何故今、「ソイレント・グリーン」なのか? | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


1973年製作のアメリカ映画「ソイレント・グリーン」がリバイバル公開されている。
あまり知られていないこのSF映画に、多くの観客が押し寄せていた。
意外だった。


自分は観終わって、家に帰って自分の作ったファイルがあるのだが、それを開くまで、この映画を過去に観ていたことに気付かなかった。
しかも遠い昔ではなく、7、8年くらい前だろうか、テレビで。
何も覚えていない自分も、どうかと思った。


さて、「ソイレント・グリーン」である。
チャールトン・ヘストンが原作「人間がいっぱい」を読み、企画を持ち込んだ。
「ベン・ハー」や「十戒」、「猿の惑星」で野性味溢れ、肉体を駆使して成功した俳優である。


ここでは事件を追う刑事を演じ、アクションもヘストンならでは。
但し、マイケル・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」以降、自分のヘストンのイメージは悪い。
当時全米ライフル協会会長だった彼のあの悪役振りは、オスカー級だ。


しかしここでは事件の真相を暴こうとする、映画を牽引する主人公。
まさか晩年にあんな行動に走るとは、この時点では想像出来ない。
監督はリチャード・フライシャー。


代表作に「ミクロの決死圏」がある、異色作も多い職人監督。
当時はアメリカンニューシネマの時代、悲劇的な映画も多く、パニック映画も全盛。
スピルバーグやコッポラ等、新しい監督の登場とも重なる。


日本でも公害問題や人口増加による社会問題、若者が反旗を翻した時代。
アメリカも同様、問題は山積みだった。
映画には、時代がくっきりと映っている。

今年でも「バッド・ルーテナント」や「悪魔のシスター」、次々と過去作を上映してくれるシネマート新宿に感謝したい。