ビニールハウスに炎 | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン


韓国映画の監督にはスキャンダルも多いが、世界的評価も高い奇才、「嘆きのピエタ」「うつせみ」のキム・ギドクがいる。
「殺人の追憶」や「母なる証明」のポン・ジュノ。
「オールド・ボーイ」「親切なクムジャさん」のパク・チャヌクに、「チェイサー」のナ・ホンジンもいる。


今年「バーニング劇場版」に合わせて「オアシス」と「ペパーミント・キャンディー」のリマスター版が劇場公開されたイ・チャンドンも忘れてはならない。
寡作の人で8年振りの新作だが、カンヌ国際映画祭の常連であり、今作ももちろん選出され、大絶賛された。


何故「劇場版」というのか、まずは気になるところだが、去年ドラマ版がNHKで放送されたのだそう。
なのでこっちはもっと長尺の劇場版。
原作は村上春樹さんの「納屋を焼く」である。


居場所のない若者を描いた謎の多いミステリーである。
観終わった後も決してすっきりすることなく、数々の疑問が残る。
それでも尚、イ・チャンドンの評価が揺るぐことはない。


俳優の演技を引き出すのも上手いイ・チャンドン。
「オアシス」でのムン・ソリとソル・ギョングの演技は、いつまでも頭から離れない究極の演技だ。
そしてもちろん「シークレット・サンシャイン」のチョン・ドヨン。


彼女はあの絶望的な役でカンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞。
当然だ。
そして、今回のチョン・ジョンソもとても新人とは思えない演技を披露。
このためにパントマイムも練習したのだそう。経験者も納得のパントマイムだった。