嵐山錦の京料理 | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

嵐山錦に向かう。


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優しい仲居さんは預かってもらうつもりの白豆腐をその場で出して来てくれた…ということはいつぞやのブログの画像でお伝えした。
その日も華やかで古語でいうなら「いとうつくし」錦の京料理をいただいたのである。

ちなみに後でわかるだろうが、飲める方はこのお店では日本酒を頼むべきである。


最初はいつもの揚げ辛子豆腐である。


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貝割菜が添えてあり、下には土佐醤油が敷かれている。

揚げ出し豆腐がお好きな方にはたまらないだろう。


次はお造りとなる。
鯛の昆布〆めへぎ造りであった。


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鯛がしっとりとしていて美味しい。

貝合わせのいれ物の中には煮切った日本酒と僅かな出汁醤油と仄かな梅酢を合わせたものが入っていた。


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刺身のツマや薬味もただ者ではない。

薄写しけん、磯海苔、坂本菊、もろみにんにく、青み、山葵である。

その後、お椀として、月見蕎麦が出された。

茶蕎麦の上に温泉卵と山の芋、磯海苔、洗い葱、山葵が載せられている。


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続いて桜宿膳が出される。

二段の引き出しになっていて、雛飾りのように可愛らしいが、

一つ一つ中身がしっかり作られている。


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上段は酒肴になっていて、臼の形をした器の上には月見餅が、兎の形をした器の中には鮭明太子和えが入っていた。

黒塗り三宝の上には、海老小袖寿司と肝時雨煮、満月厚焼き玉子と揚げ銀杏、黄身酢がかけられた秋刀魚胡瓜巻きが置かれていた。



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下段は炊き合わせになっている。

軟らかくとろけるような豚の角煮と私の大好きな小芋の旨煮が木の芽を載せて鎮座していた。


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そして蒸し物が出される。
蓋を開けると着せ錦蒸し百合根饅頭が姿を現す。

軟らかい百合根のムースのようなものの中には鴨肉のミンチが入っている。


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その上に包み込むように銀餡がかけられ、その周りにオクラが散らしてある。
美味しくないわけがない。
心を鷲掴みにされ我を忘れ味わう。
まさに京料理の神髄を垣間見る気がした。
料理の最後は錦名物もずく雑炊である。


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このもずく雑炊をまねする料理屋も時折見かけるが他の追随を許さない味わいなのである。
水物として葛餅をいただき、部屋を後にする。

これで一番量の少ない野々宮コースである。

価格が何段階か揚がって行くがここまでは共通で後は皿数が増えるだけである。

これでお腹いっぱいである。

一番高いコースなど普通の方が食べきれるのだろうか。

もずく雑炊のお代わりいかがですかと勧められたが私は無理であった。

この野々宮コースが昼でも夜でも4000円台の舌代なのだから極めて良心的だと驚きすら感じる。


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行きは門の前で出迎えてくれた女将が帰りも同じ門の前で私が見えなくなるまでいつまでも見送ってくれるのであった。


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やはり嵐山錦は京の名店である。


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