山形樽平の美酒と芋煮と納豆汁 | ジャン=ピエールの霧の中の原風景

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こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

江古田駅北口を出てすぐのところに山形の郷土料理と日本酒樽平を置いてある樽平という名のお店がある。
その日は意を決して中に入ってみた。
カウンターに座り、食べたかった芋煮鍋と納豆汁鍋をお願いした。
日本酒は樽平と住吉だけである。
そこでやっと気づいた。
このお店は山形県米沢市にある樽平酒造の十三代目が経営しているお店なのであった。
したがって蔵元直送の東京ではなかなか口にすることができない日本酒を味わうことができるのだ。
最初に樽平の限定品、純米生酒をいただいた。


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一口飲むと味わい深い麹の香りと味が口の中で広がる。
品のいい和紙を口に含めているようだ。
かなり美味しい。
その後、住吉の純米山田錦を飲んだがまるで古酒のような色あいと味わいであった。
極めつけは樽平の純米大吟醸であった。
吟醸香が立つタイプではない。
かなり辛口でどっしりとしていて重厚な味わいである。
丁寧に昔ながらの造り方で作っているのがよくわかる。
すこぶる美味しく味わえた。


さて、料理であるが本物であった。
芋煮鍋には、里芋、ちぎりこんにゃく、ごぼう、人参、長葱、豆腐、米沢牛が入っている。
醤油味の美味しい芋煮である。

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どの具材を食べても日本酒を口に運ぶ手が止まらない。
秋田比内町の地元で食べるきりたんぽ鍋といい、なぜ東北の郷土料理はこんなにも日本酒に合うのだろう。


たまらない気持ちにさせてくれるのは芋煮鍋だけではなかった。
米沢は特別な納豆である雪割納豆が名物だ。
つきたてのお餅にこの納豆をまぶして食べたりするのが地元の人の何よりもの楽しみであろう。
そういう文化の中で生まれた納豆汁鍋は複雑な味わいで想像を絶する程美味しい。

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まず汁だが上等なだし汁をとってそれに樽平の秘蔵の酒糟を入れ味噌で最後に味づけをする。
その中に豆腐、長葱、人参、里芋等が入り、生姜汁でアクセントがつけられている。
その上に納豆が載せられているのだ。
納豆を汁に混ぜ具材と一緒に食べるとえも言われぬ美味しさである。
酒糟くさくないし、納豆くさくもない。
まったりとしていてコクがあり、清涼感さえ感じられる。
お酒にとんでもなく合ってしまう。
特に樽平の日本酒になんかに合わせたら…
こたえられない…
今回は食べることができなかったが当然本物の米沢牛も置いてある。

このお店は凄い。
眼力の強い店主は一見怖そうに見えるがとてもいい方である。
山形やお酒のことなどたくさんお話をしてしまった。

日本酒好きの方、本物の山形の郷土料理を食べたい方は絶対行かれるべきである。

ちなみに看板を見て後で気づいたが、美味しんぼという漫画にも載っていた店であるらしい。