A-2 新出

 

これは新出問題で、陸技レベルの磁気学の知識がないと解けないと思います。コイルの巻数N(=250)、電流I[A]、磁束密度B[T]から次の式を連想しましょう(H:磁界の強さ、L:磁路の長さ、μ:透磁率)。

B=μH

H=NI/L

あとは変形して(I=BL/μN)数値を代入するだけですね。Lは鉄心の半径4cmから、2π×4×10^-2[m]と計算できますから

I=(5×2π×4×10^-2)/(2000×4π×10^-7×250)=2[A]になります。

 

A-3 新出

 

この問題はΔ-Y変換すれば簡単に計算できるのですが、陸技あるいは電験レベルの知識になります。小生はキルヒホッフで解こうとしましたが、途中で計算が煩雑になり諦めました(根性がない:笑)。とりあえずテブナンの定理で答えを導出(後日upします)はできましたがかなり時間と集中力を要しました。実際の試験ではさっさと諦めてよい問題かもしれません。

Δ-Y変換についてはいずれ解説しようと思いますが、上図上段の回路と下段の回路は等価ですので、並列部分は3+37=40Ωと3+7=10Ωの並列で8Ωとなり、3+8=11[Ω]が求める答えになります。

 

≪追補≫テブナンの定理を使った解法はこちらをどうそ。

 

 

A-4 既出改

過渡現象は過去にも出題されていますがこの組み合わせて出題されるのは初めてですね。過渡現象を勉強していれば(2)の63.2%(=1-1/e)は簡単でしょう。(1)もt=0のときvc=0ですからvc=V×(1-e^-t/CR)が正解です。

 

A-5 既出改

令和2年9月にも出題された有効電力・無効電力・皮相電力の問題ですが、今回は一般解を求める問題ですね。

RL並列回路なので、両素子に共通な電圧Vを基準(実数軸)にとって複素平面で電流ベクトルを書いてみましょう。

抵抗を流れる電流IRは大きさV/Rで、位相は電圧Vと同相(実数軸方向)になります。一方コイルを流れる電流ILは大きさV/XLで位相はVより90°遅れます(虚数軸負の方向)。従って回路全体に流れる電流はこれらIR・ILの合成ベクトルで表され(図中I)、その大きさはV/√{(1/R)^2+(1/XL)^2}になります。

 

有効電力=電圧×抵抗に流れる電流=V×(V/R)=V^2/R

無効電力=電圧×コイルに流れる電流=V×(V/XL)=V^2/XL

皮相電力=電圧×回路全体に流れる電流=V×V/√{(1/R)^2+(1/XL)^2}=V^2/√{(1/R)^2+(1/XL)^2}

 

A-9 新出?

(1)負帰還増幅回路とは、入力信号と帰還される信号の位相差がπ[rad]=180°である回路のことである。従って増幅回路自体が入出力にπ[rad]の位相差πを有する場合は、帰還回路では位相差は生じない(位相差=0)ことになる。

(2)増幅回路単体の増幅度をAとすると負帰還増幅回路ではVo/Vi=AVi/(Vi+βAVi)=A/(1+βA)=1/{(1/A)+β}となり、Aが非常に大きいとき1/A=0とできるからVo/Vi=1/βである。

 

A-10 新出

これは理解していれば簡単ですが出題範囲としては陸技レベルでしょうか。標本化周波数が24kHzということは、1秒間で24×10^3個の標本が作られることになります。この標本1つが16ビットの標本化データに変換され、2ビットの誤り訂正符号が負荷されるので合計18ビットのデータが作成されることになります。従って1秒間に作成されるビット数は18×24×10^3=432×10^3・・・432[kbps]と計算できます。

 

A-12 新出

一見難しそうに見えますが、単なる三角関数の計算問題ですね。

v2=kEcEs×cosωt・sinpt=(k/2)EcEs{sin(ω+p)t-sin(ω-p)t}

従ってvo=v1+v2=kEcEs×sin(ω+p)t

 

それにしても、三角関数の加法定理まで覚えている必要があるなんて、これは完全に陸技レベルです。

 

A-16 新出

回路は3倍圧整流回路で、初出です。電子工学をかじったことがある人なら、何となく電圧が3倍になりそうな感じがしませんか?ただ、折角なので動作について理論的に考えてみましょう。

まず1段目。最初のダイオードを通して半波整流された電圧(最大値Vm)でC1が充電され、定常状態ではC1はVm[V}で満充電された状態になります。

 

次に2段目を考えてみます。2番目のダイオードに電流が流れるのは上図の赤矢印の向きで、Vmに充電されたC1から電源側に向かいます。このとき電源が負のサイクルで最大値ーVm[V] となるときにC2は最大電位差2Vmで充電されることになります。従って定常状態ではC2は2Vm[V]で満充電された状態となります。

 

最後に3段目まで考えてみましょう。C2は2Vmで満充電された状態なので直流電源と等価と考えると、3番目のダイオードの手前(アノード側)の電圧波形は直流2Vmに最大値Vmの交流が重畳したものになります(図中波形斜線部)。従って3番目のダイオードを通過してコンデンサC3に充電されると、その電圧は3Vmです(C1にはすでにVmで充電状態なので、実際にC3に充電される電圧は2Vmになることにも注意が必要)。従って平滑出力電圧は3Vm[V]ということになります。

 

ここで大事なことを繰り返しておきます。コンデンサに充電される電圧は交流(成分)の最大値です。

 

それでは問題にもどります。題意より与えられた電源電圧は実効値であるからこれを最大値に変換するとVm=√2×210=297]V] であるから、求める電圧は3×297=891[V] となります。

 

【追補】以下は上の図を清書したものです。

 

A-18 新出

1/4波長整合(Q変成)線路の問題ですね。給電線のインピーダンスZ、アンテナのインピーダンスRaのときλ/4の長さの整合線路のインピーダンスZ0はZ0^2=ZRaを知っているかどうかですね。陸技レベルの知識があれば導出することもできますが、1アマにこの問題は酷でしょう。ただ「新・上級ハムになる本」にはQ変成(Qマッチ)としてこの式が掲載されています。また、gxkさんのサイトを見ると平成11年4月期に一度だけ類似問題が出題されていることがわかります。

 

以下、陸技レベルですが数式を用いた算出を解説しています。

 

 

A-24 新出

これは全くの新問で、つい先日の一陸技にも出題されたスミスチャートですね。解説は以下の一陸技の解説(無線工学A A-18)をご覧下さい。これは知っているかいないかの知識を問う問題ですね。

 
水平軸が抵抗(実数)で右端は無限大(∞)になります。円周に沿った軸がリアクタンス(虚数)で、上半分が+j(インダクティブ:誘導性)、下半分が-j(キャバシティブ:容量性)です。まら、このチャートは反射係数Γを表しているのでVSWR=(1+|Γ|)/(1-|Γ|)からSWR値の読み取りかできます。
 
ちなみにこのチャートは普通の複素平面の虚数軸を実数軸正の方向に曲げていき、実数軸の∞と虚数軸の+∞と-無限大が重なるように折り曲げて円形にしたものと考えると良いでしょう。
  

 

A-25 新出

FFTアナライザも初出ですが、今やスペクトラムアナライザに取って代わる勢いの計測器ですから知っておかなければならない知識でしょう。

1 正しい LPFで、観測信号より高い周波数成分(不要なノイズなど)を除去してから処理をすることでA-Dコンバーターの負荷を軽減できる

2 間違い フーリエ変換とは時間領域のデータを周波数領域のデータに変換することである。

3 正しい 信号をデジタルデータに書き換えて処理することで、位相の情報も得られる。

4 正しい 標本化における折返し誤差(ノイズ)を防ぐためには被測定信号の周波数はサンプリング周波数の1/2以下でなくてはならない(このサンプリング周波数の1/2をナイキスト周波数という)

5 正しい