冬の京料理の代表といったら何と言ってもかぶらむしであろう。
烏丸東洞院通り近くを歩いていたら、達筆な字で名代かぶらむしと書いてあるお店があった。
割烹・京都料理のお店うをすえである。
古くからのお店に見える。
こういうお店は値段など書いた献立表などを店先に置くなどという無粋なことをしないので、価格設定はよくわからない。
でも、直感でこのお店はきっと美味しいと思ったのでその日の夜訪れてみた。
店内に入ると一階には白木のカウンター席があり、二階は座敷になっているらしい。
たくさんの靴が下駄箱にあったので、二階は込み合っているようだった。
私は白木のカウンター前に座った。
初老の大将を始めお店の方がいい感じで対応をしてくれる。
メニューを見て驚いた。
安いのである。
お造りの盛り合わせ(1200円)、かぶらむし(1000円)、若狹の甘鯛(ぐじ)の浜焼き(1500円)、最後に美味しさに自信ありと書かれていたご飯を迷わず頼む。
お酒は伏見富翁の純米大吟醸の冷酒(1050円)にした。
同じ伏見の英勲の一吟よりも甘みがあるが旨みがあって美味しい。
最初にお通しでフグの皮の和え物が出された。
お造りはボリュームもあり、京都のお造りという味わいであって美味しい。
ぐじは何と平八茶屋で食べたのと同じで若狭焼きであった。
これは鱗ごと焼くので焼き方が難しい。
美しく焼かれた若狭焼きは鱗がバリバリで旨みがあって最高だった。
そして、いよいよかぶらむしのおでましである。
見るからに美味しそうだ。
甘鯛の上にかぶらのすりおろしたものをかけて蒸したあと銀出汁に葛でとろみをつけてかけてある。
一口食べて驚いた。
ものすごく美味しい。
かぶらむしにかける餡は卵白を入れるタイプのもあるがこの店のものは入れてない。
そのためかぶらそのものの素材の味が十二分に楽しめる。
身も心も温まる逸品であった。
最後に出されたご飯も確かに美味かった。
きらびやかで派手な美味しさではないが、炊き方が上手でご飯が光っている。
米粒もきっと揃えたのであろう。
真心のこもったいぶし銀の旨さを感じた。
赤だしの味噌汁も絶品だった。
山椒の粉がやはりかかっていて京都らしい。
漬物も素晴らしい。
しば漬は一目でニシダやのものとわかった。
昼は店内で食べるお弁当が1050円だと言う。
実は70年続いている老舗であった。
中庭にはなんとお社があった。
いいお店を知ったものだ。
四条烏丸の近くに来たらまた是非とも再訪したい。