KOBAMETALの戦略(1) | 私、BABYMETALの味方です。

私、BABYMETALの味方です。

アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

東京ドームに備えて、昨日から炭水化物ダイエットに挑戦することにした。

ご飯、パン類、麺類は意識的に減らし、タンパク質と野菜中心にする。

昨日は鶏ひき肉とアサリを入れたおからとブートジョロキアを刻んで入れたチリビーンズを作った。トリロジーにちなんでトルティーヤチップスを3枚だけ添えた。

だが、今日のランチのときにはそれを忘れ、月1回は通っている会社近辺では有名な焼きそばが食べたくなり、テーブルに運ばれてきた時に、はたと気づいた。食べないわけにはいかないから、おいしくいただきました。くくく…。

今日の夕食は、特売で買ったトリの胸肉(4枚400円!)を、塩・砂糖水でジップロックごと湯煎にした、例のカオマンガイとサラダ。

明日からがんばるぞ。

今日のお題は、Yahooニュースに掲載されていたKOBAMETALの最新インタビュー。(http://news.yahoo.co.jp/feature/318

ぼくが重要だと思うところだけ、抜粋してみる。

――――引用          

海外戦略をどのように狙って仕掛けたか、ですか? BABYMETALという名前にはポップの側面とメタルの側面をミックスした「新しいメタルの誕生」という意味があるのですが、僕自身はすごくニッチなゾーンを狙ったというつもりはないんです。むしろ、これまでの日本のシーンよりも、「大きな市場」を視野に入れた試みでした。というのは、メタルという音楽は、「世界共通」なんですね。世界各地にご当地メタルのようなアーティストがいたり、毎年いろんな場所でメタル・フェスティバルが開催されて、世界中から面白いバンドやファンが集まって盛り上がって、ということを年中やっている……。僕自身は、昔からメタルが大好きで、その世界に馴染んでいたということもあって、そういう巨大なコミュニティの中へ、という意識は最初からもっていました。

―――――引用終わり

4年前、Legend“I” 直後の日経トレンディ2012年10月31日号のインタビューで、KOBAMETALは、「今までもメタル風味のアイドルソングはあったが、BABYMETALの場合は、まずベースに本格的なメタルサウンドありきのアイドルソングをイメージしている」

「本気でメタルが好きな人にとっては、BABYMETALは腹立たしい存在なのだと思う。もともとBABYMETALはオーセンティックなメタルをやりたかったわけではなく、新しいメタルのスタイルの提案という一面もあるので仕方のないことであり、そういった層に届くにはとても時間がかかるとは想定している」

「一般的に知られるメタルバンドのメタリカでさえ、最初は批判を浴びていたこともあった。90年代にSlipknotが出てきたときも同じだ。批判される対象であればあるほど、実は可能性があるのではないかと思っているし、アイドルやメタルの枠に収まりきらない“ストレンジ感”は、常に大切にしている」

「正直BABYMETALがどこまで売れるかはわからない。ただ、既存のアイドルをマーケティングした結果にのっとって展開したところで、二番煎じにしかならない。それならば、イチかバチかという方向性を突き進む方が面白い。」

と述べていた。Legend ”I” は、最後に初代神バンドが登場するなど、「紙芝居」から始まる学芸会っぽい「メタル少女歌劇」としては、尋常でない完成度の高さだった。しかし、まだメジャーデビュー曲「イジメ、ダメ、ゼッタイ」のリリース前であり、この時点では、海外のフェスに参加し、アルバムを世界同時発売するなど、夢のまた夢であった。何よりもSU-の卒業問題、すなわちKOBAMETALの思惑とは別に、さくら学院「重音部」としてのBABYMETALは解散する可能性があった。今にして思えば、一人っ子で心配性な母親を持つ菊池最愛が、芸能活動はさくら学院だけ、という決断をしていたら、BABYMETALはメンバーチェンジ、あるいはSU-ソロでのメタル歌姫プロジェクトに代わっていたかもしれない。

ともあれ、2016年8月のYahooニュースのインタビューからは、かつて夢想したことが実現し、プロデューサーとしてブレなかった自負のようなものが感じられる。だが、ぼくが注目したのは、4年前には、「日本ではニッチ(この場合は、市場の隙間という意味)なメタル=世界では巨大な市場」へ打って出るという壮大な構想はありつつ、「アイドルとメタルの融合」が、「新しいメタル」として受け入れられるかどうかに、最大の不安感をもっていたのがあらためてわかった点だ。

“オーセンティックなメタル”ではない、とか、「批判される対象であればあるほど、実は可能性がある」などの文言にそれが見て取れる。供給過多になっている日本のアイドル界ではなく、それよりも大きな世界のメタル市場で受け入れられることがこのプロジェクトの“肝”だからである。その意味で「イチかバチか」という言葉を使ったのだろう。

アイドルソングを色濃く残した「ド・キ・ド・キ☆モーニング」や「いいね!」「ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト」でも、メタルパートのリフは超ハードだし、「BABYMETAL DEATH」は、METALLICA風のリフに乗せて「DEATH!DEATH!」と叫ぶだけの、アイドルとしては異様な楽曲に仕上がっている。これは、コアなメタルファンから「結構すごいじゃん」という評価を受ける必要があったためだろう。当時のレコーディングでは、20数テイクにも及ぶアレンジ変更がなされていたという。このあたり、プロデューサーとして、プロジェクトの“肝”を実現するため、ある種、強迫観念じみたメタルらしさ追求の執念が感じられる。

2013年、BABYMETAL継続決定後の神バンドの帯同と「メギツネ」リリースは、実はひとつの同じ理由によるものだった。今にして思えば、「さくらさくら」をモチーフにした和風へヴィメタルと、生バンドは、海外進出用だったのではないか。

YahooインタビューでKOBAMETALが語っているように、「最初から」世界のメタル市場を狙っていたとすれば、SU-の卒業問題にけりがつき、「IDZ」でメジャーデビューした以上、次のステップは海外でライブをやることだ。欧米人にとってはエキゾチックな“日本”をイメージさせる曲は、日本のアーティストが海外へ進出するときに必ず使う手だ。もちろん、骨バンドのカラオケでは、本場の欧米人メタラーは絶対に受け入れない。だからどうしても生バンドが必要だった。

「メギツネ」リリース直後の2013年6月23日、アミューズの株主総会で、生バンド付きで演奏したのは、海外進出計画に了解を得るための株主プレゼンだったのだ。

そして、ある意味わかりやすいこの戦略は、三人の少女と神バンドの生身の圧倒的なパフォーマンスによって血肉を与えられ、現実化していく。

2013年のサマソニ舞洲では、METALLICA本人たちがライブを見て、そのクオリティに驚愕し、世界中のメタルファンに紹介してくれた。そして実現した2014年のソニスフィア、「BMD」「ギミチョコ!」に続く3曲目は「メギツネ」。レディガガのオープニングアクトは、1曲目が「さくらさくら」のへヴィリフの繰り返しで三人が登場する「メギツネ」であった。案の定、欧米のファンは三人の日本人少女が足を胸まで上げて踊る「ソレ!ソレ!ソレソレソレソレ!」に大興奮し、「ド・キ・ド・キ☆モーニング」で可愛さとへヴィリフのギャップに衝撃を受け、どうせスタジオ演奏のJ-POPだと思っていたYouTubeの動画以上のハードな「ギミチョコ!」生演奏とパフォーマンスにショックを受け、王道メロスピ「イジメ、ダメ、ゼッタイ」でとどめを刺された。

こうして「世界のメタル市場に進出する」という戦略は大成功したわけだが、そこでKOBAMETALはもうひとつの、プロデューサーとしてはもっとも重要な壁に突き当たる。

それは、CDが売れない時代に、世界的な人気をどう売り上げにつなげていくか、ということだ。

(つづく)