新井薬師銀座の奥に入って行くとアイヌ料理店レラチセがある。
レラチセは1994年に全国の人から集められた募金でできたアイヌ料理店である。
店内に入り二階に上がったら、アイヌの神様のようなものが奉ってあった。
阿寒湖のアイヌ村出身のご主人がそのことについて話をしてくれ、さらに華麗な踊りまで見せてくれた。
少年らしさが残った素敵なご主人である。
アイヌ語でエゾジカのことをユクという。
ユクの足の腱はトンコリという楽器の絃になったりする。
そのトンコリを使ったOKIの現代音楽が店内にかかっていた。
ユクのステーキはまろやかでクセが全くない。
行者ニンニクのたっぷり効いているタレをかけて食べてみる。
すこぶる美味しい。
シケレペという芳香を持つ実を合わせたかぼちゃの混ぜ煮にはトウモロコシや金時豆も入っていてなぜか懐かしい味わいである。
アイヌ伝統の食ムニニイモはジャガイモ系の味わいで素朴な香ばしさが楽しめる。
昆布と鮭の旨みがきいた具たくさんのお汁オハウは元祖三平汁であろうか。
ニシンは北海道から特別なものを仕入れてきて、それを20分かけて焼いている。
焼きあがったニシンは30センチもの大きさでそれもメスでお腹の部分はすべて数の子であった。
たいへん上等なニシンで東京の魚屋では普通まず見かけることはないだろう。
アマムイペは白米にメンクルというイナキビと金時豆を入れたご飯である。
ニシンやオハウと一緒に食べたが最高であった。
こんな現地さながらの本物のアイヌ料理が東京中野の近くで食べられるなんて奇跡であった。