ナポレオンにジョゼフィーヌあり | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


「マエストロ~その音楽と愛と」でも語ったが、本当に愛は様々。
「ナポレオン」に関しては、もう複雑で。
映画「ナポレオン」は、妻ジョゼフィーヌとの関係を中心に描いた伝記映画。


ナポレオンでパッと思い浮かぶのは、「余の辞書に不可能という文字はない」という言葉。
実際、手紙に書かれた言葉である。
それだけ揺るぎない自信があったことを窺わせる言葉だ。


幾多の戦争で勝ち続けた人、侵略を繰り返し、フランスにとっては語り継がれる英雄だ。
これを映画化したのは、巨匠リドリー・スコット。
主演がホアキン・フェニックス。


こうなると、何が何でも観たくなる。
丹念に映し出されるのは、ナポレオンが戦場で活躍し、メキメキ頭角を表していく姿はもちろん、ジョゼフィーヌを愛したが故に翻弄されていく、人間臭い男ナポレオンの姿だ。
「ジョーカー」を演じたホアキン・フェニックスだからこそ、英雄としての表と、戦場でもジョゼフィーヌが気掛かりでならない裏のダメ男っぷりを演じ分けて、面白い。


リドリー・スコットのスペクタクル描写は健在だ。
今時エキストラ8000人を使って戦闘シーンを撮るなんて。
本物の人と馬を使ってるからこその臨場感は、さすがだ。


ナポレオンは上り詰めていくが、転落もあっという間だ。
強ければ英雄だが、弱くなれば見捨てられる。
離婚してもジョゼフィーヌを忘れられないナポレオンが哀れだ。


ジョゼフィーヌがいたからこそ上り詰め、ジョゼフィーヌ亡き後精彩を欠いていくナポレオン。
男と女は単純ではない。
英雄ナポレオンも、一般の男と同様、愛に燃え、愛に傷付き、生涯を終えたのだ。


強いだけではない、脆く、弱いナポレオン。
それが、この映画最大の見所だ。