悪趣味か?映画芸術か? | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン
「私が、生きる肌」を敬遠していた理由。
予告編の世界観には惹かれていた。
だが、このインパクトが刺激だけに終わってハズレなんてことは多々ある。
監督は常に問題作を投げ掛ける、スペインのペドロ・アルモドバル。
主演はアントニオ・バンデラス。
ハズレなんてとんでもない。
刺激だけの映画のはずがない。

確かに悪趣味な映画である。
人工皮膚を移植し、死んだ妻そっくりの女を作り出そうという外科医の話だ。
女は監禁され、男の欲望に従うのみだ。
前半は人間関係が複雑で戸惑うが、後半しっかり謎が明かされていくのでフラストレーションは残らないだろう。
ミステリーの面白さ、サスペンスに加えホラー要素もあり、アルゼンチンの傑作「瞳の奥の秘密」を思い出した。

自伝的な作品として、「バッド・エデュケーション」みたいな物を発表出来てしまう人である。
こういう人には、とても敵わないなと思う。
韓国のキム・ギドクにしてもそうだが、もう生まれた環境からして人間が形成される時点で違うのだ。
しかもストーリーを生み出す才能がある。
それが映画芸術として評価までされる。
平凡なサラリーマンの息子として育った自分には、とても太刀打ち出来ない。
だが、命を削るように作品を作る姿勢、尊敬に価する。
映画を見終わった後、作品を作る意欲を掻き立てられたよ。



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