
日常に潜むあらゆる恐怖を描いて来た黒沢清監督。
新作「Cloud クラウド」もまた、人間の欲望と暴走を描いたサスペンスだ。
顔や姿の見えない、人間関係が希薄の現代を映している。
金のためには手段を選ばず、エスカレートしていく。
恨みを買った人達が集まり、彼を標的にして復讐が始まる。
転売だって、楽して儲けようという安易な考え。
人を蹴落としてでも自分が大事。
今回も人間の集団心理を鋭く突く。
人間が抱える闇、一度走り出したら止まらないのだ。
誰もが腹に一物あり、本心が見えない。
今の世の中も、そうなりつつある。
自分のことだけ。
社会のせいか、一体何のせいか、人間は簡単に道を踏み外し暴発する。