無実!と叫ぶ声、虚しく | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


映画は、自分が知らない世の中のことを教えてくれる。
去年観た「福田村事件」もそう。
たかが何十年か生きただけでは、知ってることはほんの僅かだ。


エンニオ・モリコーネ特集としてリバイバル上映された、「死刑台のメロディ」。
1971年のイタリア・フランス合作映画。
イタリア移民のサッコとバンゼッティが、アメリカの歪んだ差別や偏見により、冤罪で電気椅子に送られる話。


エンニオ・モリコーネは「ニュー・シネマ・パラダイス」やセルジオ・レオーネ作品で有名な音楽家。
自分はモリコーネの 音楽よりも、当時カリスマ的存在だったフォークシンガー、ジョーン・バエズの歌が突き刺さるなと、映画を観て感じていた。
その曲が全てモリコーネの作曲によるものだと、後から知った。


死刑判決を受けてサッコは精神を病み、バンゼッティは感情を露わにせずに受け止める。
だが、どちらも納得するはずがない。
彼らがアナーキストというだけで、間違いなく無実だからだ。


イタリア映画らしく、ネオレアリズモを継承。
覚えのない殺人罪で逮捕された彼らに対する、容赦ない仕打ちを徹底して描く。
反対運動も起こったが、奇跡は起こらなかった。


アメリカは今も分断され、過去も黒い歴史が横たわる。
日本も同じだ。
歴史は繰り返されるというが、愚かな人間が繰り返すだけ。