『シンノスケくん』 | 元祖!ジェイク鈴木回想録

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(連載小説『実録!巨人学園』第3話だか4話)


 ハラ先生  :おい、ウエハラ、ちょっち来い
 ウエハラ  :何ですか?ハラ先生
 ハラ先生  :うん、シンノスケのやつなんだけどな、
 ウエハラ  :はい
 ハラ先生  :あいつはたぶん・・、すげー気分屋だと思うんだよ
 ウエハラ  :はあ・・
 ハラ先生  :だからなるべく、あいつの機嫌を損ねないように注意してほしいんだ
 ウエハラ  :と、云いますと?
 ハラ先生  :うん、あいつのサインに首を振らない、って云うか
 ウエハラ  :あいつのサインどおりに放れ、ってことッスかあ?
 ハラ先生  :うん、まあ、そうだ・・
 ウエハラ  :そんなあ・・、きょうは阪神中学ッスよ? 打たれちゃいますよー
 ハラ先生  :うん、まあ、それもそうなんだけどな、
        やつは機嫌さえ良ければ、あとでバットでお返ししてくれると思うんだよ
 ウエハラ  :そんなあ・・

(おれの成績がわるくなるだけじゃんか・・)と、
来年こそメジャー中学への転校を真剣に考えるウエハラくんなのであった

 その日の試合、ハラ先生のお願いに忠実に従って、
ウエハラくんはシンノスケくんのサインどおりに放ってみたところ、得点は15対17・・
9回表の阪神中学の攻撃を終わって、巨人学園は2点差で負けてはいたものの、
それまでの15点の得点のほとんどをシンノスケくんのバットが叩き出している
 そして9回裏、ツーアウトながら満塁で、
バッターはこの試合、5打数5安打5本塁打12打点のシンノスケ・・
巨人学園は逆転サヨナラ勝ちの絶好のチャンスを迎えていた

 ハラ先生  :シンノスケ、楽に打って来いよ!
 シンノスケ :はいっ!ハラ先生!
 クドウ先輩 :クボタなんか、大したピッチャーじゃないからな!
 シンノスケ :はいっ!クドウ先輩!
 ヨシノブくん:阪神に勝って鍋行こうぜ!鍋!鍋!
 シンノスケ :鍋、いいねー・・ 何鍋?
 ヨシノブくん:何鍋でもいいよ、おまえが好きなもんで
 シンノスケ :何鍋がいいかなあ・・?

 ウエハラ  :カキなんかどう?
 シンノスケ :えっ?カキ・・?
 ウエハラ  :何、おまえ、カキ、だめなの? カキ喰えねえーの?
 シンノスケ :・・・・・・・
(一  同) :(お、おいっ・・ おいおい・・)

 カキーン

“シンノスケ、打ちました! ヤノ、捕りました! 試合終了!” 

      
※いちいちお断り申し上げるのがめんどうくさいんですけど、
 この小説はあくまでもフィクションであり、
 実在する球団や選手、及びその実状とは一切関係ないかも知れません