痛みを伴う映画 | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


公開されてから25年。
しかもレイトショーのみだったが、今回シネマート新宿で再上映。
知る人ぞ知る、「クリーン、シェーブン」。
主人公は当時で言うところの「分裂症」、現在の「統合失調症」である。


公開当時なら、自分も積極的には行かなかっただろう。
実際、カンヌ国際映画祭では席を立つ人が続出だったと。
どこで立ったのかは、観た者なら察しはつく。


主人公の頭の中では、常に誰かの声が聞こえ、ノイズが鳴り続けている。
彼の周りでは幼女連続殺人事件が起きる。
彼の犯行かは分からないが、刑事が執拗に事件を追っている。
登場人物の圧倒的なリアリティーが映画を他と差別化している。


クローズアップの連続に、観てる観客も息苦しさを覚える。
不快な人がほとんどだろう。
だが、スティーヴン・ソダーバーグやダーレン・アロノフスキーは絶賛している。
打ちのめされた彼らの言葉を信じ、観たくなる人もいるかも。


後味も悪いし、救いもない。
主人公は離ればなれになった娘に会いたいだけ。
その愛情は本物だ。
だが、彼は重い病気を抱えている。
それでも娘を愛する気持ちはみんなと同じだ。
嫌なものを観たが、俺は、観て良かった。