こだわり地方料理トラットリア(関東版) | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

私は地方料理が大好きである。
その地方に行って実際に地元のお酒と一緒に味わうのが確かに理想的であるが、それでも地元の地方料理を実直に作って出しているお店に出会うと頬がゆるむ。
そんなお店が新宿三丁目にあった。
トラットリア・ブリッコラである。


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同じお店でも楽しみ方の違いでかなり印象が変わってくる。
私はとことんイタリアの地方料理とイタリアの土着的なワインにこだわって注文することにした。
最初にウサギの前菜とサルチェートスブマンテをお願いした。
ウサギはフランスでいえば飼育兎のラパンの方であるが処理が丁寧になされていて旨味をうまく活かしながら上手に調理されている。


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たいがいパサパサに調理されがちのウサギ肉はマルサラ酒をほんのり効かし上手にソテーされていた。
コクと風味がよく感じられるスプマンテとともにこの一皿は充分楽しめた。


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次に出てきたのは自家製ピーチ・マンマ風ラグーであった。


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まさに北イタリアのおばあちゃんの味である。
ピーチは日本で言うところのモチモチとした手打ちうどんのような太さのパスタである。
麺もいいがラグーがよくできていた。
子牛肉の風味がたっぷりでしみじみと美味しい。
ワインはウンブリア州のチリエジョーロにしてみた。


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珍しくこの単一品種だけで作られた赤ワインだった。
一口、口に含んで驚いた。
価格はかなりおさえているのに、私の好きな味わいである。
こってりという感じではないがコクもあり風味と渋みのバランスがいい。
ピーチ・マンマ風ラグーにとてもよく合うではないか。

このお店はとんでもなくグラスワインが充実している。
それもソムリエの方にお話するとメニューに載っていないもまでたくさん出してきてくれる。

次の料理、カネデルアプレサーティにはウンブリア州のパオロ・ベアの作ったサンタ・チアラという5種類の遅摘み葡萄で作ったコクのある白ワインをソムリエの方と相談のうえ選択した。


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5種類の遅摘み葡萄はマルバジア、ガルガネガ、グレケット、シャルドネ、ソービニオンあたりだろうか。
このワインはサッサイアをすっきりさせてパッシートを辛口にしたような感じであった。
カネデルアプレサーティはフワッとしていてとても柔らかく旨味があってとろけるつくねのような味わいである。


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カネデルアプレサーティにチリエジョーロもサンタ・チアラもとてもよく合っていた。
メインはトローテ・イン・ブルーである。


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これはアルトアディジュの地方料理でヤマメをコンフィにしたもので骨まで全部食べられる。
デミノナジオーネのアラリオの造り手ポルポーラによるロゼ色の赤ワインは辛口のフランボワーズの香りが心地よくヤマメのブルーにかけた溶かしバターと相性抜群であった。


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この店のグラスワインのセレクトは並外れた知識とセンスに裏づけされている。
先入観なくもしやと思って尋ねてみたらソムリエの方はやはりあの名店ロッサーナにいらっしゃった方だった。
彼は私の顔を知っていてくれていた。
ワイン会やパーティーかなんかで何度か見かけたらしい。
偶然であったのだが何か感じるものに引き寄せられてこのお店に来てしまったかもしれない。
食後のドルチェミストはカンノーリとティラミスとジェラートの盛り合わせだった。


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どれも秀逸なドルチェである。
特にカンノーリは目をみはる美味しさだった。

デザートワインとともにいただく。


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このレベルのカンノーリはシチリアに行かないとイタリア国内でもなかなか食べられないと思う。


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新宿に素敵なイタリア地方料理とワインを楽しめるお店を見つけられて私は嬉しかった。
イタリアのトリノのバールとそこから見える山の景色がなんだか恋しくなってしまう。