ケネディが撃たれた直後、搬送されたパー

クランド病院での救命医の会見で「大統領の

喉は前から撃たれたように見える」との発言

があったが、一夜で内容が翻り射出孔、つま

り後方狙撃の証拠となった事実は60年に渡

り、隠蔽工作だの情報操作だの、救命医へ

の圧力だのと言われている。

 今回は単純な話しかしない。

 頭部と身体の他の個所を撃たれた人が

救命室に搬送された場合、体を伸ばして

ストレッチャーに固定して救命医療を

行うため、救命作業員には患者の前面

しか見えない。

 そのため、救命室員や警官が背面の

傷を見落とすことは日常茶飯事であり、

狙撃者の位置算定が「前方→後方」に

変わることは普通に起きている。

 問題は、救命作業員たちが把握した

ケネディの傷が「喉の小さな丸い傷」と

「右後頭部の大きな傷」だけだったことだ。

 ケネディの体をひっくり返していないた

め、背面の傷の有無も大小も形状も把握不

可能で、「右後頭部の大きな傷」という実

在しない傷はそのために生まれた。

 背面の傷の有無がわからないことは、傷

がない事と同義語であるため、喉の傷の

出口はないと判断され、この傷は射入孔と

判断するしかなかったのだ。

 ケネディの体はようやく検死時に反転され

て肩口の傷が確認できた遅々とした状態だった。

 これにより、喉の傷が射入孔でしかない可

能性は消え、様々な状況から射入孔判定が出た。

 何ら不自然なことはないが、今に至るも研

究家は「陰謀」「圧力」「隠蔽」「情報工

作」と騒ぎ喚き続けている。

 

 ケネディの遺体は公式見解である後方狙撃

者説に合わせて変造(偽の傷を付けること)

されていたと唱える本『ベスト・エヴィデン

ス』が1981年に出版されて話題を呼び、

ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー

リストに三月間載るほど売れた。

 著者ディヴィッド・リフトンは次回作

『FINAL CHARADE』の刊行を予告しな

がらも、2022年の死去までに本が出るこ

とは無かった。

 日本では全く知られていないが、この

本と著者には重大な疑惑がかけられてい

た。曰く

「『ベスト・エヴィデンス』は盗作だ」

「リフトンは持説(陰謀説と遺体変造

説)に合わせて既存資料を改竄してい

る」

「リフトンのインタビュー相手たちか

ら、証言を改竄されて本に書かれたと

いう告発が多数あった」

「本の著者ディヴィッド・リフトンは

架空の人物、もしくは複数の著者のペ

ンネームだ」

 等々、膨大な指摘が過去あった。

 上記全ての内容は全て根拠がある

事で、暗殺研究業界では良く知られて

おり、当方もそう睨んでいた。

 今回、リフトンの悪行三昧を告発

する大著がアメリカで出版され、

上記の指摘が事実だったことが

ほぼ確定した。

 いずれ公開の予定。

 

 1991年12月、映画『JFK』が公開され全世

界で大ヒットを飛ばし、オリヴァー・ストーン

の名声は一躍高まった。

 2021年11月、ドキュメント映画『JFK:知

られざる陰謀』(邦題)が公開されたが、映画

はカンヌでは買い手が付かず、ネットフリック

スはファクトチェックの結果、配信を断り、ナ

ショナル・ジオグラフィック・チャンネルも同

様だった。

 日本では今もストーンが大人気で影響力があ

ると思われているが、『JFK』以降はパットせず、

昨今は左寄りから極左狂信にまで振れてしまい、

ロシアのプーチン大統領を絶賛するイカレっぶ

りだ。

 米映画批評サイト、ロッテントマトで彼の前

記二つの映画評価を見てみた。

 以下は自動翻訳の画面で、劇映画の『JFK』

とドキュメントの『JFK』を対比してある。

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 いかがだろうか。両映画の公開時期から換

算すると、ストーンの聴衆人気は全盛期の約

1/70に下落してしまい、批評家の評価もかな

り下降している。

 だが日本では彼のインチキドキュメントを

観て感動し、陰謀の存在をさらに確信する人

で溢れており、ストーンの人気がかつての2%

以下にまで暴落したことも、新作ドキュメント

が事実上の捏造映画だったことが暴かれたこと

も知られていない。

 バカは死ななきゃ治らないとはこの事だ。

 

 

 オリヴァー・ストーンのドキュメント映画は

アメリカではBDも解説書も発売されており、

日本版DVDかBDもほどなく発売されるだろう。

 映画館やCSで観た人もかなりいると思う。

 で、今回の話は前回の続きで狙撃時に倉庫ビ

ル四階にいたヴィクトリア・アダムスという女

性がすぐ階段を下りたが、公式見解では六階か

ら二階に移動していたというオズワルドを認識

できなかったので、彼は下りておらず、六階には

いなかったので、狙撃者ではあり得ないという。

 彼女曰く、自分は一階まで一分以内に到達

したが、ウォーレン委員会は狙撃直後に下り始

めた言い分を捻じ曲げて報告書に掲載したとい

う。

 彼女の言い分を分析すると延々長くなるので

ようやく終わりが見えてきた拙著に譲るが、

ケネディ暗殺に多少なりとも興味のある人なら

良く知るトリビアに「狙撃後オズワルドが六階

から二階まで90秒で下りた公式見解はあり得

ない。彼は光の速さで移動したのか?」という

半世紀を超える疑問がある。

 ストーンの映画原案のギャリソンの本でさえ

この疑問を呈していた。

 だがストーンは「狙撃後アダムスは四階

から一階まで60秒以内に下りた」という

本人の言い分を何の疑問も無く受け入れて

いる。

 単純計算すると、彼女はオズワルドの

1.125倍の速さで下りたことになる。し

かも、かかとが7.5センチあるハイヒールを

履いた状態でだという。

 前者(オズワルドの下降)を絶対不可能

と60年近く嘲ってきた研究家たちが後者

(アダムスの下降)を絶対本当と称賛する

様は陰謀先にありきの極限のダブルスタン

ダードで、陰謀派研究家からさえ罵倒され

たぐらいだった。

 研究家バリー・アーネストがこの件を

クローズアップした時、批判の急先鋒に

立ったのが、ストーンの映画の脚本を

書いたジェームズ・デゥゲニオだった。

 陰謀派の彼はこの件では是々非々に徹した

が、ストーンがアーネストの言い分を

無批判で映画に入れることを了承し、

例の映画はああなったのだ。

 暗殺研究業界は腐りきっていて、オリ

ヴァー・ストーンは嘘吐きの人間のクズ

だが、日本でそれを知るのは奥菜秀次

ただ一人(独り)なのだ。

 

 何度も何度も何度も説明したが、アメリカでは

ケネディ暗殺陰謀説の人気は下降しており、直近

の世論調査では公式説支持は38%だという。

 オリヴァー・ストーンの新作ドキュメント映画

の四つの大ネタの一つにオズワルドのアリバイ

が成立した話があった。

 映画曰く、狙撃時に倉庫ビル四階にいたヴィク

トリア・アダムスは直後に階下に向かったが、

公式説で六階から二階に降りたというオズワルド

に追い抜かれることはなく、降りて来る彼を

認識もできなかったという。

 映画では両者の動きをアニメで解説していた。

   以下が画面のキャプチャーだ。

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 このシミュレートで見ると、オズワルドは三階

の少し下で彼女を追い抜くことになっている。

 だがこれでは彼女が一階分降りる間に彼は三階

分を移動したことになる。

 海兵隊上がりのオズワルドは階段を韋駄天走り

したのだろうか?

 こんな馬鹿な映像を作るストーンは現実感覚を

喪失しており、ほぼ狂人と化したとしか言いよう

が無い。

 この話には、ストーンと目撃者、研究家の三位

一体と化したより大きな嘘と隠蔽があるが、それ

は次回以降に譲る。

 

 日本におけるケネディ暗殺研究はここ数十

年ゴミ以下の最低レベルで、著作もホーム

ページもツイッターも狂人の妄想に満ちて

いる。

 著書名を出すのも嫌なうえ、けっこう多く

の人が同じ誤りを冒しているので具体的な名

は出さない。

 例の「魔法の銃弾・弾道図」はウォーレン

委員会版の公式弾道を示していると長い事

言われてきた。

 だが、弾が空中で軌道を変える例の図は

報告書にも資料集にも出てこない。

 では、なぜ多くの人が根拠のない嘘を

信じたのだろうか?

 下記がアメリカでかつて出回った図の

原型だ。似た図は複数あるが、複数の研

究家が引用したのはゲアリー・ショウの

『隠蔽』版のイラストだ。

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 右下のキャプションでは、図は「ウォーレ

ン委員会に依る無傷の弾の顕著な弾道」だと

いう。

 実際にはこれは研究家に依る解釈の結果

で、委員会報告書や資料集には出ていない。

 図が誤りである事実は今は日本でもかなり

知られているが、全て研究家のデマが原因で

彼らが捏造したことを知らない人がまだい

て、商業出版で堂々と誤りが書かれている

のは暗澹たる気持ちにならざるを得ない。

 書名は挙げないが、今日出たケネディ暗殺

本を読んでがっかりした。

 英語ができない人らしく、邦訳のある本や

番組だけを参考にしていて、目新しい話はな

かった。

 ケネディ暗殺に関する日本人著者の近刊が

あったが、内容はどうしようもない低レベル

だった。

 著者名も著書名も出すのが嫌なので、ここ

では出さないでおく。

 この本でも強硬に説かれていたが、暗殺研

究業界の少数派が提唱する陰謀説に

「ザプルーダー・フィルム合成映像説」が

ある。

 彼ら曰く、事件の前後を写したと信じられ

ているこのフィルムは合成映像、もしくは部

分改変されているという。

 多くの人、専門知識のない人々がこのフィ

ルムを見て「頭部被弾後、ケネディが後ろに

倒れている、これは前方狙撃を示す陰謀の証

拠だ!」と叫んだが、どういうわけか陰謀団

は、彼らの陰謀の証拠フィルムをわざわざ作

成する奇妙な行為に出たらしい。

 前置きはともかく、下のコマこそ合成

の動かぬ証拠だという。

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 これは、今現在一番解像度が良いライト

ボックス版の引用だが、フィルムのコマの上の

方の部分がずれていて、右端の木が空中から

生えているように見える、異常な映像だという。

 では、以下のコマを見てもらおう。

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 これは、フィルムの高解像度版の同じコマ

の引用だ。

 木が普通に生えていることがわかる。

 ザプルーダー・フィルムは所有者のタイム

ライフ社が編集中に誤ってオリジナルのフィ

ルムを傷つけてしまい、一部のコマが失われ

た経緯がある。

 上記212コマ前後がないのと、212コマが切

れているのはそのためだ。

 では、何故同じコマで切れ目がない通常の

物があるのだろうか?

 それは、このフィルムは現像後すぐに複数

のコピーが制作されたため、オリジナルから

欠けたコマをコピーから補填すればよいから

だ。 

 だが、1960年代初頭の技術では八ミリフィ

ルムのコピーはオリジナルを全て移す事が

できず、端のスプロケット部分が抜けて

しまう。そのため両方を繋げて上映すると

長方形の映像の中に真四角の映像が出て来る

ため見た目がおかしくなってしまう。

 ウォーレン委員会はこの差分にこだわり、

フィルムのコマを資料集に転載するに際し、

コピー補填を行わなかったため「失われた

コマ」という都市伝説が生まれた。

 これは初歩的知識だが、それを知る

日本人は奥菜秀次ただ一人のようだ。

 

 

 

 何度も説明したが、最近のアメリカでは陰謀

説支持と公式説支持の割合は2:1となっている。

 だが日本ではこの事実が全く知られておら

ず、「単独犯説を真実アメリカ人はほとんど

いない」という妄想がはびこっている。

 アメリカ最大の研究団体メアリー・フェア

ウェル財団の最新調査では公式説支持は38%

となっていた。

 事件に興味を持つ(奥菜秀次以外の)日本

人は妄想世界に生きているので、この事実が

信じられないだろう。