学校が崩れる | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン



何かほんの些細なことから、思わぬ方向へ行くというのは、映画にはよくある。
もちろん実人生でも、よくある。
ドイツ映画「ありふれた教室」は、中学校で起きた盗難事件から、あらぬ方向へと進んでクラスが崩壊していくサスペンスだ。


ごく当たり前の教師と生徒達。
盗難が起こり、歪みが生まれる。
疑う側と、疑われる側。


マッツ・ミケルセン主演の2012年の傑作「偽りなき者」がそうであった。
少女のひとつの嘘から、主人公は孤立し、大事件になっていく。
些細な始まりから人生を狂わされていく人は、実際に沢山いる。


教師も、自分の選択した道に疑念を残すが、取り返しはつかない。
こんなはずではなかった、が、もう遅いのだ。
修正しようとするが、ますます事態は悪化していく。


自分の通っていた中学校も、出来たばかりの普通の中学校だった。
卒業して18歳で上京した時、ニュースにその学校が取り上げられた。
校内暴力だった。


学校は僅かな期間で、乱れ、崩壊していったのだ。
「ありふれた教室」でも、普通の学校で普通の生徒達だからこそ余計に怖い。
タガが外れていく様がリアルだ。


主演レオニー・ベネシュの受けの演技が素晴らしい。
ドイツでは、作品賞、監督賞、主演女優賞、主要5部門を制覇した。
世界中のどこにでも起こりそうな学校の崩壊、今この瞬間も起きているかも。