英語の上達に必要な単語の数は?
英語の上級者を目指す人にとって、幾つぐらい単語を知っておく必要があるでしょうか?
多い方が良いことは誰でも分かりますが、目安として幾つくらいか、気になるところです。
「海外ドラマはたった350の単語でできている」によると、日本の中学校では1500の単語を習い、高校では3000くらい。難関大学では5000から7000程度必要になるそうです。TOEIC860点に必要なのは10000です。
一方、単語のカバー率という観点では、多くの文章において、約85%が頻度の高い3000語から構成されているそうです。文章だけでなく、会話においても、大部分は頻度の高い限られた単語から成り立っています。
上記の本では、ドラマSex and the Cityの合計2700分間に使われた単語を数え、その登場回数がまとめられています。この調査には、大変な労力がかかっていると思われ、敬服いたします。この調査によると、ドラマに出てくる単語の数は合計で12088個でした。このうち、一回しか使用されてない単語は5188個、二回しか使用されなかった単語が1974個とのことです。そして、中学校レベルで習うような、1896個の単語が全体の92%を占めており、80%が350個の単語からできていることがわかりました。
このように、会話であれ文章であれ、全体の8割から9割くらいは、限られた頻出単語から構成されています。このことは、よく知られている点です。
ここで気を付けるべき点は、ある文章において、全体の9割の単語を知っているとき、内容をどれくらい理解できるか?と言う点です。
9割の単語を知っているのだから、内容の9割くらい理解できるのではないか?
このような誤解が生じやすいので注意が必要です。
私の感覚では、文章の場合、単語を全て知っていたとしても理解度は9割あれば良い方です。1割知らない単語があると、理解度は半分以下、2割も知らない単語があったら、理解度は0に近いです。
これがリスニングだとさらに厳しくなります。スピードにもよりますが、使用された単語を全て知っていたとしても、理解度は7割程度です。スピードが速いので、理解が追いつきません。1割知らない単語があったら理解度は0から2、3割だと思います。
確かに、文章に比べて会話の方が使われる単語数が限られているでしょう。知っておくべき単語の数はより少ないと思います。会話においては単語数を増やすよりも、頻出単語を使いこなす方がより重要だと感じます。上記本の著者の趣旨は、「英会話において、単語の数を増やすことは重要ではなく、それよりも、頻出単語を使いこなすことが大事。」という点だと思います。
その趣旨には賛成なのですが、「限られた頻出単語だけ知っていれば会話できる」とは思えません。多くの場合、会話が2000程度の頻出単語だけで成り立つことはないでしょうし、知らない単語が1割程度だったとしても、理解度はかなり落ちるはずです。また、2000程度の単語だけで自分の言いたいことを伝えることも簡単ではありません。実際に会話してみれば、すぐに自分の単語力不足を痛感することになるでしょう。
どれくらい単語を知っていれば良いのか、誰も正確には答えられないと思いますが、読書をしていて感じる自分の感覚では、リーディングには15000くらいは必要で10000では足りないと感じます。文章の中に1割程度知らない単語があったら、かなり理解は困難になります。2割もあったら、読書を諦めます。
会話なら自分が使える単語は5000もあれば十分で3000でも問題ないように思えます。聞いて理解できる単語数は8000から10000が目安ではないでしょうか。もっとも、3000の単語を自由自在に使いこなすことは、決して簡単ではないと思いますが。