原型だ。似た図は複数あるが、複数の研

究家が引用したのはゲアリー・ショウの

『隠蔽』版のイラストだ。

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 右下のキャプションでは、図は「ウォーレ

ン委員会に依る無傷の弾の顕著な弾道」だと

いう。

 実際にはこれは研究家に依る解釈の結果

で、委員会報告書や資料集には出ていない。

 図が誤りである事実は今は日本でもかなり

知られているが、全て研究家のデマが原因で

彼らが捏造したことを知らない人がまだい

て、商業出版で堂々と誤りが書かれている

のは暗澹たる気持ちにならざるを得ない。

 書名は挙げないが、今日出たケネディ暗殺

本を読んでがっかりした。

 英語ができない人らしく、邦訳のある本や

番組だけを参考にしていて、目新しい話はな

かった。

 ケネディ暗殺に関する日本人著者の近刊が

あったが、内容はどうしようもない低レベル

だった。

 著者名も著書名も出すのが嫌なので、ここ

では出さないでおく。

 この本でも強硬に説かれていたが、暗殺研

究業界の少数派が提唱する陰謀説に

「ザプルーダー・フィルム合成映像説」が

ある。

 彼ら曰く、事件の前後を写したと信じられ

ているこのフィルムは合成映像、もしくは部

分改変されているという。

 多くの人、専門知識のない人々がこのフィ

ルムを見て「頭部被弾後、ケネディが後ろに

倒れている、これは前方狙撃を示す陰謀の証

拠だ!」と叫んだが、どういうわけか陰謀団

は、彼らの陰謀の証拠フィルムをわざわざ作

成する奇妙な行為に出たらしい。

 前置きはともかく、下のコマこそ合成

の動かぬ証拠だという。

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 これは、今現在一番解像度が良いライト

ボックス版の引用だが、フィルムのコマの上の

方の部分がずれていて、右端の木が空中から

生えているように見える、異常な映像だという。

 では、以下のコマを見てもらおう。

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 これは、フィルムの高解像度版の同じコマ

の引用だ。

 木が普通に生えていることがわかる。

 ザプルーダー・フィルムは所有者のタイム

ライフ社が編集中に誤ってオリジナルのフィ

ルムを傷つけてしまい、一部のコマが失われ

た経緯がある。

 上記212コマ前後がないのと、212コマが切

れているのはそのためだ。

 では、何故同じコマで切れ目がない通常の

物があるのだろうか?

 それは、このフィルムは現像後すぐに複数

のコピーが制作されたため、オリジナルから

欠けたコマをコピーから補填すればよいから

だ。 

 だが、1960年代初頭の技術では八ミリフィ

ルムのコピーはオリジナルを全て移す事が

できず、端のスプロケット部分が抜けて

しまう。そのため両方を繋げて上映すると

長方形の映像の中に真四角の映像が出て来る

ため見た目がおかしくなってしまう。

 ウォーレン委員会はこの差分にこだわり、

フィルムのコマを資料集に転載するに際し、

コピー補填を行わなかったため「失われた

コマ」という都市伝説が生まれた。

 これは初歩的知識だが、それを知る

日本人は奥菜秀次ただ一人のようだ。

 

 

 

 何度も説明したが、最近のアメリカでは陰謀

説支持と公式説支持の割合は2:1となっている。

 だが日本ではこの事実が全く知られておら

ず、「単独犯説を真実アメリカ人はほとんど

いない」という妄想がはびこっている。

 アメリカ最大の研究団体メアリー・フェア

ウェル財団の最新調査では公式説支持は38%

となっていた。

 事件に興味を持つ(奥菜秀次以外の)日本

人は妄想世界に生きているので、この事実が

信じられないだろう。

 

 ケネディ暗殺から60年の今年に出た映画や

テレビ番組、暗殺研究書や各種報道を今、検証

しているところだ。

 陰謀説は幼稚な嘘で、反陰謀派研究家の指摘

に対して陰謀派研究家はろくに答えず、バカの

一つ覚えを連呼するだけだ。

 自分で物を考える人なら陰謀派の言い分が

かなり奇妙で、特定の重要事項が抜けている

事に気付くだろうが、奥菜秀次以外はみんな

思考停止なので、永遠に気付くことはない

だろう。

 ケネディ暗殺陰謀説でなく、事件研究その

ものが人を狂わせる事は何度か説明した。

「頭部被弾直後のケネディの前方に大量の血と

脳組織が飛散し、遥かに少ない量が後方に飛ん

だが人々が後者しか認識できなくなり、”弾が

前から来た事が証明された”と人々が絶叫した」

「ザプルーダー・フィルムではケネディの右

側頭部の大きな傷が確認できるが、人々は

”ケネディの右後頭部が吹き飛んだ”と叫んだ」

「一発目被弾後のケネディを写した写真では

ジョンソンの顔の左半分が写っているが、

人々は”ジョンソンが消えた。彼は弾が来る

事を予期して屈んだのだ”と人々は叫んだ」

「上記写真は公式見解上の二発目発砲後を

写しており、シークレット・サーヴィスも

銃声に反応しているが人々は”ジョンソンが

弾が来るのを予期していた”と喚いた」

・・・・等、事件に興味を持った人々が

事実無根の妄想に囚われる実例を過去

説明したが、暗殺研究書の近刊でそのもの

ズバリの例があった。

 土田宏元大学教授の近刊『アメリカ

の陰謀:ケネディ暗殺と「ウォーレン

報告書」によると』ザプルーダー・

フィルムは陰謀団によるフェイク映像

だという。

 この、いわゆる「ザプルーダー・フィ

ルム合成映像説」はアメリカの研究家の

狂信派の間で持てはやされているヨタ

話で、元教授の本を読むだけで根拠が

かなり変なことがわかる。

 彼(の元ネタ本)によると、ザプルー

ダー・フィルム同様、事件前を記録した

ニックス・フィルムで同じ瞬間があるが

同じ位置の人の数が違い、前者は合成

だという。

 上がザプルーダー、下がニックスフィ

ルムで、問題部分は赤枠で囲んである。

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 上だと四人の人が見えるが、同じ位置なのに

下には白い上着を着た人が加わっており五人い

るから、上は合成だという。

 しかし、誰でもわかる話だが上では人々は

リムジンの真横にいて下では斜め後ろだ。

 問題のコマは時間軸では上が先で下が後で

あり同じタイミングでないため比較自体

意味がない。

 要は、リムジンが移動するその間に白

服の人がフレーム内に入ってきただけだろう。

 こんなトンデモ説でも本になるのだから、

世界は広いとしか言いようが無い。