住友生命いずみホールのブログ

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ホールでの出来事や主催公演の詳細&裏話、インタビューや解説など幅広い情報を発信します。

いずみシンフォニエッタ大阪では、公演で演奏する作曲家や作品のこと、そしてお招きするソリストのことをより深く知っていただく機会として公演前夜に「スペシャル・イベント」を開催しています。

これは、藤倉大音楽監督の発案により、今シーズンから実施しています。

 

10月3日(土)に開催する「藤倉大のこんな音楽、いかが?」シリーズ「クラウゼを聴こう!」公演のスペシャル・イベントは、前日10月2日(金)19時よりお贈りします。

詳細は以前のブログから⇒こちら

 

 

 

こちらのイベントには、音楽監督の藤倉大に加えて、翌日の公演で世界初演するジグムント・クラウゼの〈ピアノと管弦楽のためのコンチェルティーノ〉でソロ演奏を担当するピアニストの北村朋幹、クラウゼの弟子で、今回の公演で日本初演する「Body without Organs」の作曲者・福岡似奈、そして、いずみシンフォニエッタ大阪のコンサート・アドバイザーで作曲家の川島素晴が出演します。

 

4人で作曲家・ジグムント・クラウゼの魅力や今回の新作について語り合います。

そして!北村朋幹は、クラウゼのピアノ・ソロ作品を2曲披露する予定。

 

 ジグムント・クラウゼ:リフレイン(1993) 
          悪夢のタンゴ(1987) 

 

「新作コンチェルティーノにある2つの要素をそれぞれ表している作品を選びました」と北村は語ります。

 

公演前夜に開催する「クラウゼを知ろう!」でより深くジグムント・クラウゼの世界を知っていただき、3日の公演で「クラウゼを聴こう!」

 

◆いずみシンフォニエッタ大阪 藤倉大のこんな音楽、いかが?「クラウゼを聴こう!」

 

 【日時】2026年10月3日(土)16時開演

 【出演】松井慶太(指揮)/北村朋幹(ピアノ)/中川日出鷹(ファゴット)

     いずみシンフォニエッタ大阪

 ※公演の詳細は、こちら。

 

 

10月3日(土)、いずみシンフォニエッタ大阪の新シリーズ「藤倉 大のこんな音楽、いかが?」公演をよりお楽しみいただくために、曲目解説を一足早く公開します。

 

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いずみシンフォニエッタ大阪
藤倉 大のこんな音楽、いかが?
「クラウゼを聴こう!」

曲目解説【4】

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■藤倉 大:ファゴット協奏曲[アンサンブル版](世界初演)

 この《ファゴット協奏曲》は、もともと僕が書いたファゴット独奏曲《calling》から生まれました。《calling》を書いた時には、すでにファゴット協奏曲を書くことが決まっていたので、ファゴットという楽器そのものを研究する意味もありました。ところが、実際に協奏曲を書き始めると、最初に想像していたものとは違う方向へ、音楽が勝手に暴走していった部分もたくさんあります。

 

 この作品の中心にあるのは、ファゴットの「重音」です。一人の奏者が同時に複数の音を鳴らす、その複雑な響きを音響的に分析し、その中に含まれている音を周りの楽器へと拡大していきました。ファゴットが一つの重音を奏でると、アンサンブル全体がその響きの内部に入り込み、巨大な「架空の重音」のようなものを作る。そして、その響きがまたソロ・ファゴットに戻り、次の音を生み出していきます。

 

 今回のアンサンブル版を作るにあたって、単純にオーケストラ版の音を少ない人数に置き換えたわけではありません。人数が少なくなることで、それぞれの奏者の音がよりはっきりと見え、ファゴットから生まれた音が誰に渡り、どのように変化して、また戻ってくるのか、その動きがさらに直接的に感じられるようになりました。

僕はオーケストラ版を書いた時、ソリストを一人の「人」だとすると、周りのオーケストラは、その人から広がっていく「オーラ」、あるいはその人を取り巻く「世界」のようなものだと考えていました。アンサンブル版では、その世界がより近く、より親密になったように感じます。

 

藤倉 大 Dai Fujikura

 

作曲家/いずみシンフォニエッタ大阪音楽監督

▼前回までの記事はこちら▼

 

▼公演情報はこちら▼

10月3日(土)、いずみシンフォニエッタ大阪の新シリーズ「藤倉 大のこんな音楽、いかが?」公演をよりお楽しみいただくために、川島素晴(いずみシンフォニエッタ大阪コンサート・アドバイザー)による曲目解説を一足早く公開します。

 

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いずみシンフォニエッタ大阪
藤倉 大のこんな音楽、いかが?
「クラウゼを聴こう!」

曲目解説【3】

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■Z. クラウゼ:ピアノと管弦楽のためのコンチェルティーノ(委嘱新作/世界初演)

 ジクムント・クラウゼ(1938- )は、ポーランドを代表する作曲家、ピアニストである。1966年のガウデアムス現代音楽演奏コンクールで第1位を受賞するなど、現代音楽ピアニストとしても活躍してきた彼が、1996年のサントリーホール国際作曲委嘱シリーズに登場し、ピアノ協奏曲(第2番)を自作自演したことを記憶している向きもあろう。それを含む4曲の管弦楽伴奏によるピアノ協奏曲を経て、今回、87歳にしてアンサンブルを伴奏とするピアノ・コンチェルティーノを作曲することになったことには、世界が注目していることだろう。(ちなみに9月19日に88歳、つまり日本式に言えば米寿を迎えたばかりである。)

 

 装飾音を伴う高音域の半音進行のユニゾンを強奏することで開始するピアノ・ソロ。やがてそれが旋律構造を示すと、合間に低音が弾かれ、そこに他の楽器群が重なっていく、といった第1部分。続く第2部分ではリズミックなピアノ(これもユニゾンで貫かれる)とオーケストラの掛け合いが見られる。第3部分はピアノ・ソロとなり、左手が緩やかに三和音の分散型を弾き、そこに冒頭のような装飾音を伴う旋律が重ねられる。基本的にこれら三つの要素が、変容を伴いつつ1、2、3、1、3という具合に繰り返されるという、シンプルな構造による。2回目の第3部分ではインドの太鼓タブラが加わるなど、民族的雰囲気も加味されることで、装飾音を伴う旋律が民族音楽的振る舞いとして聴き手を引き込む。

 

 この新作を巡る作曲家本人の思いなどについては、藤倉大音楽監督との対談動画を公開しているので、そちらを参照されたい。

(※この動画は10月2日のイベント終了後公開予定ですしばらくお待ちください)

 

■西村 朗:ロプノール(彷徨える湖)

 フルート&ピッコロ、クラリネット、2名の打楽器奏者、ピアノ、弦楽5部からなる10名の奏者のための作品で、アンサンブル・ノマドの委嘱により2022年に作曲され、西村朗が亡くなる7ヶ月前の2023年の2月に初演された。

 

 ロプノールとは、「かつて秘境の広大な砂漠にあって彷徨うように出現と消滅を繰り返したという幻のごとき湖」である。「エキゾチックな都、楼蘭をも育んだその湖はいまどこにいるのか。荒れつつあるこの星の大地の底を彷徨うのか、あるいはまたそこに生きる人々の精神界の、内奥の秘境の砂漠に潜んでいるのか。ロプノールを希求しその新たな出現を切望する思い、今日を生きる人々の思い、砂漠化してゆく大地の思いを描こうとした」というこの作品は、最晩年の病を抱えた時期の作品とは思えない、骨太の筆致による西村節で貫かれた力作で、10名のアンサンブルの可能性を最大限に引き出している。それというのも、全曲にわたって、(幾つかのソロ部分を除く)ほとんどの部分で10名の全奏者が超絶技巧を駆使して弾き続けているのである。ISOで普段聴く西村作品に比して小編成であることにより、各奏者の負担は増しており、そしてその分、ヘテロフォニーの効果がクリアに聴き手に届く。

 

「地から熱水が噴き上げ、風が遠方の空気を運び、燃える太陽の熱を感じる。心の視界がぐっと啓かれるような音楽体験をした。」とは、初演を聴いた齋藤俊夫による評文の一部である。濃厚なヘテロフォニー・サウンドの中に、彷徨える湖の幻影が立ち昇る様を、住友生命いずみホールの豊穣な響きの中で体験することが叶わなかった作曲者に代えて、しかと聴き届けて頂きたい。

 

川島 素晴 Motoharu Kawashima

作曲家/いずみシンフォニエッタ大阪コンサート・アドバイザー

 

▼前回までの記事はこちら▼

 

 

▼公演情報はこちら▼

10月3日に開催する「藤倉大のこんな音楽、いかが?クラウゼを聴こう!」公演で初めていずみシンフォニエッタ大阪と共演する指揮者の松井慶太。

藤倉大音楽監督が自身の名前が付いた新シリーズをスタートをさせるにあたり、「指揮は是非松井さんに」と指名しました。

そんなマエストロに、今回の公演に向けて、どのような音楽がお届けできそうかお尋ねしてみたところ、以下のようなメッセージが届きました。

 

©Ayane Shindo

 

藤倉大のこんな音楽、いかが?という題名の通り、一つ一つが色濃く、とても多彩な作品を演奏します。まさにフルコース。

現代音楽とよく言われますが、これらの作品はそのジャンルの感じ方とは少し違う、現代を生きている音楽のように思います。

現代を生きている人間であれば、今回の演奏会はどこかに納得する瞬間があると思いますし、ある意味では共通点を感じる事も出来るかもしれません。
肌や空気で雨を予感するように、この音楽に触れて欲しいと思います。

松井慶太

 

松井マエストロと楽団の出会いが、どのような化学反応がおこり、どのような音色をお届けできるのか、今から楽しみです。

 

北村朋幹、中川日出鷹、それぞれ世界初演に挑む2名のソリストからのメッセージは以下の記事よりお読みください。

 

【北村朋幹メッセージ】

 

【中川日出鷹メッセージ】

 

 

 

◆いずみシンフォニエッタ大阪 藤倉大のこんな音楽、いかが?「クラウゼを聴こう!」

 

 【日時】2026年10月3日(土)16時開演

 【出演】松井慶太(指揮)/北村朋幹(ピアノ)/中川日出鷹(ファゴット)

     いずみシンフォニエッタ大阪

 ※公演の詳細は、こちら。

 

 

 

 

 

いよいよ今週末に開催する

いずみシンフォニエッタ大阪 藤倉大のこんな音楽、いかが?「クラウゼを聴こう!」公演。

当公演で演奏する5作品のうち、2作品は世界初演、2作品は日本初演となります。

 

世界初演となるジグムント・クラウゼ作曲〈ピアノと管弦楽のためのコンチェルティーノ〉のソロ演奏を担当するピアニストの北村朋幹からのメッセージは前回のブログでお届けしました。

 

 

続いて、藤倉大作曲〈ファゴット協奏曲〉アンサンブル版のソロ演奏を担当するファゴット奏者の中川日出鷹からも世界初演に向けて、作品についてや、初演に向けての熱い気持ちが綴られたメッセージが届きました!

 

 

藤倉 大『ファゴット協奏曲』アンサンブル版(世界初演)

 

 ファゴット協奏曲は、無伴奏作品の《Calling》と姉妹作《Following 》が核となって展開する。この無伴奏作品のそれぞれの性質は、言うなれば、《Calling 》が「動」《Following》は「静」であろうか。ファゴット協奏曲では、それらの独奏の性質を受けて、大きな有機体が反応するかのように、響きや身振りが全体に伝播していく。

 

 室内楽版ではその反応の一つひとつが鮮明になる。一人ひとりの奏者の音色や表情が多彩な連鎖を生み出すことで、それが対話となる。いずみシンフォニエッタ大阪の方々との間にどのような対話や音楽が生まれるのか楽しみのひとつである。

 

 無伴奏を核とし、その響きや身振りをアンサンブルへと拡張していくこの作品の在り方から、ルチアーノ・ベリオの《Sequenza》と《Chemins》の関係を想起する。《Sequenza XII》はファゴットという楽器の歴史において重要な位置を占める作品である一方、独奏とアンサンブルのための《Chemins》は他の楽器を中心に展開されている。藤倉氏の作品では、無伴奏、室内楽、オーケストラという異なる編成を通して新たな響きを形づくる。

 

 作品の中では太古の歌を仰ぐような空間が現れたり、リズムが少しずつ編み替えられていくうちに別のネットワークが現れたりする。時には雅楽のようなハーモニーが音と音との境界を曖昧にしたり、それぞれの響きが変化する様子は映像を見るようである。

 

 2012年、パスカル・ガロワによる《Calling》のパリ初演をポンピドゥセンターで聴いた。この日の公演はアンテルコンタンポランのソリストによるファゴットの独奏が二曲も並んでいた。当時、学生で青春を現代音楽に捧げていた私にとって垂涎の公演であったことはもちろん、客席にはピエール・ブーレーズ氏の姿も見られ藤倉氏の新作初演は、やはり高い関心を集めていた。

 初演独特の未知の音楽への期待とパリの音楽家達の知性の漂う空気を破るように、ファゴットの重音が一閃した。《Calling》という題名からの連想もあり、演奏からは電話のベルがけたたましく鳴るような機械的な音の印象を受けた。その鮮やかな音に惹かれながらも聴き進めるうちに、この楽譜の背景には、いま耳にしている音とは別の響きや意味も広がっているように感じた。そして、その一端を自らの手で演奏して掬ってみたいと思った。これがこの作品との初めての出会いであり、その後に何度も演奏重ねるうちに次第に身体に馴染み、新たなインスピレーションが広がり続けている。

 

 《Calling》の初演から十数年を経て、藤倉氏のファゴットのための作品の数々は私にとってはもちろん、ファゴットという楽器にとって重要なレパートリーとなっている。今回のファゴット協奏曲室内楽版の世界初演は、私にとって学生時代からの憧れである、いずみシンフォニエッタ大阪の方々との共演という夢のような機会です。このような機会を頂き本当に感謝しております。

 

中川日出鷹

 

音楽監督・藤倉大の世界初演作品を、メンバーでもある中川日出鷹がソロを担当し、いずみシンフォニエッタ大阪とアンサンブルを創り上げる。まさに、楽団が総力を挙げてお届けします。

お聴き逃しなく!

 

◆いずみシンフォニエッタ大阪 藤倉大のこんな音楽、いかが?「クラウゼを聴こう!」

 

 【日時】2026年10月3日(土)16時開演

 【出演】松井慶太(指揮)/北村朋幹(ピアノ)/中川日出鷹(ファゴット)

     いずみシンフォニエッタ大阪

 ※公演の詳細は、こちら。