珍しいお店に巡りあえた。
銀座のジョーズ上海ニューヨークである。
世界三大小龍包の一つと言われるニューヨークを本店とした中国料理店である。
やや薄暗い店内に入ると受付でおもむろに名前を聞かれウェイティングバーに恭しく案内される。
そのウェイティングバーのスペースはかなり広めでそこで営業ができそうなくらいである。
深く落ち着いた真紅のヴェルベットのソファといい、スワロスキーが煌めくシャンデリアといい、安室奈美恵がつけそうなスタッフのピンマイクといい、全てがとんでもなくバブリーなのであった。
ニューヨークが本店だからだろうが今時このバブリーさはレアである。
つい笑みがこぼれてしまう。
高級クラブでお立ち台全盛期にボディコンスタイルで活躍されていた方は涙を流して喜び懐かしむだろう。
店内に流れるニューヨークさながらのジャズボーカリストの歌声とともになぜか胸が熱くなる思いがする。
さて、料理だがこれだけ豪華だとさぞや価格の方もバブリーかと思いきや土日祝日のランチの
価格設定ながら1500円前後とかなり抑え気味である。
裏情報で麺類の麺が美味しくないと聞いていたので麺類はすべて外した。
そして消去法で最後に残った候補が黒酢酢豚であった。
メインを黒酢酢豚のコースにしてみる。
最初に水が出されるが、その使われているグラスがリデルの白ワインようのステムなしグラスであった。
赤いテーブルクロスにこのグラスは映える。
なかなかセンスがいいではないか。
程なくしてコースの最初の料理、揚げ春巻きが届けられた。
揚げ立てのすこぶるパリパリというわけではなかったが、味がしっかりしていてなかなか美味しい。
その後、名物の小龍包が二種類、セイロに入れられたものが出された。
大きすぎて普通の蓮華には収まらないので、特製のこの受け皿をお使いくださいと言われたが、確かに一個分の小龍包がかなり大きい。
最初に蟹味噌と蟹肉入り小龍包を食べてみる。
中にスープがたっぷり入っているし、そのスープがとてつもなく濃厚である。
濃厚なのが好きな方にはたまらないだろうが濃すぎるのが得意でない方は辟易するだろう。
もう一種類の小龍包は更に濃厚な感じがした。
私には平気である。
メインの黒酢酢豚のおでましである。
見るからにチャーミングないでたちであった。
食べると美味しいではないか。
正に上海のスタイリッシュな黒酢酢豚の味わいである。
黒酢に微かに林檎の風味も感じられる。
肉もカリッと揚がっているし、分厚い三種類のバプリカも美味しかった。
中国コーンスープも濃厚で食べごたえがあった。
最後のデザートはパンナコッタ風のオリジナルの杏仁豆腐である。
杏仁豆腐をプリンのようにねっとりさせたもので、これまた濃厚な食べ物であった。
一緒についてきたジャスミンティーが上等なもので美味しかった。
これで1550円はやはり安いだろう。
この黒酢酢豚ランチはお薦めである。