西川美和「永い言い訳」 | 尋常ならぬ娘のオタクな映画日記

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DVC00382.jpg  西川美和 著

    「永い言い訳」


去年、この本が発売された頃

母親が、この本の宣伝の

“長年連れ添った妻が死んだが全く泣けなかった”という男の物語に

ちょっと読んでみたいと興味を抱き購入していた一冊(笑)


結局母はなんだかんだで忙しく

ゆっくり本を読む余裕もなくて未だに読んでないのですが(笑)


映画化されるということで

私がお先に読ませていただきました。


西川美和さんといえば

映画「ゆれる」がものすごく印象的な作品で

以後も「ディア・ドクター」や「夢売るふたり」など

人間の本質のようなものを深く描く監督として

非常に素晴らしいなと常々思っていました。


その西川美和さんが書いた小説を初めて読んでみました。


主人公衣笠幸夫は長年連れ添った妻を突然事故で失うのだが

一切涙など出ず、哀しみを演じることしかできなかった。

幸夫は妻が事故で死んだ時、愛人と一緒に過ごしていたのだ。

その後、幸夫は、同じ事故で命を落とした妻の親友の遺された家族と

出会い、交流するようになる。

その家族と共に過ごすようになってから幸夫の中で何かが変り始め

次第に妻の死と向き合うようになるのだった。


というようなお話で


本の帯には

「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくない」

と書いてあります。


この小説を読むにあたり

この言葉は非常に重く、深いテーマであり

すごく胸に突き刺さってくるテーマでした。


夫婦という不思議な関係性について

男と女について

人を(男女間だけではなく一人の人を)愛することについて


など

人間の本性のようなものをすごくリアルに描いていて

とても興味深く読むことができました。


湊かなえさんとはまたちょっと違った形ですが

でも人間の本質というものを熟知していて

もの凄くリアルな人間を描くという点で

西川美和さんも実に素晴らしい作家さんだなと

あらためて感じさせられた作品でした。



そして

この作品が主演本木雅弘さんで映画化されると知り

それを知ってから読んだのですが

笑いが出そうなくらい

主人公幸夫のイメージがモックンにマッチしていました(笑)


と言ったらちょっと失礼なのかな(^▽^;)

この幸夫、本当にサイテーな男なんです(笑)

でも、なんかそこが人間味があって

心底嫌いにはなれない男なんですけどね。


そんな幸夫の物語が幕を閉じる最後の一文には

ジンときて、涙が出そうになりました(゚ーÅ)


オススメの一冊です。