こんにちは~!
前回の続きです。
前回記事では半夏白朮天麻湯について軽くお話ししましたが、今回は茵陳蒿湯についてのお話です。
茵蔯蒿湯の効能は肝胆湿熱、臨床的には急性肝炎、胆嚢炎、胆石症、急性膵炎などに使われます。
これらの患者さんは病院の消化器内科に受診するのが普通なので、うちのような町の漢方薬局にいらっしゃることはありません。
ですから、私も茵蔯蒿湯を使うことはありませんねぇ・・・
(もしも、口の中が苦いという患者さんが来たら使うかもですが)
番組の中では胆嚢の手術のためにビリルビンを下げなければいけない患者さんに使ってました。
それでは、茵蔯蒿湯の組成を見てみましょう。
茵蔯蒿・・・胆汁分泌促進
山梔子・・・ビリルビン値減少
大黄・・・茵蔯蒿・山梔子との併用により利胆作用増強
たった三種類のシンプルな構成ですが、シンプルな方が切れ味は鋭いのです。
番組内では特に山梔子のビリルビン減少効果について言及していました。
ちょっと、有機化学的な話になりますが山梔子の含有成分であるジェノポシド(私は大学でゲノポシドと習いました)がビリルビンを下げる効果があるが、茵蔯蒿湯を飲んでも効果がない人が一定数いて「それは何故か?」というのがテーマでしたね。
この後は専門的な話になってしまうので、結論から言いますと「腸内細菌の組成」に原因があるとのこと。
つまり、腸内細菌によって配糖体であるジェノポシドが分解され、有効成分であるジェニピンが生成されてこれがビリルビンを下げる効果がるということでした。
ですから、ジェノポシドを分解する腸内細菌がいない人は有効成分であるジェニピンが作れないため、茵蔯蒿湯をいくら飲んでも「全く効果なし!」という結果になってしまうのです。
私も長く漢方薬局で働いていると、この現象にはよく遭遇します。
「証としてはこれで合ってるのに、何で漢方が効かないんだ???」
要するに腸内環境が悪くて、生薬を有効成分に変える腸内細菌がいなかったのですね。
実は、この腸内細菌の話は10年くらい前の母校での漢方講座で習っております。
生薬を有効成分に代謝する腸内細菌のことは、「資化菌」という呼び名でした。
資化菌(しかきん)、つまりは「資源に変える菌」・・・なかなかナイスなネーミングだと思います。
(ちなみに漢方の効きが良い私は資化菌います!笑)
まあ、現代人の腸内環境は肉食の増加や食品添加物などでかなり悪くなっていると思いますから、古代中国の時代より漢方の効きが悪い人が激増していることでしょう。
「じゃあ、乳酸菌のサプリを飲んで腸内環境を良くしよう!」と思う前に、先ずは食生活を見直した方がいいですね。
味噌や納豆や糠漬けなどの日本古来からある発酵食品を摂って、菌類の一種であるキノコ類を摂って、乳酸菌のエサとなるオリゴ糖を含む野菜を摂って・・・と、普段の食事を見直したうえで乳酸菌製剤を摂るのはありかなと思っております。
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