―May the FOXGOD be with You―
★今日のベビメタ
本日8月29日は、2015年、Reading Festival 2015 @UK・Richfield Avenueに出演し、2017年には、5大キツネ祭り in JAPAN 銀キツネ祭り@大阪/ Zepp Osaka Baysideが行われた日DEATH。
漫画家さくらももこさんが、8月15日に乳癌のため亡くなっていたことが、さくらプロダクションのオフィシャルブログで発表されました。享年53歳でした。
『ちびまる子ちゃん』は『サザエさん』と並び、日本を代表するアニメであり、日曜日の夕方の定番でした。ご冥福をお祈りいたします。
BABYMETALが一部上場の芸能事務所アミューズの社員KOBAMETALによるプロダクトであり、アイドルでもメタルダンスユニットでもなんでもいいが、要するに単なる音楽商品であるというのは事実である。
しかし、BABYMETALの歴史を振り返ってみると、アーティストの「設定」というだけでは説明できない奇跡的な出来事が何度も現れてくることをぼくらは知っている。
2018年、BABYMETALはかつてない危機にさらされている。
海外進出に当たって、メタルバンドとしてのBABYMETALの演奏のクオリティを支えてきたギタリスト、藤岡幹夫氏が亡くなり、YUIMETALは何らかの不調によって、ツアー、ライブに参加できなくなっている。
だが、それをカバーするために、ISAO神がバンドに参加し、2人のプロフェッショナルダンサーがパフォーマンスに加わった。World Tour 2018では、配信シングル「Distortion」を含む新曲4曲がドロップされ、SU-、MOAのコスチュームも大きく変わった。グラフィックノベル『The Legend of BABYMETAL』の制作も進んでいるし、12月には初めてオーストラリアの地での3都市巡回フェスに参加する。
つまり、この危機的状況でも、BABYMETALは前進を続けているのであり、数年先に振り返ってみたとき、きっとこのシチュエーションにも「何らかの意味」があったことに気づくことになるはずだ。そこには、ぼくら人間には計り知れない、「大いなる意志」が働いているに違いないのだ。
その「大いなる意志」=Only The FOX GOD Knowsとは何か。
本項では、それを考えてみたいと思う。
ひとつの仮説を提出してみる。
神とは、人間の心が作り出したものだ。
なぜ神は全知全能なのか。それは人間の願望の総体だからである。
ぼくは神が人間を創造したと信じるカトリック信徒だが、神なくして人間が存在しないように、人間なくして神は存在しない=神人一体という言い方は許されるはずだ。
巨大キツネ祭りの終盤、スクリーンに映るメタル銀河の無数の星の映像が、モッシュッシュピットの観客一人ひとりに切り替わった。
Legend-S-のラストシーン「The One-English Ver-」で、花道を進むSU-METALを囲んだ観客のマスクから放たれる光は、まるで銀河のように見えた。
つまり、キツネ様が鎮座ましますメタル銀河とは、ぼくら一人ひとりの心の炎のことであり、ぼくらの切ない願望の総体こそ、キツネ様なのではないか。
2010年11月28日、さくら学院祭2010@横浜赤レンガ倉庫が、重音部、のちのBABYMETALの初お披露目であるが、部活ユニットとして「アイドルとメタルの融合」をやることが決まったのは、そのほんの少し前、おそらく数週間前だと思われる。
というのも、さくら学院日誌の中元すず香の担当分で、「新しい部活」の話が出てくるのは、学院祭2日前の11月26日分/タイトル「クラブ活動の秘密情報☆」、4日前の11月24日分/タイトル「4」からで、それ以前は、11月10日分/タイトル「シオジ再び!」のミュージカル「冒険者たち」の話、11月2日分/タイトル「ベルマーク」の、学校で集めているベルマークの話だからである。
この数週間に、KOBAMETALがメロイックサインを教えたところ、「わあ、影絵のキツネさんだぁ」といって三人が遊び始めたので、重音部のちのBABYMETALのハンドサインがキツネサインになり、三人はメタルの神キツネ様に「召喚」されて、「メタルで世界を再び一つにするために」、アイドルユニットでアンダーカバー修行をしていたのだという「BABYMETAL神話」がスタートする。
だがしかし。
KOBAMETALが思いもよらなかっただろうことに、キツネ様という「設定」はあらゆる面でBABYMETALに当てはまっていた。
キツネ様=稲荷神=宇迦之御魂(ウカノミタマ)は、『古事記』によれば、日本の主神アマテラス大神の弟、スサノオ命がクシナダヒメの次に娶ったカムオオイチヒメとの間に生まれた娘である。
また、『延喜式』によれば、ウカノミタマは、伊勢神宮の外宮にあたる豊受大神(トヨウケノカミ)と同体であって、アマテラス大神や天皇の食事を司る穀物・食物の神=「御饌津神」(みけつ)であるところから、古くは三狐神(みけつ)と呼ばれた。ケツはキツネの古語であり、ウカノミタマは、三匹のキツネ=BABYMETALそのものだったのである。
しかも、カムオオイチヒメは、伏見稲荷大社の上社に祭られた大宮能売大神であり、天照大神が岩戸隠れしたとき、その前で歌い踊ったアメノウズメと同一視されている。キツネ様の母は、歌とダンスの神だったのである。
何という偶然。
奇跡はまだまだ続く。
スサノオ命は、最初の妻クシナダヒメ、二番目の妻カムオオイチヒメと結婚する前に、アマテラス大神と「誓約」によって、三人の娘を生んでいる。
それが、タギリヒメ命、イチキ島命、タギツヒメ命の宗像三女神である。
このうち、タギリヒメ命は福岡県宗像市の沖ノ島のことだが、イチキ島命は広島県廿日市の厳島、タギツヒメ命は神奈川県藤沢市の江の島のことであり、偶然にもこの2か所はSU-、YUIの出身県に当たる。
ちなみに菊「地」家のルーツは九州であり、肥後の菊「池」家が分家し、祖先の地を忘れないように「地」の字に変えたもので、東日本に多いといわれている。菊地最愛の先祖も、もしかしたらもともとは肥後、福岡を経て北海道に渡ったのかもしれない。
そう考えると、宗像三女神の故地は、驚くほどBABYMETALの三人の出身地と重なっていることになる。
重音部結成前夜、中学校1年生の中元すず香と、小学校5年生の水野由結、菊地最愛は、メロイックサインをキツネさんだと思って手遊びをした。
プロデューサーのKOBAMETALはそれを面白がって、アイドルユニットの「設定」として、キツネ様をBABYMETALの守護神=メタルの神とした。
しかし、キツネ様=稲荷神は、偶然にも三狐神とも呼ばれており、三匹のキツネ=BABYMETALそのものだった。
しかも由緒をたどってみると、キツネ様の父は、日本の主神天照大神の弟であり、母は歌と踊りの神、アメノウズメだった。直接のつながりはないが、スサノオ命の別系統の三人の娘たち、キツネ様から見れば異母姉にあたる宗像三女神も、福岡、広島、神奈川の三県にあり、うち2つは見事にBABYMETALのメンバーの出身県と重なっている。
ただの偶然か。
ぼくには、そこには何か「大いなる意志」が働いているような気がしてならない。
稲荷神=お稲荷さんは、日本で一番多い神社である。
神社には、武運長久を祈願する八幡神社、天照大神を主祭神とする神明社、学問の神様菅原道真を主祭神とする天神社(天満宮)、武甕槌命を主祭神とする春日神社など、いくつかの種類があるが、その中でウカノミタマを主祭神とする稲荷神社は圧倒的に多い。
だが、その規模は比較的小さなものが多く、小さな祠だけというケースや、自宅や会社の敷地内に設置されたものも多い。天照大神のような「国家」「公式」の神ではなく、江戸時代に、商売繁盛を願って広がった庶民の神なのだ。
それが、BABYMETALの守護神である。
いつだったか、出張帰りに京都で降りて伏見稲荷大社へ行ってみたことがある。
暑い盛り、周りは外国人観光客ばかりで、日本人は少なかった。それでも無数の赤い鳥居をくぐって登って行くうち、どんどん異世界の中に入っていく気がした。
時間がなかったので、重軽石のところまでしか登れなかったが、降りて、土産物屋さんに入ると、ちゃんとBABYMETALのキツネ面が売られていた。メイトさんには会わなかったが、キツネグッズの数々を見ているだけで、ニヤニヤしてしまった。もしBABYMETALを好きにならなかったら、お稲荷さんなんて、意識することもなかった。
考えてみれば、BABYMETALに出会わなかったら、日本人としての自覚も、無意識の底に沈んだままだったかもしれない。
庶民の無意識の願望の総体が神だとすれば、絶望の中に希望を、闇の中に光を見ようとするBABYMETALのメッセージこそ、キツネ様の意志そのものではないか。
人間がいる限り、神は実在する。メイトがいる限り、キツネ様は実在するのだ。
(つづく)