残暑厳しい中、来月の「ウィーン・ムジークフェスト2017」の準備に追われ汗だくでバタバタとしている企画担当です。
昨年出張でウィーンを訪れた際に、楽友協会でのブッフビンダー氏のリサイタルを聴いて来ました。
ベートーヴェン最後の3つのソナタの演奏を聴いたのですが、あまりに豊かな音楽性に圧倒されてしまい、終演後しばらく動くこともできず上司と言葉少なくリンク通りを歩いてホテルに帰ったことを覚えています。
その公演時に満席のお客様の反応から感じたことは、「ブッフビンダーは、ウィーンの聴衆から尊敬され愛されているピアニストである」ということでした。
たくさんピアニストがいる中で、耳の肥えたウィーンの愛好家達はどうしてブッフビンダーを尊敬し、愛しているのだろうか、ということを考えてみました
・ウィーン音楽大学最も若い学生だった
ブッフビンダーは5歳の時にウィーン音楽大学への入学を認められ、最初の公開演奏会は9歳の時で、11歳で著名なピアノ教育かブルーノ・ザイドルホーファーのマスター・クラスに入門を許可されたそうです。
・・・特別な才能をお持ちだったのですね。
情報誌Jupiterのインタビューでお話されていた「才能だけでは十分ではない。練習だけでもダメです。しかし才能があるのなら、それを生かすように努力していくことが義務になります」というお言葉は、実体験に基づく言葉なのでしょうね。
・楽譜に忠実に、そして作曲家の意図を深く追究
ひとつの作品を演奏するときには10種類ほどの楽譜を研究するそうです。作曲家に敬意を表し、意図したことに近づくためには必要な努力だと話します。
彼のライフワークであるベートーヴェンのソナタに関しては、38種類以上の全曲出版楽譜、直筆の楽譜、初版、原点文献など幅広いコレクションを持つそうです。数多くの資料の中から作曲家が想い描いた音色を引き出す努力を巨匠となった今も続けているのです。
・スークやシュタルケルらとの共演で研鑽を積む
若きブッフビンダーは、全盛期のヨゼフ・スークやヤーノシュ・シュタルケルとトリオを組み数多くの公演や録音を行いました。この時の経験が今の音楽性を育てたと自負しています。
そして、当時スークやシュタルケルに胸を借りていたように、今は彼が若手奏者と積極的に共演を重ね後進の育成にも力を注いでいます。
・師を辿ればベートーヴェンに行く着く正統派
ブッフビンダーの師は、ブルーノ・ザイデルホーファー。ザイデルホーファーの師を遡ると、ティツキ、カール・ツェルニー、そしてベートーヴェンにたどり着きます。ウィーンの由緒正しい系統に位置するピアニストということです。
・「ピアニストはピアノを弾くだけ」
ブッフビンダーについてたくさん語りましたが、ご本人は音楽についてあまり多くは語りません。「演奏で全てを語る」スタンスのようです。
是非ブッフビンダーが主役の「ウィーン・ムジークフェスト2017」でウィーンの聴衆に敬愛されるピアニストの演奏を生でお楽しみください
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ウィーン楽友協会提携企画
ウィーン・ムジークフェスト2017
Vol.1 ピアノ・リサイタル(9月17日・日/14時開演)
※セット券はいずみホールチケットセンターのみのお取り扱い。