
プロレスファンだった。
昔々。
呪われた一族と呼ばれたフリッツ・フォン・エリックのことも覚えている。

過去の映像とかで、エリックにアイアンクローを喰らって流血するジャイアント馬場さんの姿が鮮烈だった。
試合はリアルタイムではなかったが、息子達が次々来日した時はリアルだった。
父親の影響なのか、彼らは技術もセンスも華もあって体格にも恵まれていた。
映画を観ていて思い出したのは、スター街道を 驀進していた三男のデヴィッドが日本で急死したことだ。
プロレスの生中継で、デヴィッドがホテルで死んだことが告げられた。

自分が高校生の時だったと思う。
その後も彼ら兄弟は来日して活躍したが、立て続けに自ら命を絶ってしまった。
プロレス界最強のファミリーを目指していたエリック一家は、ついに転落してしまった。
ハーリー・レイスにリック・フレアー、ブルーザー・ブロディ、テリー・ゴディ、活躍する選手の裏でエリック一家が苦悩する姿があった。
もちろん、プロレスファンではない方が観ても十分感動出来る。
主演のザック・エフロンは肉体改造を施し、弟達に先を越される悲哀を演じて見事だ。
先を走った弟達も怪我や成功へのプレッシャーに苦しみ、脱落していく。
そこには精神的な脆さもあった。
人間はほんと表面だけ見ていては分からないものである。
プロレスを捨てたケヴィン。
その思いとはどれ程のものだったろう?