室町和久傳の料理と青竹酒 | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

ジャン=ピエールの霧の中の原風景

こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

龜末廣で京のよすが等の京菓子を購入した後、街並みを眺めながら散策していたら室町和久傳の前を通った。

思いついて翌日の予約をとり、改めてお店を訪れた。

移転してからは久しぶりの来訪である。

店の前の可愛らしい藤の花がお出迎いしてくれた。


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以前は座敷の個室だったが、今回はカウンター席に通される。


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もともと呉服屋であった町屋を改造して作られた店内は、吹き抜けの天井が高く陽光が射して気持ちがいい。


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このカウンター席の部分もきっと走り廊下であったのだろう。

目の前で板前さんの料理を作るのを見ることができるし、この席の方が座敷の個室より気持ちよい。

板前さんも慇懃ではあるが気さくに話に応えてくれる。

超有名店の機械的に料理が出てくるピリピリとした雰囲気よりもこのスタイルの方が断然私の好みである。


まずは青竹酒を注文する。


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青竹エキスの影響があるのかどうか知らないがなぜかこの冷酒は美味しい。


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結局二本飲んでしまった。


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先付けは、菜の花、甘鯛、平貝の二種類のジュレかけである。


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ジュレは酢で作ったジュレと桜の香りのするジュレであった。

甘鯛や平貝が葉のもので包まれていて、フレンチの豪華な前菜に出されても遜色のない見事な先付けであった。

甘鯛は私の大好物のうちの一つである。


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こんな上等な淡路の甘鯛は京都の料亭ならではであろう。


次にふきの胡麻和えが出される。


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品がいい味わいで美味しい。


そして椀物は蛤仕立ての筍の椀である。


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蓋を開けて食べてみると…


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上等な筍の美味しさは勿論のこと、蛤のねっとりとした濃厚な出汁には驚いた。

蛤の形は一切残していないが…

出汁に溶け込んでいるのである。


お造りは、横輪とかざ海老の造り、白ずいき(里芋の茎)添えであった。


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横輪は本鮪の稚魚である。

涼やかな味わいでこのくらいの脂ののりが私の好みである。

かざ海老は今朝淡路で捕れたもので、すこぶる新鮮で美味しかった。

ずいきも好物である。

光をあてないで作った品のいい白ずいきを私は初めて食べた。

そしてもう一つ絶品なのが有賀山葵園の山葵である。

この山葵だけで酒の肴になるいつもながらたいへん上等なものであった。

焼き物はサワラの幽庵焼きである。


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品がいい味つけで香りもいい。

しみじみと美味しい。


その後、蓬豆腐が出される。

この蓬豆腐は作り方が凝っていて、豆乳と葛だけで作ってある。


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ねっとりとして蓬の香りが心地よく上に載っている雲丹とともにたいへん楽しめた。

盃を口に運ぶ手がとまらない。。


炊き合わせはキンメ鯛、蓬入りの自家製餅、厚揚げであった。


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目の前で捌いてくれたキンメ鯛も美味しかったが、蓬入りの自家製餅が心憎かった。


ご飯ものは、桜海老とソラマメのかき揚げ丼であった。


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生麩の赤だし山椒かけ、


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香の物(薄大根ぬか漬け)もついてくる。


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私は春食べる桜海老のかき揚げが大好きである。


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赤だし山椒かけが大好きな私にはこの味噌汁はたまらない。

生麩も京都ならではの上物である。


最後に水菓子としてのパパイヤの自家製苺のコンフィチュールかけと黒豆のお茶が出される。

残念ながらこの時点でデジカメの電池がなくなってしまった。

5年前のこちらへの移転とともに就任された緒方料理長は1年半前に退職し近くに独立して店を開いているそうだ。

緒方料理長の評判がたいへんよかったので、その後新しく就任した料理長をよく言わない方もいるが、なかなかどうして今日の料理にはたいへん満足できたし、センスと一生懸命さも充分感じられた。


店を出た後、見送ってくれたのはその料理長だったと思う。

御池通りまで私が見えなくなるまでずっと店の前で立たれていたその方は最後にも頭を下げてくれた。


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できそうでできないし、その対応は立派である。

私は感動するとともにこのお店をより応援したくなった。