ケネディ暗殺陰謀説でなく、事件研究その
ものが人を狂わせる事は何度か説明した。
「頭部被弾直後のケネディの前方に大量の血と
脳組織が飛散し、遥かに少ない量が後方に飛ん
だが人々が後者しか認識できなくなり、”弾が
前から来た事が証明された”と人々が絶叫した」
「ザプルーダー・フィルムではケネディの右
側頭部の大きな傷が確認できるが、人々は
”ケネディの右後頭部が吹き飛んだ”と叫んだ」
「一発目被弾後のケネディを写した写真では
ジョンソンの顔の左半分が写っているが、
人々は”ジョンソンが消えた。彼は弾が来る
事を予期して屈んだのだ”と人々は叫んだ」
「上記写真は公式見解上の二発目発砲後を
写しており、シークレット・サーヴィスも
銃声に反応しているが人々は”ジョンソンが
弾が来るのを予期していた”と喚いた」
・・・・等、事件に興味を持った人々が
事実無根の妄想に囚われる実例を過去
説明したが、暗殺研究書の近刊でそのもの
ズバリの例があった。
土田宏元大学教授の近刊『アメリカ
の陰謀:ケネディ暗殺と「ウォーレン
報告書」によると』ザプルーダー・
フィルムは陰謀団によるフェイク映像
だという。
この、いわゆる「ザプルーダー・フィ
ルム合成映像説」はアメリカの研究家の
狂信派の間で持てはやされているヨタ
話で、元教授の本を読むだけで根拠が
かなり変なことがわかる。
彼(の元ネタ本)によると、ザプルー
ダー・フィルム同様、事件前を記録した
ニックス・フィルムで同じ瞬間があるが
同じ位置の人の数が違い、前者は合成
だという。
上がザプルーダー、下がニックスフィ
ルムで、問題部分は赤枠で囲んである。
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上だと四人の人が見えるが、同じ位置なのに
下には白い上着を着た人が加わっており五人い
るから、上は合成だという。
しかし、誰でもわかる話だが上では人々は
リムジンの真横にいて下では斜め後ろだ。
問題のコマは時間軸では上が先で下が後で
あり同じタイミングでないため比較自体
意味がない。
要は、リムジンが移動するその間に白
服の人がフレーム内に入ってきただけだろう。
こんなトンデモ説でも本になるのだから、
世界は広いとしか言いようが無い。