ボストン美術館にあるという燗銅壺の絵です。よく見ると不思議な点に気がつきました。盃がとても小さいんです。それがジャストフィットの盃台に置かれています。色は「朱盃」で、チロリも同じ組のようです。男性が使うには小さすぎるし、色も女性向きですね。
背景の和歌を見ると、「袖」の文字が判別できます。和歌に「袖」が詠まれるときは、恋愛物の歌であることが多いそうです。だとすると、この小さな朱盃と燗銅壺は女性に贈られたもので、和歌にはもしかすると切ない女心が詠まれているのかもしれません。
ここまで小さな盃台は見たことないので、絵の中で女性用を強調するために描かれたものかもしれませんが、そもそも盃台とは、めでたい宴席で使われる大ぶりな盃を乗せるものです。ところがヤフオクで発見しました。売主さんは相当良い人のようで、出展価格は破格の100円。こういう人から買いたいですよね。だがしかし!終了間際にライバルが現れ、そこから100円刻みの渋い入札合戦になりましたが、800円で落札。そして到着しました。
中性洗剤とソフトクレンザーでクリーニングした結果、ついに蘇る江戸の粋。右は普通サイズの盃台です。こちらは古伊万里の六角透かし盃台。格式高い宴席では、盃台に乗せた盃を相手に勧めるのがマナーだったとのこと。それを花見の毛氈の上に応用したのが、この使い方だと思われます。地面に敷いた毛氈は起伏があるので、盃をじかに置くには不安定だったんでしょう。これなら盃が安定します。
★紋様の解明★
手まりのような丸いのが「松の実」、そして竹(笹)、下に梅の花が見えます。ここに「松竹梅」を構成し、それを唐草が繋いでいます。唐草紋様はシルクロードを経由して日本に伝わった歴史があり、「永遠の繋がり」「長寿」「繁栄」を表す紋様です。そのめでたい唐草が松竹梅を結び合わせ、そこに1羽の雀が止まっています。雀は「厄をついばむ」「富貴を運ぶ」象徴とされ、竹や笹と一緒になると、最強の運気をもたらすとのこと。ちなみに、戦国の雄、伊達家と上杉家の家紋は竹に雀です。イイネこの盃台。これに盃をのせて一杯やっちゃおうというところにわが国の酒文化の奥深さがあります
サイズ的には一番小さな盃の専用です。こんな感じ。後ろにあるのも江戸時代の燗銅壺です。いやあ、揃いましたね。よくぞ我が家へ来てくれました。なんとなくですが、最初の所有者は相当な美人であったことがうかがい知れます。「永遠の繋がり」の上に酒を注ぐ、というストーリーになりますな
サイズの比較、右が通常サイズの組み合わせ。左が今回入手した盃台
使ってみましょう。
野芹をゴマ和えにして、秩父の地酒と合わせてみる。盃は近衛第三連隊の凱旋記念。戦地から無事帰還した兵士が作った記念盃ですから、この酒を飲んでコロナ騒動にも打ち勝ちたいものです。酒屋の方は吟醸酒を勧めたかったようですけどね。燗あがりする酒でないと、野芹の力強さに太刀打ちできまい。酒は本醸造。
盃台の応用その1
盃台の応用その2
さらに1個追加
近衛師団騎兵連隊の軍盃をのせてみる 似合いますなあ
キャンドル点火
余談ですが、酒の肴のアクセントに使うハーブはプランターで栽培しております。その土つくりはスーパーVIVAの「用土バイキング」を利用してます。いろんな土が選べます。
土つくりが功を奏したようで、ローズマリーも満開です
ここがわがJames農園
BGMは鈴木茂「ソバカスのある少女」かな⇒https://www.youtube.com/watch?v=5LcpghE2D5w