ポーランド国境、映画ではなく告発だ! | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


「人間の境界」
映画は世界に起こる真実を伝えてくれる。
この映画こそ、今観るべき映画だ。


ベラルーシとポーランドの国境。
ポーランドへ渡れば安全に暮らせると信じてやって来た、シリア人難民家族。
だが、彼らはベラルーシとポーランドの警備隊から、非人道的な扱いを受けることになる。


この事実を目撃して、我々は身震いする程。
お互いの国が相手国へ強制的に彼らを押し付け、その度に過酷な状況に追い遣られる。
森林の中に逃げ隠れ、寒さを凌ぎ、時には暴力に耐えて。


これが現実に今この瞬間に起こっていることであり、ポーランド政府が隠したかったこと。
それをベテラン女性監督のアグニエシュカ・ホランドが、リアルに世界へと発信する。
映画ではなく、告発である。


しかも実際に難民だった方や支援活動家だった方をキャスティング。
シリア難民と、警備隊の若者と、支援活動家の3つの視点を交えて多角的に描く。
その怖さは本物だ。


彼らは行く所がなく、ポーランドとベラルーシを行ったり来たりし、居場所を求め彷徨う。
支援活動家も彼らに手を差し伸べようとするが、簡単なことではない。
見つかればまた、強制的に追い出されるのだ。


これを観て、何も感じない人はいないだろう。
ヴェネチア国際映画祭では審査員特別賞を受賞。
死者が絶えないこのいたちごっこを、一体誰が止めるのだろう?


必見!