お取引先のCADソフトウェア導入の増加に伴って、3Dプリンターの導入について問い合わせをいただくことが多くなりました。
私どもでは、DW、B9Creator、PegasusTouch、Replicator2x(以下Rep)という4種類の機械を使用しています。
これらの装置は目的に応じで使い分けていますが、『ジュエリー原型』はDWの一択です。
Rep.は造形方法が異なりますので省略するとして、造形方式がほぼ同じ分類に入る3種を比較してみましょう。
DW以外の機種は米国価格3000ドル(日本円で40万円未満)です。DWの価格の数十分の一の価格です。
なぜでしょう?DWが特別ぼったくり価格なのでしょうか。
■B9CreatorとPegasusTouchの心臓部です。10cmほどの基盤が1,2枚入っているだけです。機械重量も10kg程度です。上の画像の透明トレイの向こう側に見えるのは、レーザ発振部とガルバノ風ミラーです。下の画像はB9のプロジェクターと基盤です。


B9Creatorでお世話になったホットプロシードさん
http://hotproceed.com/products/b9creator/
トラブル問い合わせで音信不通中のFSLさん
http://www.fsl3d.com
■こちらはDWの中身画像です。
大きなレーザ発振部と、制御用基盤がぎっしりつまっています。

低価格3Dプリンターは、とにかくコストを抑えるため、筐体、制御部、すべての部品で必要最低限の機能を保てるだけのレベルで仕上げられています。特に造形プレート部分はかなり軟弱で、手で動かすと、左右にかなり振ることができます。
3000ドルという価格設定がある限り、当然のことです。したがって、低価格3Dプリンターで作ることのできる範囲は限定されてしまいます。
ジュエリーの原型でしたら、極細爪(0.5mm未満)、テクスチャ系の造形のあるものは不向きです。比較的デザインにボリュームがあって、太い爪を使用し、地金もたっぷり使えるものでしたらいいでしょう。ただし、原因不明の造形不良が低価格3Dプリンターには多いですので、注意が必要です。レーザ寿命、プロジェクタ寿命なども事前に詳しくチェックしておく必要があります。
あえて低価格3Dプリンターの使用目的を分類するのであれば、『ホビー用』であると思います。
一方DWは産業用装置ですので、セッティングミスがなければ造形不良は1%未満です。また、筐体も頑丈ですので造形途中で造形物に致命的なズレ、欠陥が生じることは皆無です。(CADデータ不整合(アンブールデータ等)による造形不良はあります)
レーザ発振器の寿命もメーカー発表で10000時間ありますので、一日の使用時間が8時間でも5年以上使用できる計算になります。(10000時間÷8時間÷240日稼働:基盤系統は除く)
光造形機のレーザ照射は実際の稼働時間の2/3くらいですので、実際はもう少し伸びることになります。1/3の時間は造形プレートの上下運動とレーザが照射されるまでの間が含まれます。
筐体も非常に頑丈にできていますので、造形プレート面がぐらつくことはありません。
DWでは0.25mm(長さ5mm程度)の爪も造形することができます。樹脂はヒーターで一定温度に保たれていますので、一年中同じ造形条件で作業をすることができます。エンビジョンやソリッドスケープもほぼ同様です。
[ジュエリー原型製作目的での購入時のチェックポイント]
・どの程度の細い爪が造形可能か。また、その時間差再現性(四季の再現性)
・レーザ、ランプの寿命及びコスト
・VATの寿命及びコスト
・その他のランニングコスト(樹脂、その他)
・保守料の有無(産業機械に保守料は通常ありません)
・できるだけ多いテスト造形後の品質チェック
・信頼できる国内正規代理店があるかどうか
ということから、私が同業者におすすめするのは、DWやエンビジョンなどの産業用装置のみです。