行政視察のご報告 伊勢原市 厚木市 の続きです。
<視察先一覧>
11日 神奈川県伊勢原市
①小規模校でのICT教育と英語教育(大山小学校)
12日 神奈川県厚木市
②公共施設の最適化推進事業
③マイタウンクラブの取組
東京都町田市
④事務別財務諸表(行政評価シート)
⑤地域のごみ減量活動
東京都町田市では2項目の視察を行いました。
<事務別財務諸表(行政評価シート)>
地方は基本的に単式簿記現金主義会計ということで、一昔前まで、年間の収支は現金の出入りでしか基本的に判断ができませんでした。
極端なことを言えば、身の丈に合わない多額の借金をしてハコモノを作っても、借金という収入があって収支的には黒字になり、問題に気付くのは返済する時期になってからというところがありました
。
つまり、1年間の収支(フロー)の情報に減価償却費を含まず、資産や負債(ストック)の情報の把握が難しいという問題がありました。
そういう中で、国は地方にバランスシートや損益計算書(行政コスト計算書)などの財務諸表の作成を義務付けるようになりました。
しかしながら、その財務諸表も全体的な大枠しかわからず、資産に道路・橋梁など簡単に処分できないものも計上しており、全体の負債額がわかるだけ、悪く言えば作っただけという状況にあります。
町田市では、課別、事業別に財務諸表を作成し、行政評価シートとしてまとめることで、課ごと、事業ごとに費用対効果の分析ができるようにしています。
これにより、事業のコストと成果の「見える化」を行い、市民への説明責任を高めています。
そのため、各課では「日々仕分け」という形で、伝票を切るタイミングで複式簿記での記帳を行い、月末には「月次決算整理」を行っています。
最終的には翌年の8月までに行政評価シートとして、前年からの課題、事業の成果(目標数値と実績)、行政コスト計算書、貸借対照表、類似事業との比較分析、成果と財務の分析、総括を記載してまとめ、9月の議会の決算委員会で議論されるということです。
ここでは公開されているもののうち、行政評価シートのダイジェスト版から生活保護事業を取り上げます。
行政評価シートは次年度の予算編成にも反映されています。
2017年度には実際に以下のものが反映されました。
成果向上に向けた取組強化は68件 16.7億円。
行政運営の見直しによる削減は28件 2.7億円。
歳入確保は10件 7883万円
経費削減というだけでなく、成果を上げるために予算を増やそうということもあり、そちらの方が多いようです。
よく行政は前例踏襲と言われます。しかしながら、町田市の担当者の方は「行政評価シートがある以上、前からやってるからでは通用しない」という言葉をおっしゃっており、コスト意識の改革には大変良い取組だと感じました。
三木市の場合は、平成28年度は予算時点で12億円の基金取り崩しをしなければ収支均衡できないという話だったのが、ふたを開けたら基金の取り崩しは不要だったということがありました。こういうことはコスト意識の高い町田市の場合、起こりえないんだろうなと感じます。
各課で決算の為の整理を行い、行政評価シートをまとめるというのは労力がかかるとは思いますが、三木市でも導入を検討すべきだと思いました。
<地域のゴミの減量化>
三木市ではゴミの焼却施設の運営がどうなるかというところ焦点となっており、ゴミの減量化というところはあまり議論が深まっていません。
町田市では、元々焼却灰の最終処分場が一杯になるという恐れからゴミ処理の有料化やゴミの減量の取組が始まったということです。
今では償却灰は全量セメントにリサイクルできるようになり、その問題は無いみたいですが、環境面なども考慮され、40%減というゴミの減量目標に合わせて、ゴミ焼却施設の規模もダウンサイジングするなど、計画に合わせて環境施策を推進しています。
また、各自治会にごみ減量サポーターを配置し、ごみ減量の取組を推進するなど特徴的な活動も行われていました。
三木市でも参考にしたいと思います。