こんにちは。ジャズピアノ講師のヨッシー佐藤です。
今回は、リクエストの多かったブルーススケールのアドリブの模範演奏のご紹介です。
ただご注意いただきたいのが、模範演奏はあくまでも数多くある演奏の1例しか過ぎず、みなさんは決して真似る必要はないということです。
ただのサンプル程度と思っていただけたらと思います。
日本でジャズをされている方の中には、几帳面にジャズアーティストのコピーをされている方も多いです。
もちろん、フレーズをコピーしたり、真似ることは大切です。
ですが、もっと大切なことがあります。
それは、「その人らしい演奏、その人でなければ出せない味が演奏できていること」になります。
なぜなら、その人はマイルスデイビスでもなく、チャーリーパーカーでもなく、その人自身だからです。
アドリブフレーズをコピーしても、「マイルスなら、このような表現だけど、自分だったらどう表現するか?」を考えることが大切です。
読譜や耳コピをする理由は、他のアーティストのフレーズをヒントに、自分だったらどう表現するか?を見つめなおすために行うのです。
実際アメリカでは、マイルスっぽく弾いても、パーカーっぽく弾いても、相手にされません。
自分らしさ、自分のアイデンティティーを出せて、初めて演奏が評価されます。
自分らしさ、オリジナリティ、アイデンティティとは、ナンバーワンを目指すことではなく、オンリーワンを目指すことです。
ナンバーワンを目指すと、ナンバーワンになった時に、いつ自分がその座から引き摺り下ろされるか?という不安に悩まされます。
ですが、みんながオンリーワンであれば、「比較」が生まれなくなります。
なぜなら、比べようがなくなるからです。
例えば、僕の好きなピアニストの1人に「ジーン・ハリス」がいます。
ジーン・ハリスは強烈な個性を持っていて、演奏を聴くと、「彼だ!」とすぐに分かります。
セロニアス・モンクも強烈な個性を持っています。
ありふれんばかりのアイディアに、指が追いついていないフラストレーションは、モンクの強烈な個性です。
なので、ジーン・ハリスとセロニアス・モンクを比べても全く意味がなくなります。
比べようがないくらい、それぞれが強烈な個性を持っているからです。
では、自分の個性を磨くためには、どうすればよいのでしょうか?
それは、「好き」「嫌い」をはっきりさせることです。
誰かの演奏を聞いて「好き」なら、どんどん演奏を聞いてみましょう。
他にも自分の好きなアーティストがいれば、どんどん演奏を聞いていきます。
そして、自分が好きな演奏をすればよいのです。
もちろん、独りよがりになってはいけませんが、この「好き」が大切になります。
「好き」なのであれば、自分自身の演奏も好きになれます。
自分自身の演奏が好きになれば、他の人の演奏も好きになれます。
自分自身を大切にすることができれば、他の人を大切にすることができるようになります。
自分自身が深く傷ついた体験があれば、他の人が傷ついた悲しみも理解できるようになります。
自分が本当の幸せを感じる経験があれば、他の人の幸せを一緒に喜ぶことができるようになります。
自分自身を愛することができて、初めて他の人を愛することができるようになります。
これは心理学を学ぶと分かりますが、人を批判する人は、実は他人ではなく、自分自身が許せなかったり、自分自身への見方が、他人に反映されている場合が多いと言われています。
自分自身への見方のことを、専門用語で「セルフイメージ」と言います。
健康的なセルフイメージをもっている人は、自分に自信があり、他人に対しても優しく接することができるようになります。
この健康的なセルフイメージとは、自分自身を受け入れ、許し、認め、そして自分を大切にすることです。
これは自己中心とは別モノです。
自己中心とは、不健康なセルフイメージから生まれます。
不健康なので、常に心にゆとりがなく、ベクトルが自分に向かうから自己中心になるのです。
じつは、自分らしい演奏を探すことは、健康的なセルフイメージを探すことでもあります。
残念なことに、今の社会は健康的なセルフイメージを持つのが大変になっています。
なので、前回の記事でもご紹介した、「今自分にできること」が大切になってきます。
今自分にできることで、音楽を楽しみ、自信を身につけ、自分の演奏を好きになること。
それと同時に、相手を好きになり、相手を大切に思う心をアンサンブルの中で養っていく。
これが健康的なセルフイメージを持つための秘訣になるのです。
じつはプロの演奏の世界で長く続けていくためには、この健康的なセルフイメージが不可欠になります。
不健康なセルフイメージが、ドラッグや自殺につながっているからです。
さて、かなり前置きが長くなってしまいましたが・・・
曲はジャズスタンダード曲「summertime」をベースに、伴奏動画、模範演奏動画の2種類をご用意いたしました。
伴奏動画では、Aブルーススケールがアドリブに使えます。
もちろん自分自身のアドリブ練習も大切ですが、他のアーティストのsummertimeの演奏を聴くことも大事です。
その中で、自分が好きだ!と思った演奏を何度も聞いてみてください。
フレーズをコピーしたり、自分なりにフレーズを変えてもOKです。
是非、好きな演奏を探してみてください。
ところで、動画を見直してみたところ、ベースのコバケン先生の姿が、レイ・ブラウンに見えてしまうのは僕だけでしょうか?