ビートルズ関連本を読む。
先日、2012年の「ロンドンオリンピック」で、ビートルズ再結成か?というニュースを見ました。今なお健在のポールとリンゴに、ジョンとジョージの息子を加えてやるとか・・・ジョンの息子はジュリアンか、ショーンで話が進んでるのかわかりませんが、これは噂か本当かはわからないけれど、やるとなったら、いろいろな意見が出そうです。ちなみに、わたしは個人的には、見てみたい!!!派ですね。冒涜うんぬん考えず、純粋に楽しめそうですし、ついでにアンソロジープロジェクト時のように、ジョンやジョージの未発表曲をシングルとして出してほしいとさえ思います。できればジョン役は、より似ている前妻の子、ジュリアンでお願いします。というわけで、2010年代になっても、相変わらず話題が消えることの無いビートルズですが、わたしも先日、図書館に行った時、「ジョージ・ハリスン自伝」を見つけて、ふと借りてきました。わたしは、ミュージシャンの自伝や、インタビュー集なんかを読むのが大好きで、目に付いたら買ったりするのだが、このジョージ自伝は初めて読みました。今日はついでに、いい機会なので、ビートルズ関係の自伝や、インタビュー本について、わたしのおすすめ本をご紹介したいと思います。今はひとりになってしまったから、前よりずっと神経を遣わなければならない。 時々、みんながいてくれたらなあと思うことがある。まずはその、「ジョージ・ハリスン自伝」ですが、ビートルズメンバーによる、直接の自伝としては、これは唯一の存在ではないだろうか。この本は、ジョン・レノンが読んで、あまりに自分に触れられていないことに、ショックを受けたという、いわく付の自伝であるが、今回初めて読んでみた感想は、拍子抜けという感じでしょうか?ビートルズアンソロジーの、メンバー回想による豪華本がありますが、あれのジョージのページと変わらない。軽い生い立ちから、よく知られたビートルズ時代のあっさりした思い出、ビートルズ解散のゴタゴタについてはあまり言及がなく、解散後はバングラディッシュについて軽く触れた程度。そして、本の半分以上が、ジョージによる自作曲の歌詞と、エピソード解説になっているという・・・曲解説に関しても、「ええっ?そうなの??」というのはそんなになく、全体的にえらい淡白である。ジョージは、レノン&マッカートニーの影に隠れた地味な存在であるが、本を読むとその性格も、派手なところがなく、地味で真面目、そして哲学的、宗教的だと感じる。でも、他の関係者の本によると、ビートルズで一番女好きだったのはこのジョージだそうで、シャイで女性が苦手だったのが、ジョン・レノンだそうです。★ミックは、ビートルズについて、けなすようなことをたくさん言いました。(中略)私はビートルズをやっつけることができますけれど、ミック・ジャガーになられることはないと思うからです。(中略)彼は私たちを真似しているのです。ポールがミュージシャンでジョージが哲学者だ、といった記事を読むと、私はどうすればいいのだろう、と思ってしまうのです。次は、ジョン・レノン関連本ですが、ジョンは、勿論自伝などは残しておらず、インタビュー集が参考になる。ビートルズ解散直後、1970年に雑誌「ローリング・ストーン」で行われた、インタビュー集、「回想するジョン・レノン」と題された本が面白くて、おすすめです。わたしはこの本、80年代終わりに都心の大型書店で見つけ、購入以来、バイブルとなっています。解散直後、ビートルズから独立するという、微妙な時期のインタビューのため、他のメンバーやミュージシャンに対しかなり辛辣で、それがまた読み応えになっています。ジョンとしての気持ち、意見を把握するには、これ以上の本はないと思いますし、それ抜きでも面白いです。でも、この本、どうやら絶版みたいなので、図書館にあればぜひ見てください。★失業者のショック症状がすべて現れたよ。(中略)そして怒りが、深い深い怒りが押し寄せる。(中略)あのときはもう自分は役立たずなんだと思えてさ。ビートルズにいた頃は、自分は役立つ人間だと思っていた。ポールの友人、バリー・マイルズ氏の書いた「ポール・マッカートニ、メニー・イヤーズ・フロム・ナウ。」これは唯一?ポール側の視点で書かれたと言う、ポール公認のポール伝ですが、かなり厚い本です。内容は、友人達とのロンドンでの、芸術的な日々に結構スポットが当たっていて、読みやすいとは言えないが、でも、ビートルズに関する、かなり多い記述は、どれもファンなら知りたい、楽しい話が多く、それらを拾い読みするだけでも十分な、良質なビートルズ本だと思います。とはいえ、こちらも絶版みたいなので、図書館にあるところは多いと思いますから、読んでみてください。★ポールとジョンが主な才能の源であったことは、疑う余地がない。 ジョージ、リンゴ、そしてわたしの三人の才能は、この二人の才能を補うものでしかなかった。(中略) 程度の差こそあれ、この三人は別の人間でもよかったのかもしれない。「耳こそはすべて」と題された、5人目のビートルズと言われた、名プロデューサー、ジョージ・マーティン自伝です。こちらも現在絶版のようですが、ビートルズファンは、図書館なんかで見つけたらぜひ借りてほしい一冊です。彼は、ビートルズに音楽理論や録音を教えた教師的存在で、関係者の話では、上流階級っぽい雰囲気とあったので、イギリスらしく、貴族関係者なのかと思っていましたが、普通の庶民出身で、軍隊でマナーを学んだ人みたいですね。ビートルズの全てのアルバムをプロデュースし、時には演奏に加わり、初期には曲の方向さえ決めた人ですが、こちらも、ええっというエピソードはそんなになかった。プロデューサーらしく、録音についての言及が多いのが特徴でしょうか。わたしがごまかしと呼ぶようなものがある。(中略) そのグループのだれひとりとして、そのレコードで演奏してなかったのだ。(中略) これは商業的詐欺というものであり・・・という意見は印象に残りました。でも、かのバーズとかも、デビュー作はメンバーが演奏してなくて、スタジオミュージシャンだそうですし、日本のロックバンドでも80年代から、そうした噂はいろいろ耳にしますよね。もしそうなら、マーティンのこの声を聞かせてやりたい!と思います。それにしても、上記引用の、ジョン&ポール以外はだれでもいい的発言は、みもふたもありません・・・★ジョージはよく、心ここにあらずという表情をした。(中略)現にポールはときどき、ジョージの音楽的な限界にいらだちを見せた。どうやら初めて聞いた<レボリューション9>に、すっかり失望させられてしまったらしい。(中略) ジョンは期待をこめてポールを見たが、彼は「悪くない」としかコメントしなかった。ありていにいうと、気に入らないということだ。「ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実」と題された、ビートルズ中期以降のレコーディング・エンジニア、ジェフ・エメリックの回想記である。ビートルズ関係の回想記では、最高の面白さと言ってもいいと思う。自分が実際、レコーディングの現場にいて、ジョンやポールなど、メンバーの話をその場で聞いているような、リアルな臨場感のある文章で、特にメンバーが徐々に絆を解体させてゆく時期というのもあり、ファンの一番聞きたい、知らない話を教えてくれている感じだ。楽曲の隠された秘密エピソードにも事欠かず、こちらも絶版みたいですが、図書館などにあれば、ぜひ借りることをおすすめします。★といった音楽的な問題を話し合う際、ポールの意見やアイディアが通りがちだったからだ。他の誰かがポールの意見に反論するのを見たことがなかったばかりか、みんなポールがジョンとの口論に勝って自分の思いのままにするのを歓迎している様子だった。ビートルが存在するのは豊かな才能を持ったレノン&マッカートニーのパートナーシップに奉仕するためだったのだと気ついた。バンドは現実には四人の共同体制ではなく、ジョンとポールが書いた楽曲のためのユニットだったのだ。 ビートルズはジョージとリンゴに代わる新メンバーとでも、自分達の楽曲を引き続き書くことができただろうし、(略)初期のビートルズ売り出しPRマンだった、トニー・バーロウの「ビートルズ売出し中」という本です。エンジニアのジェフ・エメリックの回想記が、主に中盤以降の、現場の臨場感ある文章だったのに対し、こちらは初期の、アイドル時代のビートルズの、エピソード中心に綴られている興味深い本です。日本公演の細かい裏事情に関しても、この本が一番詳しく書かれているのではないかと思う。ゲイだったというマネージャー、ブライアン・エプスタインの、知られざる性格、行動などについても詳しく、また、初期アイドル時代・・・、まだ周りに指示され動かされる、従順なビートルズ個々のパーシナリティーについても、多く触れられていて、現場のエメリックほど臨場感はないかもしれないが、こちらもリアルで、かなり面白いものでした。常識人のポールとウマが合ったらしいエメリックとは違い、ポールについてもそんなに好意的には書いてなく、ジョージの優しさについて触れられていたのが印象的でしたが、この人も、マーティンと同様、上記に引用した、ジョン&ポール以外は誰でもいい的な、身もふたもない発言をしています。メンバーではない関係者は、結構このような発言をしている、というのが興味深いですが、では、ジョン&ポール、キース・リチャーズ、キース・ムーンだったら??ジョン&ポール、ジミ・ヘンドリクス、ミッチ・ミッチェルだったら?ジョン&ポール、ジミー・ペイジ、ジョン・ボーナムだったら?・・・そんなにジョージ&リンゴは代換がきくメンバーでもないと思うんですがね。★僕は自分のオフィスに戻って電話をかけました。復職を嘆願するためではなく、今、行われていることを本当に彼らが知ってるのかどうか確かめたかったのです。長い日々を一緒にすごしてきた者に対して、こんな仕打ちをすることを彼らは本当に許しているのでしょうか?電話の向こう側に誰か、四人の誰かに違いない声が聞こえるのに、誰一人僕と話そうとはしませんでした。最後は、ブライアン・エプスタインに雇われ、ビートルズとの初めての契約に関わった一人!ビートルズのメンバーのマネージメント及び、便利屋を努めていた、アリステア・テイラー氏の「想い出のビートルズ」という本です。こちらも読みやすくて、面白い本なのでおすすめですが、やはり絶版なので図書館で借りてください。1,2巻に分かれています。これを読むと、メンバーの魅力で成功したと思われるビートルズの裏で、いかに地味な努力をした人があったか、その力がいかに大きかったかを思い知ります。音楽的なサポート人材とともに、彼らはマネージメントにも恵まれていたんだなと痛感します。ブライアン・エプスタインの亡くなった場面の記述は、悲しすぎて涙が出るほどでした・・・あと、ジョンやポールたちが、いかに気まぐれでわがままな要求をしたかが、詳細に書かれています。みんなに悪く言われる、後期にビートルズに割り込んできた、マジック・アレックスというエンジニアを、かなり好意的に書いているのが驚きです。逆に、さほど悪印象のない、ポールの妻リンダが、毎回いかにひどい難癖付けてきたかが書かれていて、多分この人自身、あまり他の人の伝記に書かれていないところや、上記最初に引用した、ビートルズの事務所、アップルを解雇された時の話しを見ると、みんなに好かれてない部分があったのかもしれない、なんて思いましたね。実質は、従順な、エプスタインの部下だったみたいですけどね。というわけで、わたしみたいなヒマ人はそうそういないと思いますが、ビートルズに関心ある方、これらの本はお勧めできますので、ぜひ借りてみてほしいです。どれも純粋に楽しめると思いますよ。いずれまた続編を書きます。