京都の食の至宝ベルロオジエ | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

ジャン=ピエールの霧の中の原風景

こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

西宮より2019年京都河原町に魅力的な中国料理店ベルロオジエが完全に移転してきた。


ヌーベルシノワとかフレンチと中国料理とのフュージョンとか色々言われるが、中国料理というモチーフを通してシェフのセンスと考えが見事に料理に溢れでているということがこの店では体現できる。
店は黒を基調としたシックなしつらえで店内に入るまでは要塞に向かっているような感覚に陥る。
飲み物は私の好きなアヤラのシャンパーニュがリストにあったのでそれをいただく。


アミューズブッシュからしてフォルムが中華ではない。



春巻きの皮というよりパートブリックであろう。
サバイヨンソースがかかり中には海老のすり身など色々入っている。


蛍烏賊は2種類のムースやピューレで軟らかく包まれていた。


この店のオーナーシェフが作る料理は引き算の料理ではなく、たし算の料理となっている。
色々な素材が素晴らしいセンスと緻密に計算された構成力によりワクワクさせる料理へと昇華し、素晴らしきものが次々と提供されていく。
時に筍と山椒のソースなどには度肝を抜かれる。


そして、圧巻だったのは餃子である。
器の下にフランのようなムースが敷かれその上に挽肉、ニラ、パートブリック、さらに一番上にはニラのかき氷がかけられている。
それをよく混ぜて食べると味わいは確かに美味しい餃子となるのだ。


鱒には上質な豚バラ肉とラルドが合わされ、工夫されたソースが2種類添えられる。
フランス料理のような中国料理ではなく、フランス料理で使われる技法は使われてはいるがまぎれもなくたし算のされた美味しい中国料理なのである。


花巻も繊細で美味しい。


品のいい豚骨スープがかけられた海老をつつんだ飯蒸しみたいなものや


豚肉を濃厚なエピスソースで仕上げたものと中国料理然とした牛肉の赤ワイン煮のパイ包みが一つの皿の上で合わされている。
食べ進めていく中で、期待感と高揚感が止まらない。


最後は広東風のスープ炒飯に見えるが、素材の拘り方と重ね方が香港のその辺のものとは全く違う。
スープは出汁のようである。


デザートもただものではない。
杏仁豆腐の上に八角を隠し味にして炊いた小豆が重ねてある。


食後の飲み物はワイルドな野生の中国茶である。
何杯でもお代わりを持ってきてくれる。


プティフール、ミニャルディーズも中国料理なのだ。


涙の雫のようなフォルムの中華マカロンなど一つひとつが美しくかつ美味しい。
今回は昼食をいただいたが、質やセンスだけではなくボリュームもたっぷりで素晴らしいひと時が過ごせたのだ。
まだあまり知られていないようだが、中国料理では京都唯一ミシュランの星を獲得しているし、この内容なら程なくして予約を取るのが難しい店になってしまうだろう。