コンクリート擁壁を作る・中編では、造形まで完成しましたので、今回はウェザリングなどを施して最終的な仕上げをしていきます。
この工程は上手くいけば最高に楽しい作業ですが、思い通りにならないと本当に辛い作業です。
▪️墨汁で経年を表現する
前回までの状態です。まだ色による表現は一切入っておりません。
(多分)30倍くらいに薄めた墨汁で、コンクリートの黒ずみを再現していきます。墨汁の濃度は作業しながら調整して頂きたいのですが、墨汁の力は思っている以上に強力ですのでご注意下さい。
コンクリートは古くなればなるほど黒っぽくなっていきます。陽当たりなどの条件にもよりますが、どの程度黒いかで建設からの年月を語ることが出来ます。
今回は築30年〜40年くらいという想定で作業を進めました。
この作業のポイントは2点です。
①墨汁は薄ら色付く程度まで薄め、色の濃さは塗る回数で調整すること
→そうすることによって自然なムラが生まれ、リアルな表情になる
②筆は常に縦方向に動かす
→そうすることによって、雨が垂れた感じを出せる
今回は最初に太い筆で大まかに塗り、その後細い筆でアクセントを付けるように塗り重ねていきました。
▪️AKペンシルで更にアクセントを
↑↑こちらのツイートで、AKペンシルなるものの存在を知りました。
ウェザリング専用色鉛筆ということで、面白そうだったので早速取り寄せてみました。
私は茨城のMS modelsさんのオンラインショップで購入しました。
2020.3.10現在、全37色の単品及び37色セットの在庫があるようです。(私は37色セットの在庫が無い時に買ったので、割高&ケース無しの単品×37本を購入してしまいました(泣)
今回使用したのは
10001:ブラック
10004:ホワイト
10007:ライトグリーン
10008:ダークグリーン
の4色で、これも墨汁を塗った時と同様に、縦に書き込んでいきました。
書き込んだままだと鉛筆の筆跡が残ってチープになってしまうので、湿らせたティッシュをぽんぽんと当ててぼかしていきます。
ぼかしが済んだら、10001:ブラックで排水口から水が垂れた跡を書いていきます。
AKペンシルの使い勝手についてはまだまだ未知数で、使っていくうちに徐々に使用用途も増えていくのではないかと思っています。
いずれ蓄積が出来ましたら、レビューしたいと思います。
▪️グレインペイントで苔を生やす
前回岩肌に苔を生やした時のノウハウがあるので、同じようにやれば楽勝だろうと軽い気持ちで作業開始……しかし、そう甘くありませんでした。
一色目の土緑。
グレインペイントは塗り立ては全然イカさないので、我慢ガマン……
一旦乾くのを待ちます。
二色目の深緑
!?
前回岩場で使った時と、全然色味が違う!!
どうして???
乾けば変わる?……全然変わらない!!!
嘆いてもしょうがないので、アクリルガッシュのディープグリーンを上塗りして調整……でも厳しい。
三色目の浅緑
これでどうにか苔らしくなりました。
最後に一色目で使った土緑を少々。
アクセントを付けて、グレインペイントはフィニッシュです。
今回も途中心が折れそうになりまさしたが、何とか苔らしさが出せたかと思います。
▪️超便利!!アクリルガッシュ『オリーブグリーン』
苔も様々な種類があります。
こんな感じで薄ら色が付いているだけにしか見えない、細かい苔も良く見かけます。
アクリルガッシュ「オリーブグリーン」は、こういった薄ら生える苔を再現するのに大変好適な絵具でした!!
この場合も最初の墨汁同様、薄ーく希釈したものを細い筆で少しずつ繰り返し染み込ませます。
この方法はコンクリートだけでなく、崖や建物に生えた苔の表現にも好適で、大変便利な絵具でした。がーさんありがとうございます!!
▪️一先ず完成
プラスターから作るコンクリート擁壁、いかがでしょうか?
作る前は、わざわざそんなことする価値はあるのだろうかと思っていましたが、想像以上の質感が出せたと思っています。
そして何より想像していたほど面倒では無かったので、別の素材で手間を掛けて質感を出すよりむしろ簡単?それは大袈裟ですが、決してハードルの高い製作法では無かったです。
まだもう少し加えたい表現はあるのですが、それはまた別の機会にご紹介いたします。
今回で苔表現は概ね技法が確立されたと思います。
しかし苔のメイン素材であるグレインペイントが製造中止になっているので、早いところ別の表現方法も見つけたいところです。
次回は本パートのメイン、崖の岩肌を着色していきます。
今回も最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!!