ちょっと休憩 「ジャスミンの『裏窓』」 | ゆうべ見た映画

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懐かしい映画のブログです。
ときどき、「懐かしの銀幕スター」「読書」など
そして「ちょっと休憩」など 入れてます。

 

私の住んでいる 住宅の 

庭を挟んだ 向かいの家の ご主人は

フランスの方 なのだそうだが

 

この方が 植物の手入れを とてもよくされる方で

夏でも 冬でも 

週に二度は 帽子を被って 作業衣を着て

お庭の木々や 草花の手入れをする

 

50歳代くらいの 小柄な方だけど

麦わら帽子を被ったお顔が

「ゴッホの自画像」に似てる

 

平日もいらっしゃるようだし

どっかの社長さんなのかな、と思ったりして・・ 

 

一度、私が庭に出ている時に

フェンスの上に置いた 

手袋の片方を こちら側に落とされたので

 

拾ってあげたら

ゴッホは「ウ、ムム・・」みたいに口を動かしただけで

言葉は発せられなかった

 

日本語が苦手なのかな

 

「メルシー」くらいは 言ってほしかった

私は仏語に精通しているから そのレベルなら通じたはずなのに

 

ところで

このお宅の東側には お二階の窓まで届きそうな

背の高い カリンの樹があり

 

季節になると 大きな実をいっぱい付けるのだけど

その重さに 枝がしなって 

実が全部、こちら側に落ちる

 

カリンの実は 苦いそうで

食いしん坊の ヒヨドリ君も食べないから

そのまま ウチの地面で 腐っていく

 

あの実をなんとか 出来ないものかしら

なんて ご近所さんと 話したこともあったけれども

 

ジャスミンは そういうことには 

てんで わからんちんなので

そのまま 10年近く続いてる

 

その大量の実の始末に 管理人さんがぼやくので

当時、自治会の副理事をしていたジャスミンは

理事長さんといっしょに ゴッホの家に

落とし前を つけてもらいに行った

 

すると 若くて 可愛い感じの 奥さんが出てらして

はい、善処します と 言ってくれた

 

3、4日した頃 見たら

ゴッホと もうひとりの若い男の人が

ナタやノコギリで カリンの樹を バシバシッと叩いて

あっという間に 小枝にして片付けてしまった

 

突然、生身を引き裂かれ 

カリンの樹は 哀しい悲鳴をあげただろう

まさか あんなにしてしまうとは 思わなかった

アタマに来たのだろうか

 

 

しかしそれから 何十日もして

私はふと 気がついた

 

あれから ゴッホの姿が見えないのだ

 

この家には 小学生の二人の男の子がいて

夜になると 明かりも点くし

家族はいるようなのに ゴッホの姿だけが無いのだ

 

どうしたのだろう

あれほど頻繁に 庭の手入れをされてたのに

 

どう 思い返しても 

あの カリン伐採の日 以来 ゴッホがいない 

 

ジャスミンは考えた

 

カリンの樹を片付けた あの若い男

アイツと奥さんが おデキになっていて

 

今頃 ゴッホは

カリンの樹の跡地の そのまた地面の下で

おめでたく なっているのかも・・・

 

う~む

 

あれから 6年も経つ

 

 

 

 

 

おしまい