東京ステーションホテルアトリウムでの日本一の朝食 | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

東京ステーションホテルの朝食は6時半から始まる。
8時過ぎになると混み合うと聞いたので、ほぼ開店時間に4階にある朝食会場のアトリウムに向かう。



アトリウムに着くとまだ満席にはなっていなかった。


東京ステーションホテルの朝食は110種類のメニューから構成されていて、それを総料理長が威信をかけてチェックしている。
したがって、他のホテルのビュッフェと違い、全ての素材と調理状況のレベルが高く非の打ち所がない。


生野菜一つをとっても新鮮でかなり美味しい。
トウモロコシの冷製スープなどレストランに普通に出てくるレベルである。


オムレツも他のホテルと違い作る方のホスピタリティも違えば中に入れてくれるものも違う。
私がお願いしたオムレツの中身はビーフシチューだったが、ビーフシチューはフォンドボーと赤ワインがしっかり効いていて舌を巻くレベルのものだった。


エッグベネディクトも料理人が目の前で作ってくれる。


そして、また驚かされたのはソーセージ類の美味しさである。
他のホテルとは全く違うレベルの2種類のソーセージやハム類が味わえる。
焼きたてのラザニアさえあるのだから驚きだ。


なにせ110品目もの飲食物があるわけなので選ばないとなかなか一通り味わうことは難しいだろう。
さて、洋食はこのくらいにして、魅力的な和食も食べてみる。
画面の制限があるので細かく伝えられないが、まず刺身があるのだ。
それもしっかりとした本鮪赤身や新鮮な自家製焼き切りの鰹が提供される。
イクラなど札幌に負けないくらい粒が大きく立派なものを出していた。
中国系の客がイクラをどんぶり一杯持っていってもすぐさまスタッフが補給してくれる。
そのサービスやホスピタリティも物凄くいい。
とろろも牡蠣の自家製燻製もどれも良かったが、和食コーナーで一番感動的だったのは削りたての鰹節である。
それも枕崎の雄節の枯れ節であろう。
醤油も立派なものが何種類も置いてあり、魯山人のような風貌の方はご飯に鰹節を山盛りに載せ醤油をかけて持っていかれた。
全ての品目で一つだけ苦言を呈するなら刺身コーナーにあった本山葵のレベルだろうか。
これさえ立派なものなら錦木が作れたろうにと少し残念だった。
土用丑の日には、朝から鰻の蒲焼きが並ぶという。


食後のデザート類も凄い。
ナチュラルチーズが、ブッシュドルッセ、ミモレット、コンテ、カマンベール、ロックフォール、燻製ゴーダチーズの6種類あるのだ。


チーズ好きの私は勿論皿に盛ってきてしまう。



フルーツも尾花沢西瓜や夕張メロン、それにマスクメロンまで置いてあった。



搾りたてのオレンジジュースはやや酸味が強くフォーシーズンズホテルやいにしえのホテル西洋銀座のレベルにまでにはなってなかった。


そして、デザートの中で白眉だったのは
小さいがチーズケーキである。
これは美味しかった。


それに比べると、ムースショコラや白葡萄のジュレはもう一つか。
ブランマンジェはなかなか美味しかったが…


和のデザートも水饅頭、豆かん、求肥、小豆、自家製大学芋まであった。


天井の高い東京駅の屋根裏部屋にあたるアトリウムでこういう朝食がとれるのは奇跡に近いと思う。
後悔の念にかられるのは、自家製ビーフカレーを食べ損ねたことである。


ただし、この東京ステーションホテルのアトリウムでの朝食は宿泊者以外は食べることができない。
この朝食を食べるだけでも東京ステーションホテルにまた泊まりたいものだ。
ただし、時節によっては宿泊代は帝国ホテルの倍以上になることも少なくないので注意が必要である。
サービスの面でも東京では群を抜いて一番のホテルだと思う。
今のパリのブリストルは、東京ステーションホテルのサービスやホスピタリティを是非見習ってほしい。